庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

  ◆活動報告:原発裁判(六ヶ所)◆
  本件再処理工場における臨界事故の危険性(その3)
  引用文献

臨界安全ハンドブック19頁の表(JACSの計算誤差評価)
 画像としては直接にはJAERI−Data/Code99−019の3頁を使用しています
 非均質−MOX(溶解槽の体系)についてはベンチマーク計算の標本数64で推定臨界下限値は0.980とされています。
JAERI−M9859のケース9(54頁の表4.11と55頁の表4.14)
 JACSの再処理工場の設計で使用する137群での実効増倍率計算値は右端の欄です。
 実験番号115では0.9363、実験番号116では0.9474、実験番号141Rでは0.9446という致命的な過小評価の計算結果を出しています。他の実験でも、臨界安全ハンドブックが非均質−MOXの推定臨界下限増倍率としている0.980よりも過小評価(これはあってはならない数値)が多く見られますね。

JAERI−1303のC15とC16
 日本原子力研究所の論文なのに、こういうふうに英文なんです。
 表の方を見ると右端がJACSによる計算結果(細かく言うと一番右の数字は標準偏差で、右から2番目の数字が実効増倍率計算値)です。C15の方を見ると軒並み0.978未満。それどころか0.8962なんて破滅的な計算結果さえあります。
 私の訳はこちら




JAERI−1303のC15、C16の訳文(伊東良徳作成)
[24頁の3C15〜25頁]:アンダーラインは英文のマーカー着色部に対応
3.C.15 硝酸ウラニル溶液内の二酸化ウラン燃料
 実験は、アメリカのBNWL(訳注:バッテル・パシフィックノースウェスト研究所)において、硝酸ウラニル中の二酸化ウラン燃料集合体の臨界に可溶性中性子吸収材のガドリニウムが及ぼす影響を測定するために行われた(参考文献66)。二酸化ウラン中のウランは4.3%(重量%)に濃縮されていた。二酸化ウラン燃料は、実験容器内に、円筒状に配置され、2.29cm、2.79cmまたは3.30cmの距離の三角格子に配置された。続いて二酸化ウラン燃料と同じ濃縮度の硝酸ウラニル溶液が臨界に達するまで加えられた。図3.C.15.1に示されるように、実験容器の外側は、鉄製の容器に入った水で囲まれている。
 計算モデルを図3.C.15.1に示す(訳注:図の指定が誤っており、正しくはFig.3.C.15.2である)。実験容器以外の構造材は計算モデルでは無視した。
 計算結果及び実験条件を表3.C.15.1に示す。12例の全てについて計算された実効増倍率のヒストグラム(度数分布図)を図3.C.15.2に示す(訳注:図の指定が誤っており、正しくはFig.3.C.15.3である)。ヒストグラムでわかるように計算された実効増倍率は0.895と0.975の間に分布し、平均値は0.938で1より約6%低い。
(注:文中の参考文献66は Lloyd R.C.et al. : Nucl.Sci.Eng.,78,121(1981))

3.C.16 可溶性中性子毒を含むU+Pu硝酸溶液内のU+Pu燃料
 実験は、アメリカのBNWLにおいて、溶解槽中の使用済燃料を模擬して行われた(参考文献38)。合計301本の二酸化ウラン−二酸化プルトニウム混合燃料が三角格子に配列されて円筒状に並べられ、内径55.5cmのステンレス製容器内に配置された。その容器自体、より大きな水反射体入りの円筒容器内に置かれた。格子間隔は3.148cmと記されている。その後、様々な濃度の可溶性中性子吸収材ガドリニウム・ホウ素を含んだ硝酸ウラニル・プルトニウム溶液が、充填された格子状の集合体に、臨界に達するまで加えられた。図3.C.16.1に実験装置の概要、水反射体、排気管、排水管その他が示されている。
 計算モデルでは、図3.C.16.2に示すように、燃料棒と溶液の入ったステンレス製容器と水反射体は考慮したが、他の構造材は無視した。容器直径を67.16cmと仮定した。その理由は、実験報告書に記された直径55.5cmでは301本の燃料棒を記された間隔で収容できないからである。(中略)
 表3.C.16.1に計算結果と実験条件を一覧表にした。13例の全てについて計算された実効増倍率のヒストグラムを図3.C.16.3に示す。ヒストグラムでわかるように、計算された実効増倍率は1.00と1.025の間にあり、平均値は1.010で1より約1%高い。
(注:文中の参考文献38は Lloyd R.C. and Clayton E.D. : BNWL-B-482(1976))
JAERI−Data/Code99−019の非均質−MOXの一覧表
 実験体系は、最後の59〜64以外は溶液は水と書かれていて、溶液中にウラン・プルトニウムや中性子吸収材(ガドリニウム)が入っている実験は59〜64だけ、その実験は(37)で次の参考文献リストと対照するとBNWL−B−482だとわかります。また、その実験データを用いたベンチマーク計算は(55)で次の参考文献リストと対照するとJAERI1303のC16が採用されていることがわかります。


JAERI−Data/Code99−019の参考文献一覧



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