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 不倫相手への慰謝料請求交渉と弁護士

ここがポイント
 不倫相手への慰謝料請求は、交渉で解決できる可能性が高い事件類型
 いくら請求するか、弁護士に交渉を依頼するかは、その事件の事実関係をよく考えて、弁護士とよく相談して決めた方がいい(と私は思う)

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 男性(間男)が人妻と、既婚者であることを知りながら性的な関係を持ち、そのためにその人妻と夫の婚姻関係が破綻したという場合、夫は不倫妻の相手(間男)に慰謝料請求をすることができます(ただし、その不倫が始まる前から、例えば夫が浮気をするなどして、すでに夫婦関係が破綻していたというような場合は、不倫自体が違法性がないとか損害がなかったということで、慰謝料請求が否定されることになりますので注意)。既婚者の男性が浮気(法律業界用語では「不貞行為(ふていこうい)」)をした場合に、妻から夫の不倫相手に対しても、同様です。
 このような、不倫相手に対する慰謝料請求の事件は、交渉で解決できることが多いです。
 その理由としては、ほとんどの場合、当事者が裁判になることを避けようという気持ちが強く、また早く解決(決着)してしまいたいという気持ちが強いこと、慰謝料の相場が、少なくともこの種の事件の経験がある弁護士には見えやすく、多くの場合弁護士同士ではその事件の落としどころ(決着するライン)の判断にそれほど違いがないということにあります。
 もっとも、その慰謝料の判断も、法律上何か基準があるわけではなく、裁判になった場合は、最後はその裁判官の判断ですので、はっきりとは言えません。それに事件毎に様々な事情があり得、それを具体的に聞きながら考える必要がありますし、裁判になると、自分の依頼者/相談者から聞いていないような事情が出て来たりしますし、相手方が持っている証拠がどの程度かはあらかじめ判断しにくいところです。そういう不確定要素がありますから、自分の依頼者から相当詳しく事情を聞いた上でも、慰謝料の見通しはある程度の幅を持ったものになります。しかし、それでも、弁護士以外の人にうまく説明しにくいところですが、多くの場合、この種の事件に経験を持つ弁護士間では、慰謝料の見立てはそれほど食い違わないのが普通です。
 もちろん、弁護士が慰謝料の見通しを立てるには、事実関係と手持ちの証拠について、様々なことを聞く必要があります。電話でごく簡単な外形的な事実だけを聞いて判断するのは無理があります(場合によっては大雑把に言えることもありますが、それでも例外的な事情がないか、弁護士には不安が残ります)。ましてや手紙や電子メールで一方的に相談者が言いたい事情だけ書いて、それで慰謝料はいくらぐらいかなどと聞かれても、まともな判断は、少なくとも私にはとてもできません。

請求する側で
 慰謝料を請求する側、つまり夫なり妻から相談を受けた場合、弁護士としては、まずは相談者/依頼者から事実関係の詳細と、妻と間男あるいは夫と不倫相手が不倫をしていた/していると判断する根拠となる証拠や理由がどれだけあるのかなどを聞いて、この事件で裁判になったら、不倫の事実を立証できるか、慰謝料はいくらぐらい認定されるかを判断します。
 その上で、相談者/依頼者がどういう解決を望んでいるのかと合わせて考え、どういう方針を採るのがいいかを考えます。
 例えば、弁護士の判断として、不倫の事実が立証でき、慰謝料としては200万円〜300万円の事件と評価したとします(どういう事情があればそのくらいの慰謝料になるかについては、例として説明することもできますが、そういう説明をすると、自分のケースについて都合のいいところだけを見たり、逆に不利な部分ばかり見て、弁護士が判断する場合とはかけ離れた判断をする人が少なくないので、そういう説明は避けたいと思います)。
 そういうときに、相談者が、裁判になってもかまわない、時間をかけてもいいからできるだけ多く取りたい(このケースで言えば、300万円取りたいあるいはもっと)という場合、弁護士としては、交渉事件として受任して、自ら交渉することにして、依頼者が請求したい額も聞いた上で、500万円とか400万円とかの請求をして交渉することになります。
 他方、相談者が、裁判はどうしても避けたい、速さを優先して、金額が少なくなってもいい(このケースで言えば、200万円も取れればけっこう)という場合、私は、交渉事件としては受任しないで、継続的に相談は受けながら、交渉は依頼者自身でやるという選択を提案した方がいいと考えています。そのあたりは、微妙な判断ですが、交渉事件として受任すると、私の場合、この種の事件では通常着手金として20万円+消費税、報酬金として取れた金額の10%+消費税をいただくことになります。その弁護士費用をかけなくても解決できそうな場合、私は、相談者/依頼者のコストパフォーマンスを考えて、継続相談でアドバイスは続けつつ、交渉は自分でしてもらう方が、相談者/依頼者は相談料レベル(継続して相談を受けても2〜3万円、せいぜい数万円まで)で済み、手取額が大きくなっていいと考えます。私が間男から相談を受けた場合、後で説明するように、そのような水準の請求だったら、さっさと飲んだ方がいいとアドバイスしますので、間男側がそう対応すれば、相談者/依頼者にとっては、早く安く解決できることになります。もっとも、そうアドバイスしても、自分で交渉するのは不安だから依頼したいといわれることもあります。そのような場合、コストの話をよくした上で、それでもいいということでしたら、受任して交渉することになります。

