◆私のお薦め本◆
  ハリー・ポッターを読む

@ハリー・ポッターと賢者の石:日本語版1999年
 (HARRY POTTER AND THE PHILOSOPHER’S STONE、1997年)
Aハリー・ポッターと秘密の部屋:日本語版2000年
 (HARRY POTTER AND THE CHAMBER OF SECRETS、1998年)
Bハリー・ポッターとアズカバンの囚人:日本語版2001年
 (HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN、1999年)
Cハリー・ポッターと炎のゴブレット:日本語版2002年  ハリーポッターと炎のゴブレット(映画)
 (HARRY POTTER AND THE GOBLET OF FIRE、2000年)
Dハリー・ポッターと不死鳥の騎士団:日本語版2004年  ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(映画)
 (HARRY POTTER AND THE ORDER OF THE PHOENIX、2003年)
Eハリーポッターと謎のプリンス:日本語版2006年  「ハリー・ポッターと謎のプリンス」(映画)
 (日本語タイトルは「ハリー・ポッターと混血の王子」→「ハリー・ポッターと混血のプリンス」→「ハリー・ポッターと謎のプリンス」と変わっていきました。私は「混血のプリンス」の方がいいと思いますけど)
 (HARRY POTTER AND THE HALF−BLOOD PRINCE、2005年)
 日本語版がでる前に書いた感想ですが・・・the Half-Blood Princeを原書で読む
Fハリー・ポッターと死の秘宝:日本語版2008年7月23日発売
 「ハリー・ポッターと死の秘宝Part1」(映画)、「ハリー・ポッターと死の秘宝Part2」(映画)
 (HARRY POTTER AND THE DEATHLY HALLOWS、原書は2007年7月21日発売)
 日本語版が出る前に書いた感想ですが・・・the Deathly Hallowsを原書で読む
 このサイトは、子どもを意識して始めたこともあって、説明の中でハリー・ポッターシリーズの登場人物の名前を用いています(裁判が必要なわけ裁判というものがあるわけなど)。ハリー・ポッターシリーズを読んでいなくても、名前のことは気にせずに読めばいいわけですが、念のために今から読む人のために説明します。
 物語は、一言で言ってしまえば、近年では最強の闇の魔法使いヴォルデモート(Voldemort)と戦うよう運命づけられた少年ハリー・ポッターが、周囲の誤解や無理解に傷つけられながら、友人や先生たちに助けられつつヴォルデモートらと戦う話です。ハリー・ポッターが1歳のハロウィーン(10月31日)の夜、ヴォルデモートはハリーを襲い、ハリー・ポッターの両親は殺されてしまいますが、ハリーにかけた死の呪いが跳ね返り、ヴォルデモートは肉体を失い力を出せなくなってしまいます。そのことを知らされないままマグル(魔法族でない人間のこと)の親族に虐待されながら育ったハリー・ポッターは、11歳になって魔法使いであることを知らされ、ホグワーツ魔法魔術学校に入学することになります。
 物語は、ハリー・ポッターがホグワーツに入学した年から1巻毎に1年分進みます。作者のローリングは第1巻発売の段階からハリー・ポッターは7巻で完結すると宣言し、ハリー・ポッターがホグワーツの最高学年の7年生になる7巻で、ヴォルデモートとの最後の戦いの決着がつき物語が完結しました。ローリングはかねがね続編は書かないと言っていましたが、最近は外伝は書くかもとか言い出したようです。
 これから読む人は、まず映画のDVD(今や「賢者の石」の実勢価格は1000円を切っていますね)を見ることをおすすめします。作者のローリングの意向もあって原作のディテールにこだわりすぎてわかりにくいという評価が根強くありますが、あまりディテールにとらわれずに雰囲気と映像を楽しんでください。「賢者の石」か「秘密の部屋」の映像を見て魅力を感じたら、本も読み切れます。
 実は、私は、かつてハリー・ポッターを読もうとして挫折したことがあります。「賢者の石」の映画ができる前、子どもの間で流行していたので子どもが読むのに買って自分も読んでみようとしたわけです。しかし、魔法の話というと実感が伴わないのはもちろん、物語としても都合が悪くなったら魔法を使えばいいのだからいい加減な作りじゃないかという先入観がありました。で、物語が佳境に入る前に、眠たくなって放り出してしまいました。
 その後、子どもを連れて映画「賢者の石」を見に行って、映像の美しさに惹かれ、もう一度読むと最後まで読み通せました。ホグワーツの様子とか様々なシーンが映像でイメージできるのが、読む上でものすごく助けになります。先に原作を読んだ人は、自分のイメージしていたのと違うということになるでしょうが、映画から入ればすんなりと映画のイメージを受け入れることができます。
