たぶん週1エッセイ◆
映画「シーサイドモーテル」

 ひなびた山奥のうらぶれたモーテルで一夜を過ごす11人の男女を巡るコメディ映画「シーサイドモーテル」を見てきました。
 封切り3週目日曜昼で、4〜5割くらいの入り。

 原価200円のクリームを4万円で売るセールスマン亀田(生田斗真)がチェックインした103号室に、部屋を間違えて訪れたコールガールキャンディ(麻生久美子)は、亀田の愚痴を聞き、モーテルの写真の南の島に一緒に逃げないかと誘い、亀田がその気になると「ここからは有料。その気になったら呼んでね」と帰り、亀田は悶々とする。賭博の借金を踏み倒して女(成海璃子)連れで逃げて来た陽ちゃん(山田孝之)は取り立てに来た組員(玉山鉄二、柄本時生)に踏み込まれて縛り上げられ、そこに組から頼まれた伝説の拷問師ペペ(温水洋一)が現れる。激安スーパーの社長太田と(古田新太)とその妻美咲(小島聖)がチェックインした203号室では、コスプレをしてもEDの夫に不満の妻をパチスロに生かせてその隙にコールガールを呼ぼうともくろむ太田に妻は化粧を施して「帰ってきた時メイクを落としていたら即離婚よ」と告げて出かける。キャバクラに半年通い詰めてようやく温泉旅行を承諾させた石塚(池田鉄洋)は車の故障を装ってキャバクラ嬢マリン(山崎真実)をシーサイドモーテル102号室に連れ込むが、マリンは不満を言い続け一人でヨガを続ける。亀田とキャンディの思いは交錯し、拷問師の拷問が続き陽ちゃんは煮詰まり、美咲の交通事故を知って太田はメイクのまま駆けつけ、石塚はマリンをくどき続け、夜は更け・・・というお話。

 各部屋の進行は、時々絡みますが、1つの物語には収斂せず、群像劇風に進行し終わります。コメディですから、それほどストーリーに重きは置いていないでしょうけど、そこはやや散漫な感じがします。
 基本的には、103号室の詐欺師のようだが腕のよくないセールスマンと「三十路を前にした」(麻生久美子はもう30歳過ぎているはずですが・・・)コールガールの化かし合いと時に触れ合う心情を軸に、202号室の取り立ての進行をストーリーとしてのメインにおいて、それに203号室と102号室のエピソードを絡ませるという構成です。
 詐欺セールスマンとコールガールの嘘とその陰の純情な一面、手練と捨て鉢な態度の合間に垣間見せる麻生久美子の心情が切ない。ほろりとさせるのは、こちらと、後は妻を思う太田の思いくらい。この部分で感傷的にならなければ、単純にコメディとして笑えるかがポイントの映画でしょう。わりと笑い声は続いていましたが。

 ただ、設定はかなり苦しい。亀田は出張営業としてもなぜ山の中のモーテルに送り込まれたのか。陽ちゃんは、最後の設定からするとどうして高飛びしないで3日間もモーテルにとどまり続けたのか。それこそベルギーの猫祭りでも何でも行けばよかったのに。そして石塚。200万円もつぎ込んでキャバクラ嬢落とすなら温泉旅行豪華ツアー16万円ぐらいけちるなよ・・・(というか、最後で16万円をけちるならなぜ200万円もつぎ込む?)
 主題歌の「ランナウェイ」。映画の進行やイメージには合っていますが、私には学生時代に流行った懐メロ(1980年の曲)。「三十路前」の(こだわりすぎ?)麻生久美子が口ずさむのは無理があると思うんですが。

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