庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「クーパー家の晩餐会」
ここがポイント
 それぞれの問題を抱えながら家族が集まることでしこりが溶けて行くところに温かみを感じる予定調和的な作品

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 それぞれに悩みを抱えた大家族が集まって過ごすクリスマスイヴを描いたほのぼの系映画「クーパー家の晩餐会」を見てきました。
 封切り3日目日曜日、全国で14館東京で2館の上映館の1つTOHOシネマズシャンテ2(201席)午前11時10分の上映は7割くらいの入り。
 アメリカではクリスマスシーズン前の2015年11月中旬公開で、週末興収は第1週3位、第2週6位の後はベスト10から消え、クリスマスまで持たなかったもよう。日本ではクリスマスを遥かに超えて2月中旬になって14館で公開。どちらも興行の時期を間違えてるんじゃないかなと…

 30年前に果たせなかったアフリカ旅行を今こそ実現したいと言いだして妻シャーロット(ダイアン・キートン)に断られてキレ、家を出て行くと言いだしたサム(ジョン・グッドマン)に対し、シャーロットはせめて家族で過ごすクリスマスイヴまで黙っているように求めた。子どもの頃からシャーロットにねたみを感じ素直になれない妹エマ(マリサ・トメイ)はエマの名前でボランティア団体に寄付をしているというシャーロットへのプレゼントにお金を出すのが癪でブローチを万引きしてしまって見つかり、警察につき出されてしまう。シャーロット夫妻の息子ハンク(エド・ヘルムス)は、離婚した元妻アンジー(アレックス・ボースタイン)から長男チャーリー(ティモテ・シャラメ)へのプレゼントとして自転車を求められるが、実は失業して就活中のためプレゼントを買えずにいた。シャーロット夫妻の娘エレノア(オリヴィア・ワイルド)は、妻子ある医師(ジョン・テニー)と不倫中だが、母シャーロットの失望した顔を見たくなくて、空港で出会った共和党支持者の軍人ジョー(ジェイク・レイシー)に恋人のふりをして晩餐会に出席するように頼む。シャーロットの父バッキー(アラン・アーキン)は、妻の死後、気に入った若いウェイトレスのルビー(アマンダ・セイフライド)がいるレストランに5年間通い続けていた。シャーロットが一族が集う最後のクリスマスイヴと、張り切ってごちそうを用意する中、続々と一族が集まり晩餐会が始まった。ハンクとアンジーの不協和音など不穏な空気が流れる中、遅れてやってきたエマはやはりシャーロットに対して素直になれず…というお話。

 一緒にアフリカ旅行に行こうと妻を誘って断られたからといって離婚を言い出すサム、子ども(といってもすでに独立して別居しているハンクとエレノア)を置いて旅行になど行けないと断って離婚を前提に動くシャーロットの夫婦、姉へのねたみを持ち続け和解できないエマの依怙地さ加減が、そういうものかなぁという思いと、まぁそういうものかもという思いに少し苦笑いしつつ挟まれる感じがします。ハンクが失業を言い出せない、エレノアが不倫中というのを隠したい、というのはまぁそうだろうねという気持ちの方が強くなりますが。
 それぞれの依怙地さや問題を抱えながら家族が集まることでしこりが溶けて行く、予定調和的で概ね行き先の見える展開ですが、そこに温かみを感じる作品だと思います。

 バッキーのルビーへの気持ちは、老いらくの恋なのか、孫娘を見守るような心情か。
 チャーリーの思い人ローレン(モリー・ゴードン)のキスがすごい。
 エレノアの空港と病院での爆走ぶりがすごい。
 ハンクの次男のポー(マクスウェル・シムキンス)と娘マディソン(ブレイク・バウムカートナー)が、生意気な台詞もあるけど、やはりかわいい。

 ダイアン・キートンが老夫婦の妻で元教師という役柄の映画を、先週の「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」と2週続けて見ることになりました(元教師というのは、「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」では原作がそういう設定だからそうなりますが、「クーパー家の晩餐会」はオリジナル脚本で、それでもそうなるのはダイアン・キートンのイメージということなんでしょうけど)。「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」では夫役が年老いて体力が落ちたという設定のモーガン・フリーマンなのに対して、「クーパー家の晩餐会」では夫役が肥満体ということもあり、関係性が少し違って見えます。それでもさすがに続けて見ると、イメージが重なるというか、紛れてくるところがあり、「クーパー家の晩餐会」のシャーロットの意地を張り頑なな部分の演技が「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」の残像のためにぼやけて見えてしまったかなという感じもしました。
(2016.2.21記)

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