 その意味で、映画は、イメージをつかみにくいところを積極的に映像にして欲しいですね。私は「アズカバンの囚人」ではハニー・デュークス菓子店の映像に期待していました。物語中によく出てくる「フィフィ・フィズビー(Fizzing Whizzbee)」と「ゴキブリゴソゴソ豆板(Cockroach Cluster)」だけでも映像にして欲しいと思っていました。残念ながら、映画では出てこないし、DVDの特典映像のハニー・デュークスツアーでも魔法のお菓子は杖型甘草飴しか映像になっていませんでした(「炎のゴブレット」で「噛み噛みキャンディ」が出てきましたね。原作ではそういうの出てこなかったと思いますが)。
 「賢者の石」と「秘密の部屋」は、ファンタジーとして面白いと思いますし、気持ちよく読めます。「アズカバンの囚人」は「賢者の石」「秘密の部屋」を読んでハリーポッターの世界に浸った人には気持ちよく読めます。「アズカバンの囚人」から読むとなるとちょっとつらいかなと思いますが、ファンタジーの好きな人ならまだ可能かと思います。
 しかし、「炎のゴブレット」以降は、既にハリー・ポッターの世界に浸った人でないと、たぶん読み通せないと思います。第一に、日本語版では本が2巻組になります。「炎のゴブレット」が1100頁超、「不死鳥の騎士団」が1300頁超です。原書でもローリングがこのままのペースで行けば7巻はカバの赤ちゃんのようなサイズになってしまうと危惧したためか「謎のプリンス」は1000頁弱になりましたけど、「死の秘宝」はまた1100頁超です。第二に、話が暗く、読み終えた後に爽快感がありません。「賢者の石」「秘密の部屋」はハリー・ポッターの勝利で終わりますし、「アズカバンの囚人」もシリウス・ブラックのえん罪は晴らせないもののシリウス・ブラックを逃がすことには成功しますので一定の爽快感はあります。しかし、「炎のゴブレット」はヴォルデモートが復活して終わり。ハリー・ポッターは敗北感と焦燥感を持って終了します。はやっているハリー・ポッターとはどういうものかと思って「炎のゴブレット」で初めて読んだという人がいたら、大半の人は次を読もうとは思わないと思います。「不死鳥の騎士団」はそれに輪をかけて暗いです。まず冒頭からハリー・ポッターはいらだちっぱなし。英語版が出たときに最初の方だけでもと思い読んでみましたが、英語にはこんなにもたくさんの「いらだつ」「不平を言う」「怒鳴る」という意味の動詞があるのかと感心しました。ハリー・ポッターファンでも、「不死鳥の騎士団」のハリー・ポッターに素直に感情移入できる(共感できる)人はかなり少数派じゃないかと思います。敵役のダーズリー一家やスネイプ先生の方がハリー・ポッターよりよっぽどマシに思えるくらいです。そして、なんといってもアンブリッジ先生です。この人のおかげでホグワーツでの1年があまりにも重苦しい。結末も、ルシウス・マルフォイを含めてヴォルデモートの取り巻きの多くが逮捕されるのですが、シリウス・ブラックが死んだことでハリー・ポッターは沈みっぱなし・ダンブルドアにまでかみつきっぱなし。「不死鳥の騎士団」で読んでいて気持ちのいいところって、フレッドとジョージがアンブリッジの鼻をあかしてホグワーツから出ていくところくらいです。これだけ長いものを読み続けて最初から最後まで憂鬱な気分なのですから、(まあ純文学なら元々それも覚悟で読むこともありますけど)ファンタジーとして読むにはあまりにつらいかなと思います。「不死鳥の騎士団」が「炎のゴブレット」より販売部数が減ったのは当然だと思います。その反省か、あるいは元々2巻に位置づけていたエピソードが多いためか「謎のプリンス」は前半の基本線は明るく進行しますが・・・

 ハリー・ポッターシリーズは、1巻ごとに登場人物だけでなく読者も成長していくことを想定して、文章も物語のレベルも次第に難しくなっていっているという分析があります(「成長するハリー・ポッター」洋泉社、奥付によれば2005年10月19日初版発行)。ローリングが当初からそれを計画していたかはさておき、そのことには、私も異論はありません。ただ、「炎のゴブレット」以降で語られている「深刻なテーマ」が、読者にとってファンタジーで読みたいテーマかは疑問です。それをハリー・ポッターシリーズに求めるのは、やはりすでにハリー・ポッターファンになっている人でしょう。

 たぶん、「炎のゴブレット」以降は、「アズカバンの囚人」までにハリー・ポッターの世界に浸ったファンが、最後まで知りたいと思って読み続ける、という性格のものだと思います。
 今から読む人は、DVDを見て「賢者の石」と「秘密の部屋」(さらには「アズカバンの囚人」)まで読んで、楽しかったねでやめるのが正解かも(でも、そこまで読むと続きを知りたくなるのが人情ですよね・・・。それに映画に関して言えば「不死鳥の騎士団」は、楽しいとは言いにくいけどできはいいし・・・)。

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