庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

  ◆過払い金返還請求の話

 端数処理をどうするか

  制限利息の計算

 利息制限法の制限利率は上限を定めるものですから、これを超えることは認められません。従って、制限利息の計算で「切り上げ」や「四捨五入」は認められません。
 しかし、計算の都度「切り捨て」をすべきかどうか、つまり計算の過程で端数処理をしなければならないかは、法令上明確な規定はありません(最終的な請求額の段階では通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第3条の規定で、端数処理をすることになります。そのため、過払い金返還請求はこの条項に従った原則論で四捨五入となります。他方、貸金請求は、利息制限法が上限を定めている関係で、四捨五入はできませんから、切り捨てになります)。
 実際には、貸金業者側が出してくる利息制限法引き直し計算書で、制限利息の計算の都度端数切り捨てをしていない例は見たことがありません(私が気がつかなかったことがあるのかもしれませんが)。実務上は、貸金業者側も、制限利息の計算の都度端数を切り捨てて処理しています。
 では、現在の実務で何の疑いもなく行われている制限利息計算の都度の切り捨ては法的根拠はないのでしょうか。
 私は、現在の実務は、貸金業者と借主の契約条項と条理にあると考えています。どういうことかというと、貸金業法施行規則第13条第1号ヘの規定で貸金業者は契約書で「利息計算の方法」を明示することを義務づけられています。ほとんどの貸金業者は、これにより契約書に利息計算の方法を記載する際に1円未満の端数は切り捨てると明記しています。利息制限法は、制限利率で利息を計算することを定めているだけですから、計算方法は契約条項なり他の法律で定まることになり、契約上利息計算で端数切り捨てとされていれば、当然制限利息の計算では端数切り捨てになるはずです。
 利息計算の方法の記載で端数切り捨てを明記していない貸金業者の場合はどうでしょうか。その場合でも、約定利息を計算して処理する際に実際には1円未満を切り捨て処理しているはずです(今のところ、そうでない貸金業者は見たことがありません)。そうであれば、契約書に明記されていなくても利息計算の方法としては1円未満の端数を切り捨てており、本来明示すべきことを怠っているだけですから、条理上、端数切り捨てを明示している場合と同様に扱うべきだと思います。

  過払い法定利息の計算

 これに対して、過払い利息は、契約に基づいて発生するものではなく(制限利息は契約に基づいて発生する利息が上限を超える部分が無効とされるだけです)法律の規定(民法第704条)によって発生するものですから、その計算方法は契約によるのではなく法令によるべきことになります。そして、過払い利息の計算の過程において端数をその都度処理すべきか、どう処理すべきかについては法令の規定がありません。
 過払い利息の利率は、上限として定められているものではありませんから、理論上は、切り上げや四捨五入をする余地もあります。しかし、現金で支払いをする場合以外には端数処理をすること自体、法令上の根拠がありませんから、過払い利息の計算で切り上げ、四捨五入を正当化するのは、実務上困難であると考えます。
 他方、切り捨て処理をしないことは、それを違法とする法令上の根拠はありませんから、過払い利息の計算でその都度切り捨て処理をしない請求をした過払い債権者に対して切り捨て処理を求める法令上の根拠はないということになるはずです。    

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