庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「サンバ」
ここがポイント
 不法移民にも人生があり生活があり喜怒哀楽がある、そういうことを再認識させる作品
 排外主義者や移民を食い物にする業者を描かなくていいのかとも思うが、アリスのサンバへの気遣い・思いが少しいい感じ

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 出国を命じられ警察の目を逃れて働く不法移民の悲哀としたたかさを描いた映画「サンバ」を見てきました。
 封切り3週目月曜日祝日、新宿武蔵野館3(84席)午前9時45分の上映は6〜7割の入り。観客の年齢層は高め。

 人材紹介会社でノルマに追われて働き続け燃え尽き症候群で心を病んで休職し移民支援のボランティアを始めたアリス(シャルロット・ゲンズブール)は、オーバーステイで収容されたフランスに来て10年のレストランの下働きをする青年サンバ(オマール・シー)を担当し、距離を置けという先輩のアドバイスも忘れて思い入れを持つが、サンバは国外退去を命じられてしまう。おじの身分証を借りて夜警や建設現場の仕事などを続けるサンバは、そこで知り合ったブラジル人と名乗るアラブ系不法移民のウィルソン(タハール・ラヒム)と仕事を転々としながら、警察官が来ると逃げ隠れする生活を続けるが…というお話

 適法なビザを持たない不法移民にも人生があり生活があり喜怒哀楽がある。偽造のパスポートや身分証明書を使い、虐げられつつもしたたかに働き、恋もセックスもするし、友情も諍いもある。当たり前ではあるけれども見えにくいそういうことを再認識させる作品です。
 移民支援団体のボランティアアリスの視点が入ることもあり、移民を支援する人々や、警察から追われる不法移民をかばう人など、オーバーステイの移民の生活を比較的温かく見守る人の存在が描かれ、排外主義者たちや不法移民を買い叩いて利益を得る業者などの存在は見えにくくなっています。そういう描き方がいいのか、あるいはフランスでは移民差別や移民を食い物にする業者が少ないのか(たぶんそんなことはないと思いますが、日本よりはましなのかも)とも考えますが、そこらへんはやや違和感もあります。

 ストーリー展開では、サンバを中心に、サンバとウィルソンら移民たちの友情と、収容所で探索と伝言を頼まれた相手の女性とHしてしまったサンバの負い目などがメインストリームとなり、やや脇に置かれる感じになってしまいますが、アリスのサンバへの気遣い・思いが少しいい感じでもあります。
 初めて2人で語り合う夜に、アリスが燃え尽き症候群だと語るのはいいとして、何に逃避するかで、セックス依存症だというのは、次に冗談よというにしても、誘いなのだとしてもちょっといただけない。少しビックリしながらも笑い、それで口説きに行かないサンバの方が、少し上手かなと思います。

 追われて逃げるサンバが動いて離れていく可動橋に飛んで欄干にぶら下がるシーン。先日見た「天才スピヴェット」とダブってしまいました。「天才スピヴェット」ではそのときにスピヴェットが肋骨を折ってしまうのですが。どちらも、ロンドン橋やかちどき橋のような上下動する可動橋ではなくて、橋が水平に動くものですが、そういう橋はそんなにあるのでしょうか。
(2015.1.12記)

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