庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「ジュマンジ ネクスト・レベル」
ここがポイント
 設定はネクスト・レベルとしてバージョンアップされているが見た印象は前作と代わり映えしない
 ゲームの世界の方が魅力的とも描かれたのは現実世界の生きづらさが強まっていることの反映か
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 ゲームの中に吸い込まれた者たちがアドベンチャーゲームに挑む「ジュマンジ」3匹目のドジョウ、「ジュマンジ ネクスト・レベル」を見てきました。
 公開3週目日曜日、新宿ピカデリーシアター4(127席)午後1時50分の上映は9割くらいの入り。

 前作「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」でゲームに吸い込まれた高校生のスペンサー(アレックス・ウルフ)、マーサ(モーガン・ターナー)、フリッジ(サーダリウス・ブレイン)、ベサニー(マディソン・アイスマン)は大学生となっていた。マーサとの遠距離恋愛がままならず悩むスペンサーは、母と祖父(ダニー・デヴィート)が住む実家を訪れ、かつての仲間たちと会う日を前にして、前作で壊した後に密かに回収してあったゲーム機を見てゲームの世界で無敵のキャラになっていた自分を懐かしみ、再びゲームの中に入ってしまう。スペンサーが現れないのをいぶかしんで実家を訪れたベサニーは、スペンサーの部屋で壊れたゲーム機を発見し、スペンサーがゲームの中にいると考え、救いに行くべきだと仲間たちを説き伏せて…というお話。

 アドベンチャーゲームの中で、別人になって冒険を繰り広げるという、それだけのアイディアのアドベンチャーコメディで、その限りでは楽しめます。基本的に、何も考えずに、その場限りで楽しみ、その場限りで忘れていく(消費する)作品だと思います。
 ゲームの設定はいかようにもできますから、無限に作り出せますし、サブタイトルが「ネクスト・レベル」というのも、まだまだ続編を作ると宣言しているようなものです(ラストシーンで続編を示唆していますし)。しかし、前作と比べてゲーム中の人数を増やし、キャラをチェンジさせたり、場所をジャングルから砂漠と雪山に変えるなどしているのですが、前作よりも見ていて魅力があるかというと、あまり代わり映えしないというのが正直な印象でした。観客を飽きさせずに作り続けるのはなかなかハードルが高いと思います。

 前作のラストでもスペンサーはゲームの世界に名残惜しげな様子を見せていましたが、今回はさらに明確にゲームの世界への郷愁が語られ、ラストでは現実世界への帰還を拒む者も現れます。第1作(1995年)ではゲームの世界に閉じ込められることは悪夢でしかなく、前作(2017年)でも基本的には「もうこりごり」だったはずが、今回はゲームの世界の方が魅力的とも描かれていることは、現実の社会の生きづらさがより強まっていることを反映しているのでしょうか。
(2019.12.29記)

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