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   ◆活動報告
  公安調査庁長官への要望書

 2016年5月31日、松本サリン事件の遺族と公安調査庁長官が面談し、遺族側は、以下の要望書を提出しました。
要   望   書
 私たちは、平成6年6月27日深夜に引き起こされた松本サリン事件において、かけがえのない子どもを亡くした被害者遺族です。松本サリン事件から、間もなく22年が過ぎ、私たち遺族は今年6月に、犠牲者となった子どもの23回忌を迎えます。
 この間、公安調査庁長官におかれましては、オウム真理教の後継団体であるアレフ及びひかりの輪(以下「オウム真理教」ないし「オウム真理教の後継団体」とさせていただきます。)に対する観察処分を実施するなど、日々職務に精励されていることに、遺族としては、大変に感謝しております。
 他方、現在でもなお、私たちの子どもを殺害したオウム真理教が存在し勢力を拡大しつつあることに、遺族としては強い憤りとともに多大な脅威と恐怖を感じております。遺族の立場からすれば、アレフ、ひかりの輪の名前を問わず、オウム真理教の後継団体が存在し続けること自体が大変な苦痛です。
できましたらこれら団体がすべてこの地上からなくなることを強く願うものです。それがなくなるどころか、勢力を拡大しつつある現実に、遺族としての無力感を感じる日々をすごしております。
 したがいまして、公安調査庁におかれましては、観察処分に基づく立入検査などをさらに強化していただき、オウム真理教の勢力がこれ以上拡大しないようにご尽力いただければ幸いです。
また立入検査等を通じて得たオウム真理教の現在の変わらぬ実態について、われわれ遺族だけでなく、広く国民に対して情報の公開を通じ注意喚起を行っていただき、強く警鐘を鳴らしていただきますようお願い申し上げます。
 加えて貴庁のみならず、他の政府の関係機関や関係地方公共団体との連携も強めていただき、オウム真理教の活動を封じ込めるとともに、実態を解明し、オウム真理教に新たに入信する信者がないような施策も検討していただければ幸いです。
 この点で、松本サリン事件からも20年以上たった現在においても、オウム真理教事件についての総括的な政府報告書が存在しない現状はとても残念です。可能であれば、貴庁が先導し、政府内にオウム真理教事件についての調査研究の場も設けていただき、二度と私たちのような被害者が生まれないような施策の研究とその実施も検討していただければ幸いです。昨今、海外において、オウム真理教のアジトに強制捜査が入ったという報道も目にしますが、海外の関係機関との連携も強化していただくうえでも、大切なことだと思われます。
 貴庁におかれましては、松本サリン事件、地下鉄サリン事件と、二度にわたり引き起こされたサリン事件のような悲惨なテロ事件が再び引き起こされないよう、これまでもこれからも国民の安全と安心を守るために、ご尽力をいただければ、幸甚の極みです。

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