請求された側で
 慰謝料を請求された側、つまり間男、不倫の相手方から相談を受けた場合、やはり具体的な事実関係を聞いた上で、慰謝料の見通しを判断します。
 その上で、請求されている金額が、相場より高い場合、200万円〜300万円の事件で、500万円とか400万円請求された場合は、相談者/依頼者から交渉を依頼されれば、受任して交渉することになります。
 請求された金額が、相場通りか相場より低い場合はどうでしょうか。それでも受任して交渉するという考えもあるでしょう。しかし、私は、そういう場合は、何も言わずに飲むことを勧めます。もちろん、相談は継続して、和解契約書の内容等はチェックしますが。というのは、1つには、交渉事件として受任すると、やはり着手金として20万円+消費税程度いただくことになりますので、弁護士としては、少なくとも着手金以上値切らないと依頼者に申し訳が立たないという気持ちになります。しかし、もともとがその事件に適切な程度の慰謝料額やそれより低い額の請求から、さらに値切るということは無理があります。相手方が無知で、弁護士が出て来たら腰砕けになって、気圧されて合意してしまうということも、あり得ないではありません。しかし、現在の情報社会では、相手方も自分の請求額が低い、あるいは少なくとも高めではないということは気づくでしょうし、弁護士が出て来て、しかも厳しく値切ってきたら、相手方も、自分も弁護士に相談/依頼しようという気持ちになるのが普通です。そうなると、相手方から相談を受けた弁護士は、請求額が相場より低いと言うでしょうから、相手方は請求額からは一切下げないとか、さらには最初の請求額が低すぎたのでもっと釣り上げるということにもなりかねません。また、厳しく値切らなかったとしても、弁護士が出てくると、やはり相手方は自分も弁護士に相談/依頼しようという気持ちになりがちです。そうすると、先ほど説明したことと同じことになります。その結果、自分の依頼者である間男、不倫の相手方は、結局は最初の請求額通りで合意して弁護士への着手金分多く支払うことになるか、悪くすると最初の請求額よりも多い金額での合意を強いられる(それに加えて弁護士への着手金も支払う)ことになってしまいます。私は、こういう場合(最初に請求された金額が相場通りか相場より安い場合)、相談料だけできちんとしたアドバイスをして、継続相談で、妥当な解決までお世話するということが、弁護士としてよりよい道だと考えています。

弁護士間の交渉
 双方が弁護士に依頼して、弁護士同士での交渉になると、その事件に関する捉え方、自分の依頼者からは聞いていない事情などをすりあわせ、その上であるいはその過程で若干の駆け引き・牽制球の投げ合いはありますが、多くの場合は、弁護士間では概ね落としどころを見据えて、主要なポイントになる慰謝料の金額と支払条件、付属的な条件として他にどのような要求があるのか(謝罪条項、今後は不倫の相手と一切会わない等の条項、守秘義務条項、相手方とその家族・勤務先等に連絡しないという条項等)とそれへの対処を詰めていきます。弁護士間の場合、この種の事件で、それほどもつれることは、あまりないと思います。
 和解の条件で合意できれば、どちらかの弁護士が和解契約書を起案して、相手方の弁護士が検討して修正したい条項があればそれを伝えて協議し、和解契約書を作成します。弁護士が代理している場合、通常は、契約書には弁護士が記名押印します。

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