たぶん週1エッセイ◆
映画「パーマネント野ばら」
ここがポイント
 出てくるのは薄幸の女たちとろくでなしの男たちばかりで、どこかもの悲しい
 子どもの目から見た母の不幸とそれを思いそれに翻弄される子ども自身のシーンが涙を誘う

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 ひなびた港町で生きる薄幸の女たちを描いた映画「パーマネント野ばら」を見てきました。
 封切り2週目土曜日午前中は4割くらいの入り。観客層は中高年中心。一人客がずいぶんと多い印象でした。

 離婚して一人娘のもも(畠山紬)とともに、ひなびた港町で美容室「パーマネント野ばら」を営む母(夏木マリ)の元に戻ったなおこ(菅野美穂)が、幼なじみで今はろくに働かずホステスを口説いて回るヒモ夫に悩むクラブのママみっちゃん(小池栄子)、暴力男続きでやっと殴らない男と結婚したらギャンブルに狂い失踪されたともちゃん(池脇千鶴)らの悩みを聞きながら送る傷心の日々を描いた映画です。

 幼なじみ3人組の不幸な人生と、男運に恵まれないと言いつつおばさんパワーを発揮する親世代の生き様が、切なく描かれています。パーマネント野ばらであけすけに猥談を続けるおばさんたちは力強くも見えるし、おじさんを自転車の後ろに乗せてラブホにはたき込むおばさんもコミカルに描かれているんですが、出てくるのは薄幸の女たちとろくでなしの男たちばかりで、どこかもの悲しい。若い頃に子どもたちに肉を買ってやりたくて電信柱をチェーンソーで切り倒して売って味をしめてから惚けた今も時々電信柱をチェーンソーで切り倒して一帯を停電させるみっちゃんの父親とか、いかにも西原ワールドらしい登場人物で笑えるけど切ない。
 とりわけ、母親が男を乗り換え翻弄される姿を見て育ったなおこの子ども時代、両親が離婚して傷心の日々を送る母親を見つめるももといった、子どもの目から見た母の不幸とそれを思いそれに翻弄される子ども自身のシーンが涙を誘います。

 その中で周りの人々の不幸や事件の聞き役、慰め役になっているなおこ自身の高校教師カシマ(江口洋介)との恋愛の行方がストーリーの要となりますが、これがまた切なく悲しい。
 でも・・・それにしてもカシマの「帯でぐるぐる」って、なおこさん、そういうこと前にやってたの?

 若いカップルの観客はほとんど見ませんでしたけど、おばさんたちのあけすけな会話を見ると、少なくともまだHしてないカップルは、一緒に見るのは避けた方が無難でしょう。 

(2010.5.29記)

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