たぶん週1エッセイ◆
映画「サブウェイ123 激突」
ここがポイント
 今どきのアメリカ映画には珍しいくらいシンプルに正義が貫かれている
 恐怖を隠しながら最後の言葉を思う夫と死なずに帰ってきてと願う妻のやりとりが切ない

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 地下鉄乗っ取り犯と運行司令室職員との交渉、駆け引きを描いた映画「サブウェイ123 激突」を見てきました。
 封切り3週目祝日夕方、109シネマズ木場はカムイ外伝もTAJOMARUもウルヴァリンも押しのけて2番目に大きなシアター3を割り当てていましたけど3割も入ってませんでした。

 収賄の容疑で課長から降格されて運行司令室で通信していた地下鉄職員ウォルター・ガーバー(デンゼル・ワシントン)は、たまたま乗っ取られた地下鉄ペラム123からのライダーと名乗る乗っ取り犯(ジョン・トラボルタ)からの通信を受けたためにそのまま犯人との交渉役に指名され、犯人をなだめ時間を稼ぎ情報を聞き出しといった交渉・駆け引きをやらされた挙げ句、身代金を持って犯人たちの元へと送り込まれ・・・というお話。

 ストーリーそのものは、今どきのアメリカ映画には珍しいくらいシンプルに正義が貫かれています。正義の行方のあいまいな部分は、デンゼル・ワシントンが車両選定をめぐって収賄をしたとされている点と市長がそれを解決してやると言っているあたりくらいです。
 また、乗っ取り事件をテーマとしたわりには犠牲者も意外に少なく、アクションものというよりは、デンゼル・ワシントンとジョン・トラボルタの駆け引きというか心理戦が見せ場となっています。

 感情的な浮き沈みの激しい乗っ取り犯を、比較的冷静になだめ対応するデンゼル・ワシントン。乗っ取り犯から身代金の運搬役に指名され、断れずに危険な役を引き受けるデンゼル・ワシントン・・・乗っ取り犯から人質の身代わりを提案された市長は断っているのに!。ほとんどデンゼル・ワシントンで成り立っている映画という感じ。
 そのデンゼル・ワシントンが、身代金の運搬役となるときの妻との電話のやりとり。娘に明日のハードル走で思い切って前に進めと伝えてくれと言うデンゼル・ワシントン。帰りに必ずミルクの大パックを買ってこいという妻。恐怖を隠しながら最後の言葉を思う夫と死なずに帰ってきてと願う妻のやりとりは切ない。娘の映像を入れて作れば確実に泣かせるシーンですが、監督の趣味でか娘は登場しませんでした。

 犯人が指定した1時間に間に合わせるために身代金を運んで爆走して事故にあう警察官(地下鉄乗っ取り犯に射殺された数より搬送中の事故での警察官の犠牲者の数の方が多そうな)。多数の白バイに先導されたパトカーがサイレンを鳴らして走っているのに停まらずにパトカーをはねとばすトラック。このあたり、日本とは文化が違う感じがしました。
 デンゼル・ワシントンが車両選定に関連して賄賂をもらう相手は、やはりというか、日本のメーカー。日本のメーカーはアンフェアな手段を用いて儲けているというイメージは、今でも強いんでしょうね。

(2009.9.22記)

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