庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「はじまりのうた」
ここがポイント
 グレタとスティーヴの関係がからりとさっぱりしてすがすがしい
 振り返れば、全体を通して、グレタの生き方のすがすがしさを感じさせる作品

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 自分のスタイルを貫きたいミュージシャンの傷心と再生の映画「はじまりのうた」を見てきました。
 封切り3週目日曜日、新宿ピカデリースクリーン6(232席)午後3時10分の上映は9割くらいの入り。
 アメリカでは2014年6月末に限定5館で上映がクチコミで広がって1300館まで拡大されたというのが売りになっています(公式サイトのイントロダクション「クチコミパワーで5館から1300館へ。異例の大ヒット!」)が、日本では10館スタートで3週目で14館。どこまで増やせるか。もっとも、キーラ・ナイトレイ主演で最初5館というのが不自然で、全米ランキングで2週目(2014年7月4〜6日)が15位、3週目(2014年7月11〜13日)が9位(その後はトップ10に登場せず)ということからしてクチコミでじわじわ広がったというふうには思えません。単に最初が「先行上映」的に絞られてただけなんじゃないかと勘ぐってしまいますけど。

 恋人のデイブ(アダム・レヴィーン)の歌が映画の挿入曲になってメジャー・デビューすることになり、一緒にニューヨークに呼ばれたミュージシャンのグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、自分が作る歌がデイブには賞賛されるがレコード会社には受け入れられず、1か月のツァーから帰ってきたデイブが同行したレコード会社の女性とできてしまったことを知り、旧友の売れないミュージシャンスティーヴ(ジェームズ・コーデン)の家に転がり込む。スティーヴに勧められてライブのステージに立ったグレタはオリジナル曲を歌うが観客には受けない。かつては数々の歌手を育てた敏腕プロデューサーだったが時代の波に乗れず自らが創設したレコード会社をクビになったダン(マーク・ラファロ)は、グレタの歌に感激し、レコーディングしようと誘う。スタジオを借りる金もないダンは、ニューヨークの街頭でゲリラライブをしてその録音でアルバムを作ろうと言うが…というお話。

 グレタとスティーヴの関係が、一緒に住みながら性的なニュアンスさえなくからりとさっぱりしているのが、すがすがしく思えます。スティーヴが醜男だから対象外と捉えると(デイブがイケメンだし)、ありきたりで不愉快ですけど。
 妻が他の男とできてその男に捨てられながらも思いを断ち切れなくて別居中となっているダンが、グレタに惹かれながらも思いとどまる様子も、ちょっといい。ありがちなラブストーリーにしないでやや切なげな爽やかさを感じさせています。
 グレタのデイブへの対応、そしてできあがったアルバムの扱いと、終盤で、グレタの姿勢にさっぱりとした爽やかさが溢れます。そういうことからも、振り返れば、全体を通して、グレタの生き方のすがすがしさを感じさせる作品と言えるでしょう。もっとも、グレタ自身にとっては苦渋の選択でもあり、酸っぱい思い出になる部分があるとは思いますが。 
(2015.2.22記)

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