庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「それでも恋するバルセロナ」
ここがポイント
 ラブコメとして楽しむには、かなりはずしてる
 ずっとナレーションが続いて、何かの操作の説明ビデオか観光案内ビデオみたい

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 バルセロナを訪れた2人の女性が地元の画家との恋に落ちるラブコメ「それでも恋するバルセロナ」を見てきました。
 封切り6週目土曜日、新宿ピカデリーは1日2回上映一番小さなスクリーンに落としていましたが、映画サービスデーの効果か、満席。観客層は圧倒的に女性でした。

 堅実で婚約者のいるヴィッキー(レベッカ・ホール)と奔放な情熱家のクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)は2人でバルセロナを訪れヴィッキーの親戚の家で一夏を過ごすことになるが、妻と暴力沙汰を起こして離婚したばかりの画家ファン・アントニオ(ハビエル・バルデム)に、3人で旅行に行こうとナンパされ、ヴィッキーは止めるが結局3人で旅行することになり、クリスティーナは胃潰瘍で倒れて、2人で酒を飲みスペインギターの演奏を聴いた帰りの路上でヴィッキーとファン・アントニオは肉体関係を持ち、その後ヴィッキーが迫ってもファン・アントニオは婚約者がいるのだから別れた方がいいといい、ヴィッキーは婚約者と結婚し、クリスティーナがファン・アントニオと同棲を始める。ヴィッキーは結婚したことを後悔し、他方ファン・アントニオと暮らすクリスティーナの前に、ファン・アントニオの元妻マリア・エレーナ(ペネロペ・クルス)が現れ・・・というお話。

 この作品、ラブコメとして楽しむには、かなりはずしてると思います。予告編のイメージとは違って、親友同士のヴィッキーとクリスティーナがファン・アントニオに思いを寄せる時期がずれ、「三角関係」という流れにはなりません。マリア・エレーナは、感覚がずれていて、3人で暮らしても嫉妬するでなし、クリスティーナとも関係を持って円満になり、むしろクリスティーナが3人の生活を変えたいと言い出すと、「食い逃げする気」と罵るという具合。ヴィッキーは婚約者がいて、クリスティーナがファン・アントニオの誘いに乗ろうとするのを体だけが目的の男と止めていたのに、クリスティーナを差し置いて自分が肉体関係を持った挙げ句、親友のクリスティーナが同棲しているのに、夫との結婚を後悔しファン・アントニオに思いを寄せる始末で、結婚後にもクリスティーナにもマリア・エレーナにも去られたファン・アントニオの誘いにはついて行くし、言ってることとやってることが真逆。そこまでするならファン・アントニオと一緒になればいいのに、結局夫に秘密で、夫と暮らし続けるわけだし。ラブコメって、やっぱり普通の人の感性の男女が絡んで悩まないと成り立たないんじゃないかと思います。
 結局、結婚やステディな関係に常に不満を持ち続け、隣の芝生を見て青いと思い、不倫に憧れたり実行する、それでも欲求不満を持ち続け、いつまでも満足しない、そういう人たちの映画なんでしょう。

 今どき、ここまでナレーションに頼り切った映画は珍しいと思います。登場人物の会話が続くシーンと音楽を流している場面以外はず〜〜っとナレーションが続いて、ストーリーや登場人物が思ったことを説明し続けています。そういうのを映像と台詞でわからせるのが映画だと思っていたんですが。これじゃあ映画じゃなくて、何かの操作の説明ビデオか観光案内ビデオみたい。バルセロナの街の映像とか、それなりに美しい映像があったと思うのですが、耳障りなナレーションと字幕に追われて、あまり楽しめませんでした。

(2009.8.1記)

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