庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「カラフル」

 森絵都の児童文学のヒット作をアニメ化した映画「カラフル」を見てきました。
 封切り2週目土曜日朝の上映は2〜3割くらいの入り。若者が多数派ですが中高年も含めた男性一人客もわりといました。アニメファンなのか、宮崎あおいファンなのか・・・

 悪事を犯して死んだが天使らしい者にくじで当たったから修行して成功すれば生まれ変わることができると言われ、服毒自殺した中学3年生小林真の体にホームステイすることになった主人公が、真として日々を送るうちに、友達もなく孤独に絵を描き続けていた真が、あこがれていた後輩のひろかが援助交際をしてラブホに入るのを目撃して衝撃を受け、その衝撃もさめやらぬうちに母親がフラメンコ教室の先生とそのラブホから出てくるところを目撃したためその夜に自殺したことを知り、不倫を続けていた母親に反発し、ひろかや近づいてくる同級生の唱子、不器用に接触する兄や父との間で感情をめぐらせながら、同級生の早乙女との友情をはぐくんでいくというお話。

 さて、ストーリーとしては一応終盤でのどんでん返しが設定されているわけですが、原作を読んでいる観客はもちろん最初からそれがわかっています。その前提で見せるには、もう少し工夫がいるんじゃないかなぁと思います。
 予告映像の時点で、なぜアニメなの?という疑問を持ちましたが、見終わってもアニメにした理由は見えませんでした。実写で難しいような場面はないし、まぁもし考えるなら「天使」ぷらぷらの描き方くらいでしょうけど、アニメでも普通の人とほとんど変わらない絵でしたし。
 アニメでもいいんですけど、アニメでアフレコにしたせいだと思うんですが、前半の台詞がすごい棒読みというかぎくしゃくしてて、何これ?と思います。後半になるとなれてきて(声優が?観客が?)あまり気にならなくなりますけど。
 テーマソングも、(オリジナルは尾崎豊なのを)女性ボーカル使うんなら(明るくしたい意図なんでしょうから)もう少し伸びのある声で歌って欲しかったなと思います。

 きちんとフォローはされていませんでしたが、ちょっと考えさせられるテーマとして、長くて半年のホームステイといわれている主人公が受験をどうするということがあります。どういう結果になっても自分には影響しないし、しかも修行が失敗ならば小林真も死んでしまい真とその家族にとっても受験の結果は無意味になる。そういうシチュエーションでどうする、どう生きるって。余命半年と宣告されたらその後どう生きるかというのと似たテーマです。年を取るにつれ、まぁそういう状況になっても結局それまで通りに日常生活を続けるだろうなと思うようになりましたが、若い主人公が自分の成績では難しい公立高校受験を決意するのはちょっと感動的。

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