庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

女の子が楽しく読める読書ガイド
エリオン国物語 (原題 : The Land of Elyon)
パトリック・カーマン作  
T アレクサと秘密の扉(THE DARK HILLS DEVIDE) 2005年
U ダークタワーの戦い(BEYOND THE VALLEY OF THORNS) 2005年
V テンスシティの奇跡(THE TENTH CITY) 2006年
 12歳の普通の少女アレクサが主人公のファンタジーです。
 アレクサはエリオン国の町の1つのラスベリーの町長の娘。好奇心が強い読書好きの少女です。12歳ですが、大人の男というか老人と仲良しで、町の創設者で伝説の冒険家ウォーヴォルドは冒頭でさらっと「友だち」と紹介されています(T12頁〜)し、図書館の管理者の老人グレーソンは「いちばんの親友」(T38頁)。大人のたまり場の喫煙室がお気に入りなのは、きっと作者がヘビースモーカーなんじゃないかと疑いますし、法律関係の本が退屈な本の筆頭にあげられている(T53頁)のは、私としてはちょっと悲しいですけど。
 アレクサは好奇心が強い物怖じしない少女と描かれています。目の前でウォーヴォルドが死んだときにロケットから怪しい鍵を抜き取り、そのときにもロケットに何も残っていないと怪しまれると2つの鍵のうち1つを戻したりと冷静に思考しています。外の世界に出てからも小人やうさぎ、オオカミ、リス、熊に導かれて冒険を重ねますが、オオカミや熊が出てきても冷静に勇気を持って対応しています。Uになると巨人や闇の王子と対峙しても逃げずに頑張ります(実際に戦うのはまわりの者ですけど)。
 アレクサ以外には女性がほとんど出てこず(Uでようやくアレクサを案内するマーガレットが登場しますが、それほど活躍しませんし・・・、UVで登場するレニー=キャサリンなんて弱って寝てるだけだし・・・)、そのあたりが、女の子にお薦めするのには少し寂しいですが。
 Tでは、壁の外ではアレクサが1人で冒険します(町に戻ってからは大人たちの陰で少しかすんでしまいますけど)。Uでは、最初の方はアレクサの冒険ですが、途中から巨人が同行し、さらにカスタリアの指導者バルモラルとか大人の男が出てくると戦いはそちら中心になって、主人公としては象徴的な役割だけになっていきます。Uの終わりで大人たちに囲まれてテンスシティを目指し、Vでも冒険は巨人アーモンやリスのマーフィーが前に出て闘いアレクサは方向は示しますが、それも創造主エリオンの声に導かれるだけで受動的であまり活躍って感じがしません。お話が進むに連れてだんだん女の子にお薦めするのにためらいが感じられます。Vの最後でアレクサの成長物語と位置づけられますので、辛うじてってところですがお薦めに残しておきます。

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