庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
弁護士の日常 その2
ここがポイント
 10年前と比べ、破産管財事件と債務整理事件が減り、労働事件が増え、上告事件にかかわることが増えた
 土日は電話は一切取らずに事務所で記録検討や書類作成をすることが多くなっている
 2006年1月27日に「弁護士の日常」という記事を書いてからほぼ10年。私の弁護士生活もその頃とは変わってきているかとも思い、改めて1週間を振り返ってみました。

○月×日月曜日
 午前10時15分に過払い金請求の事件の口頭弁論があるので東京地裁に直行。アイフルが例によって無意味な主張をして引き延ばしを図るので、こちらは弁論終結を要求しましたが、裁判所はもう一度続行するというので仕方なく次回期日を入れました。午前10時45分に別の過払い金請求の事件の第1回口頭弁論期日があり、別の法廷に移動し、被告欠席で形だけの手続をし、午前11時30分頃事務所着。私が破産管財人をしている事件での債権者からの問い合わせ、私はどう見ても破産でしょと言っているのに意地でも破産しないと依頼者が言い張るので仕方なく貸金業者との和解契約を完了し支払中の任意整理事件で結局はろくに支払わない一番困ったちゃんの依頼者の件で貸金業者からの問い合わせ、司法支援センターを使用した事件で和解金が入金したけれども司法支援センターの決定がまだ来ないので和解金の依頼者への送金が遅れている(司法支援センターを使用した事件では、和解金は司法支援センターの決定があるまで依頼者に送金できません)件での依頼者からの督促のメールと電話、私のサイトを見てという相談者からの電話に順次応対。月曜日は土日電話に出ない(最近は土日も事務所にいることが多いですが、土日に事務所にいるのはまとまった文書を作成する必要があるためなので、電話には出ませんし、来客の予定も入れません)ため、電話が集中します。この日の午後は、前々から、メール相談から上告理由書の一部の作成を受けた事件(これまでそういう形で受けたことはなかったのですが、気の毒な事案でしたし、弁護士費用もきちんと支払っていただけるということでしたので)の上告理由書作成のためにあけてあり、それまでに記録は読み込んで構想は固めてありましたので、かかってくる電話をこなしながら、上告理由書を起案。午後8時頃一応完成し、依頼者にメールで送信。その後、それまでに来ていた別の依頼者からのメールでの問い合わせに回答を書き、使用者が労働者に巨額の損害賠償を請求してきた事件で私の依頼者である労働者のこれまでのメールでの回答を元に労働者の陳述書の原案を作成して午後10時半頃送信。午後10時50分頃事務所を出て帰宅。帰りの車中の読書は「逆転力」(指原莉乃、講談社AKB新書:AKB新書ってあるの初めて知りました)。

○月△日火曜日
 午前10時20分に残業代請求事件の口頭弁論期日があるので東京地裁に直行。使用者側から、外資系の超高給労働者(基本給最低保障年俸2200万円、実受領額年間50万ドルとか60万ドル)の事案で例外的に残業代は基本給に含まれていると認められたレアケースの判決を理由にした主張と、この会社では「先生と学生たちのような関係」だから残業代請求は馴染まないという主張がなされたので、その判例とは全然事案が違うから適用の余地はないし、労働基準法第37条(時間外割増賃金支払義務)は強行規定だから労使関係である限り「先生と学生たちのような関係」だろうが教祖と信者たちのような関係だろうが当然適用されるという反論を先週金曜日に送っておきました。一体どういうセンスでこういう主張するんだろうと思います。次の予定が1時間後なので弁護士会の図書館で「労働判例」(労働事件の判例を掲載した法律雑誌)の新しい号を読んでから、11時30分からの日弁連労働法制委員会の労働審判プロジェクトチームの会議とその後午後1時からの全体会に出席。途中、厚労省の役人が派遣法改正についてのレクに来て質疑が長引いて会議が午後4時を回ったところで、私は午後4時30分に依頼者を呼んでいたので中座して事務所に戻り、前日に陳述書原案を送った依頼者と打ち合わせ。陳述書の原案についての内容確認と修正ポイントを聞いて、その後修正をして午後6時40分頃メールで送信。その後、前週末に起案して依頼者に上告理由書と上告受理申立理由書の原案をメールで送ってあった(月曜日のとは別の)上告事件について、依頼者の意見を反映した修正案を作成し午後10時過ぎにメールで送信。午後10時30分頃事務所を出て帰宅。帰りの車中の読書は「検事失格」(市川寛、新潮文庫)

○月□日水曜日
 午前11時30分に過払い金請求の事件の口頭弁論期日があるので東京地裁に直行(前日、朝いったん事務所に出るか迷いましたが、夜遅い日が続いているので、記録を持ち帰り直行にしました)。12時頃事務所着。12時30分からコンビニ店長の残業代請求の事件(火曜日のとは別の事件)で依頼者と打ち合わせ。使用者側からの残業の必要性などないという主張への反論のためにコンビニのその店舗の実情等について確認。夕方に新潟で柏崎刈羽原発差止訴訟の弁護団会議があるので、午後1時50分頃事務所を出て午後2時32分東京駅発の新幹線に乗車。車中で、福島原発事故についての東京電力の報告書を検討、その後翌日に検討会がある派遣法改正についての原稿を検討。新潟に着く直前、事務所からメール。翌日面接を入れている私が破産管財人の事件の申立代理人から緊急連絡とのこと。新潟駅に着いて電話を入れると、要求しておいた資料ができていないので面接を延期して欲しいとのいうので翌日の予定をキャンセル。午後5時30分から弁護団会議。12月2日めど提出の準備書面の宿題を確認。とって返して午後7時23分新潟駅発の新幹線に乗車。帰りの車中では、前週に相談を受けた上告事件(これまで登場の2件とはさらに別事件)の1審判決と2審判決を検討。渡された判決文が細かい字の別表付の上に印刷がかすれていてものすごく読みにくい。判決2つ読むだけで帰りの2時間半がまるまる経過。それだけでぐったりする。午後10時頃帰宅。帰宅後、以前からの継続相談の依頼者の問い合わせに回答し、週末の元国会事故調田中チームの会合用の図表を作成し午前4時半頃就寝。

