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たぶん週1エッセイ
ハリー・ポッターと死の秘宝Part1(映画)

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 2010年12月4日、「ハリー・ポッターと死の秘宝Part1」を見てきました。
 封切り3週目土曜日、定員1064人の新宿ミラノ1午前11時50分からの上映はざっと数えて30人強くらい。2週連続ぶっちぎりの1位の興行成績という話ですが、あまりにも閑散とした客席に驚きました。
 以下、基本的には、ハリポタマニア向けのネタバレ解説です。

 原作でもそうですが、前半(原作の第24章まで)にあたるPart1は、ほとんどハーマイオニーの独壇場の感があります。
 冒頭の両親の記憶を消すハーマイオニーの姿に、ハリーとともにヴォルデモートの「分霊箱」探しの危険な旅に出る決意と悲しさがにじみ出て、涙を誘いますし、その後もほとんどハーマイオニーの知恵と行動力で冒険が進んでいきます。
 ハーマイオニーの位置づけで原作との違いを感じるシーンは、今回は少なく、ロンが、例によってハリーと口論の末に、テントを去る際に「キミはどうする」と聞かれたハーマイオニーが、原作でははっきりと私は残ると宣言するのに対して、映画では黙っているという点で、例によってハーマイオニーの主体性が弱められている点くらいでした。
 登場人物の恋愛関係も、さすがにごまかす段階にはなく、原作通りにハリーとジニー、ハーマイオニーとロンの関係が明確にされています。
 そしてPart1のハイライトは、原作を読んだときにも一番悲しく思えたシーンですが、ドビーです。原作ではこのエピソードだけの登場ですが、映画では観客に先に思い出してもらいたいのでしょう、ドビーがその前にも登場します。ここは原作を変えて正解かも。

 死の秘宝で原作と異なる部分は多々ありますが、一番大きな点は、ダンブルドアの過去についての描写を避けようとしているように感じられることだと思います。リータ・スキーターの暴露本やミュリエル大おばさんの話でダンブルドアの父親のマグル殺しは登場するものの、Part1では、ダンブルドアとグリンデルバルドの関係が徹底的に回避されています。それにあわせてビルとフラーの結婚式でのクラムの話が入らず、ヴォルデモートの「ニワトコの杖」探しの過程でもグレゴロビッチから杖を奪った若者の話がカットされ、グリンデルバルドの名前が一度も登場しないままにヴォルデモートがニワトコの杖の前に達しています。Part2でアバーフォースに出会ったときに描かれるのかも知れませんが、原作では映画と違ってハリーのダンブルドアへの不信やいらだちがほとんど描かれていないことからしても、たぶんPart2でもこの問題は回避するつもりのように見えます。そうなると、原作の死の秘宝で、冒険部分とは別に一番の読ませどころと思われるダンブルドアとプリンスの物語の半分が映画では無視される(まさかとは思いますがPart2でプリンスの物語もカットする?)ことになり、原作とずいぶん味わいが違ってくるように思えます。ダンブルドアの正しさのみを描いてハリーとダンブルドアの信頼関係に傷をつけない方が、シンプルで映画にしやすいとは思いますが、2部作にして時間をたっぷり使いながらシンプルにこだわるのも、なんだかなぁという気がします。
 次いで原作を曲げたために理解しにくくなっているのは、隠れ穴(ロンの家)です。死の秘宝で最初の見せ場の7人のハリーとハリーの影武者たちが(最終的に)隠れ穴を目指すことは原作通りなんですが、映画では前作の謎のプリンスで原作と違ってレストレンジらが隠れ穴を襲撃して放火しているため、死喰い人に知られかつ簡単に襲撃されるような無防備な場所と描かれてしまった隠れ穴になぜハリーを直接向かわせるのか理解できません。
 それから、透明マントの扱い。原作では死の秘宝でもハリーは透明マントを持ち歩き、死喰い人を警戒して度々顔を変え、透明マントに隠れて歩いていますが、映画では魔法省に潜入するとき以外はハリーは素顔のままの上透明マントはまったく登場しません。そこは、絵としてダニエル・ラドクリフとエマ・ワトソンで行きたいからと理解します。しかし、決定的に不自然なのは、ゼノフィリウス・ラブグッドから死の秘宝の説明を受けたときに、3つめの秘宝が透明マントと聞いておきながら、誰一人ハリーの透明マントに言及しないことです。
 他にも、ヘドウィグの死に方が違う(これは映画の方がいいかも)とか、スニッチの「肉の記憶」や分霊箱の破壊方法を知る時期が違うとか、ロンが化けたレッジが妻とキスしてるとか、フィニアス・ナイジェラスもディーン・トーマスも登場しないとか、ポッター・ウォッチも出てこないとか、細かい違いはありますが、2部作に分けて時間がたっぷりあったこともあり、大部分は原作通りになっています。

 Part2は2011年7月15日公開予定とのことです。ダンブルドアとプリンスの物語がいったいどう描かれるのかという不安と期待を持ちつつ、待ちたいと思います。

 映画「ハリー・ポッターと死の秘宝Part2」はこちら
(2010年12月5日記)

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