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【何が請求できるのか】
 民事裁判は契約や法律で定められた権利を実現するための制度ですから、基本的には、契約や法律で定められている権利を実現することを求めることができるということになります。
 現実には、民事裁判のほとんどは、お金の支払を求めるものです。そのほかには、@土地や建物の登記を求める裁判、例えば自分に所有権を移す登記を求めたり、抵当権(担保)の登記を消すように求めたりする裁判、A土地や建物の明け渡しを求める裁判、B(解雇が無効で)従業員としての地位があることの確認を求める裁判、C自分には負債がないことの確認を求める裁判などが比較的多く起こされています。家事事件では離婚を求める裁判や離婚に伴う財産分与請求や養育費請求、遺産分割の請求などが多く起こされていますし、行政裁判はほとんどが行政処分の取消請求の形で起こされます。
 何を根拠として請求するかという観点で見ると、民事裁判の多くは、契約で定められたことの実行を求めるもの、そうでなければ相手が契約を守らないことを理由に契約を解除して清算を求めたり相手が契約を守らなかったことで生じた損害賠償を求めるなどの契約関係の後始末に関するものです。法律上の権利に基づいて起こす裁判では、消費者金融に対する過払い金返還請求や交通事故や労働災害(労災)、医療過誤などによる損害の賠償を求める裁判、残業代請求などがわりとよく起こされます。

世界一の大金持ちになりたい。

裁判所はランプの精じゃありませんよ。

《一定の行為を命じる裁判》
 現実によく起こされている裁判の紹介は簡単ですが、どういう請求が可能かを突き詰めると、なかなか説明は難しいものです。
 民事裁判の請求を学問的に分類すると、相手に一定の行為を求める請求(法律用語では「給付請求」といいます)、権利関係の確認を求める請求(法律用語では「確認請求」といいます)、判決で新たな権利関係を創ることを求める請求(法律用語では「形成請求」といいます)に分けられます。こう分類するとき、民事裁判の多くは給付請求ということになります。
 給付請求で何を求められるかは、契約の条項や法律の規定で、どのような権利があると定められているかによります。わかりやすく定められていることもありますが、いろいろなことを考慮して読み込むことで認められることもあります。例えば、危険・有害施設との関係で実務上認められている周辺住民の「人格権に基づく差し止め請求」は、それを認める法律の明確な規定はありません。さまざまな法律の解釈で認められているものです。
 裁判所は、金銭の支払や物の引き渡し(土地・建物の場合は明け渡し)などの典型的な請求以外の形は、明確な規定がないと簡単には認めません。名誉毀損の場合、謝罪広告の請求が認められていますが、これは法律に「名誉を回復するのに適当な処分を命じることができる」という規定があるからで、名誉毀損以外ではほとんど認められていません。
 また、給付請求は最終的には強制執行で実現することを、法律上は予定していますから、強制執行不可能な形の請求は、裁判所はほとんど認めません。
 相手に一定の行為を求める場合で、あまり典型的でない請求をしたいということになると、以上のような事情を考慮しつつ、過去の裁判例も調べ、契約の条項や法律の規定をにらんで、できそうかどうかを検討・判断していくことになります。

金はいらないから相手に謝らせたいんだけど。
名誉毀損の謝罪広告以外で「謝れ」という判決はないから、謝らせるのはまず無理です。

《権利関係を確認する裁判》
 権利関係の確認を求める請求は、強制執行による実現を予定していませんのでさまざまな請求が認められそうに見えます。
 しかし、ここでも裁判所は、権利や法的地位に危険や不安が存在して権利関係を確認することによってその危険や不安が有効・適切に解決することを「確認の利益」と呼び、この確認の利益があることを確認請求の要件としています。
 また、裁判所は、現在の権利関係の確認を原則としていて、過去の権利関係や将来の権利関係の確認は、特別な事情がなければ認めません。例えば労働者が解雇され、その解雇が違法だと主張する場合、解雇の無効確認という形で請求をしても、それは過去の事実の確認請求だとされて裁判所は通常認めません。それで解雇が無効であることを前提として、現在従業員としての地位があることの確認請求という形で裁判を起こすことになります。

《権利関係を創る裁判》
 判決で新たな権利関係を創ることを求める形成請求も、強制執行による実現は予定されていません。
 しかし、新たな権利関係を創るという特別な裁判ですので、裁判所は法律の明確な規定がないと認めません。
 形成訴訟としては、離婚が最もポピュラーなものです。

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