たぶん週1エッセイ◆
映画「プロメテウス」

 人類の創造主と見られる未知の生命体の探索と接触を描いたSF「プロメテウス」を見てきました。
 正規の封切りから2週目の土曜日映画サービスデー、シネマスクエアとうきゅう(224席)午前10時50分の上映は8割くらいの入り。観客の多数派は男性客。

 複数の古代文明の壁画に6つの星からなる共通のサインを見つけ出したエリザベス(ノオミ・ラパス)はこれを人類の創造主からの招待状と捉えた。この考えに応じて巨大企業ウェイランド社が1兆ドルの資金を拠出した宇宙船プロメテウス号が、2093年、目的の惑星に到着した。乗組員たちが訪れた古代遺跡のような空間は地球と同じ環境が維持され、遺体とホログラム映像が残されていた。遺体の頭部をプロメテウス号に持ち帰りDNAの分析をしたエリザベスは人類と完全に一致することを確認し、この惑星の住人が人類の創造主と確信する。しかし、その創造主が絶滅していると思われたことから、直ちに帰還すべきと主張する意見も出て、乗組員の間で計画の続行の意味について対立が生じた。そうするうちにエリザベスの恋人のチャーリー(ローガン・マーシャル=グリーン)が感染症に倒れ、エリザベスは妊娠を告げられるとともに体内で急速に成長する異物に脅威を感じる。アンドロイドのデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)は惑星の住人のうち1人は生存していると主張して乗組員を先導するが・・・というお話。

 予告編でもキーポイントになっている古代文明に共通する6つ星のサインですが、このサインが何なのか、結局確認できず、時代の異なる文明で共通するところからして何度か宇宙人が訪れていたことを示唆しているのにその訪問に関しても何も語られないところに欲求不満を感じる映画でした。
 人類の創造主というところも、冒頭の示唆的な映像と、DNAの分析以外には、その動機もメッセージも出てきません。
 未知の生命体とのコンタクトという宇宙ものSFの定番の映画と割り切ってみた方がよさそうです。

 アンドロイドのデヴィッドの位置づけが、私にはちょっとわかりにくく思えました。チャーリーを陥れる動機が今ひとつ見えず、といって他の場面ではプロメテウス号の乗組員への敵意を示す場面がありません。アンドロイド故の思いなり、使命なり、あるいは不条理な役回りで敵対行動を続けるのならば、それはそれでサイコホラー的な色合いになるのでしょうけど、他の場面では乗組員の味方として行動されるとそうも見えず(2001年宇宙の旅のハルにもなれず)チャーリーの場面が浮いてしまいます(陥れるのなら隔離してやれよとも思いますし)。

 最初の方で、人工冬眠から醒めたエリザベスが吐きまくるシーン。冬眠からの覚醒時に体が異常を感じて吐き気がするというのは何となく納得できるんですが、人工冬眠から醒めたときの胃に吐くべき内容物が大量にあるというのはどう想像力を働かせても考えにくい。人工冬眠自体荒唐無稽な話ですから細部にこだわっても仕方ないともいえますが、できないはずのことをできることに「えいやっ」とやってしまう以外の部分は、それなりに説得力を持たせて欲しい。そういうのがSFなりの作り込みだと思うんですが。

 まぁ、そういうことはあまり気にしないで、映像の壮大さや迫力を純粋に楽しむという見方をした方がいいんでしょうね。

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