たぶん週1エッセイ◆
映画「60歳のラブレター」

 3組の熟年カップルの愛の行方を描いた映画「60歳のラブレター」を見てきました。
 封切り9週目土曜日午前中ですが半分くらい入っていました。客層は中高年中心ですが、若い人もいました。

 仕事一筋に生きて(って愛人もきっちり作ってますけど)大手建設会社の専務になった橘孝平(中村雅俊)と父の決めた結婚相手に付き従って30年の専業主婦ちひろ(原田美枝子)夫婦が、孝平の定年を機に離婚し、孝平は愛人(原沙知絵)の経営する建築事務所、ちひろは家政婦としての勤め先の翻訳家長谷部麗子(戸田恵子)の勧めで美しく装ってパーティに出席し売れっ子ミステリー作家(石黒賢)の目にとまり・・・という2人のその後の人生を軸に、今は家業を継いで魚屋を営むかつてビートルズに憧れてバンドをやっていた松山正彦(イッセー尾形)と集団就職で上京しそのバンドの追っかけをしていた松山光江(綾戸智恵)夫婦、5年前に妻を亡くし今は中3の娘理花(金澤美穂)と2人暮らしのバツイチの医者佐伯静夫(井上順)と惹かれ合う麗子の2つのカップルを絡ませています。

 ストーリーとしては橘孝平・小山ちひろの2人の行方、孝平の新事業の挫折とちひろの前に現れる新たな男、娘マキ(星野真里)の出産とそこに届く30年前のちひろからのラブレターという舞台装置に、別れた2人は・・・というのがメインなんです。
 でも、私は、口げんかが絶えず、かかあ天下の松山正彦・光江夫婦の方が惹かれます。最初、正彦の糖尿病で静夫の病院に一緒に通院し、食事制限と運動を指示されたため、光江にしごかれてひいひい文句を言っていた正彦が、光江の脳腫瘍が発見されて直ちに手術となり、手術後麻酔で意識のない光江の前で夜通し弾き語りを続ける姿はジンときます。その歌が「ミッシェル」というのがノスタルジックというべきか、ハイカラ(この言葉自体が中高年ですが)というべきか。そういう場面にもかかわらず、「ミッシェル」を「ミツエ」に替えないのは照れくさいからか、著作権関係で許諾が取れないからか・・・
 それから、陰のキーパースンは、静夫の娘理花。タバコを吸い、酒を飲み、料理のへたな麗子に反発して、麗子をさんざんこき下ろして麗子の部屋を飛び出しますが、静夫の気持ちに気づいて取る行動が泣かせます。
 私は、どっちかというと、病の光江を思う正彦と、理花の行動に涙ぐみました。

 大人のラブストーリーというか、不器用な人たちのラブストーリーに、ほろっとしたり、安心するというのが、穏当な見方でしょう。 

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