○月◇日木曜日
 午前11時頃事務所着。前夜に作成して自分宛にメール送信しておいたパーツを使用して、週末の元国会事故調田中チームの会合用のプレゼン資料を作成。午後3時半頃メールでメンバーに送信。午後4時から月曜日に新規で申込みがあった上告事件の相談(これまでに登場した3件とはまたさらに別件)。月曜日にFAXしてもらった1審判決と2審判決の内容を踏まえて事実関係を確認したけど、相談者側の主張を裏付ける事実が弱いことから、残念ながら無理だと思うと回答。火曜日に依頼者に送って了解を得た上告理由書と上告受理申立理由書について、翌日提出できるように最終チェックをして各9部印刷。午後6時からの二弁の労働問題検討委員会が編集発行する予定の派遣法改正についての出版物(例によって私は編集責任者)の原稿検討会に30分遅刻で出席、午後11時過ぎまで会議。帰りの車中の読書は「検事失格」の続き。

○月▲日金曜日
 午前11時頃事務所着。任意整理の事件で最後の和解契約書が来た件で、依頼者に契約書の写し一式を送付、労働事件の依頼者から、会社が事件の進行と関係なく払う義務があるものについて払わないという苦情が来ていたので、会社の代理人に督促を書いてFAX。11時50分頃事務所を出てさいたま地裁へ。午後1時10分から、さいたま地裁で定年再雇用後の61歳の更新を拒否された労働者の地位確認(復職請求)事件の口頭弁論。会社側が労働者に更新拒否を告知したときの理由は、社員食堂でおかずを一皿多く取ったとかセルフサービスの飲み物をコップ一口飲んだ後継ぎ足したというもの。著名企業のグループ会社ですが、涙が出るほどご立派な会社だと思う。大企業の労働事件をやるたびに思いますが、超一流と言われる会社でも労働者に対する対応は信じられないほどお粗末というか傲慢な会社が多いと思う。午後2時半頃事務所に戻り、例の困ったちゃん債務者への高飛車で陰湿な債権者からの電話に対応。こちらの依頼者が破産はいやだと意地を張りながら払ってこないことにはこちらも困っているけど、この取立屋の陰険さ加減は特筆もの。午後3時半から法テラス利用の残業代請求の相談。続いて午後4時半から解雇事件の相談。解雇事件の相談が、解雇理由が微妙で5時50分頃までかかる。前日に引き続き、午後6時からの二弁の労働問題検討委員会編集発行の出版物に掲載する裁判例の選定検討会議に30分遅刻で出席、午後11時まで会議。帰りの車中の読書は「検事失格」の続き。

○月○日土曜日
 私は睡眠時間は減らせないたちなんですが、ここのところ就寝時刻が遅くなる日が続き、土曜日の朝寝で睡眠不足解消というパターンが続いています。ということで昼近くに起きて、午後1時からの元国会事故調田中(三彦)チームの続会「もっかい事故調」の会議に出席、私が主張し続けている福島原発1号機の全交流電源喪失は津波到達前に生じていたということを裏付ける新たな根拠について発表。午後5時に中座して事務所に向かい、翌週月曜日が提出期限の同族企業での解雇事件の準備書面案を作成して午後8時半過ぎに依頼者にメールで送信。その後、過払い金請求の事件でのプロミスの準備書面に対する反論の準備書面を作成して午後10時半頃裁判所と被告代理人にFAX送信。プロミスと、向こうに弁護士が付いてまじめに争うの久しぶりですが、はっきり言って、プロミスの対応、かなり劣化してますね。まるで一昔前のアイフルの定型準備書面みたいな内容ですし、すでに最高裁で破棄された高裁判決を引用して主張組み立ててる(最高裁で破棄されたことはひと言も触れていない)って、あきれるとしか言いようがない。午後11時頃事務所を出て帰宅。帰りの車中の読書はまだ「検事失格」の続き。

○月▽日日曜日
 2週間ぶりの完全オフ。裁判所に出す書面(準備書面とか控訴理由書とか上告理由書とか)やそれ以外でも集中して書く必要がある書類を書くには、平日なら夜、そうでなければ土日にということになります。平日は、夜でないと相談・打ち合わせができないという人が割といますし、弁護団会議や弁護士会関係のことで潰れたりしますから、どうしても土日にしわ寄せが来ます。それで、土日(土曜日は睡眠不足解消のために朝寝して午後から、日曜日はカミさんと映画見てランチしてから)に事務所に行き、電話は一切取らずに(電話取ってたら起案ができなくなりますから)記録検討や書類作成ということが多くなっています。でも週に一日も休まないと、メンタル面でしんどくなってきますので、どこで休むかに悩んでいます。この日曜日は、事務所のビルが殺虫剤燻蒸のため立入禁止なので、否応なく完全オフになりましたが…

 10年前と比べてみると、破産管財事件と債務整理事件が減り、労働事件が増え、受任まですることは多くはありませんが、上告事件にかかわることが増えているのがわかります。弁護士会の委員会業務に時間を取られ、原発訴訟を抱えていることは、10年一日の如く変わりがないようですが… (-_-;)

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