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  ◆自己破産の話

 破産の手続と費用

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管財手続の場合 GO

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 以下の説明は特に断らない限り東京地裁で弁護士をつけて行う場合の説明です。東京地裁以外の裁判所では、もっと時間がかかったり、管財人をつけるときの費用がもっと高い可能性があります。そこは地元の裁判所に確認してください。また、東京地裁でも、以下のような手続は弁護士が裁判所の代わりに事実関係を調査して内容をチェックし書類を整えて出すことを前提に簡略化しているものですから、弁護士がつかずに申し立てると、もっと慎重な(時間のかかる)対応をするようです。
 なお、費用については、以下で説明するのは裁判所に納める費用で、弁護士に依頼する場合、別に弁護士費用が必要です(私の場合の弁護士費用については「破産事件の弁護士費用」を見てください)。

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  同時廃止と管財手続の判断基準

 東京地裁で一般の個人について破産手続開始申立をする場合、20万円以上と評価される資産が全くなく破産のいきさつにも問題がない人については同時廃止(どうじはいし)手続(業界では「同廃(どうはい)」と略されます)、20万円以上と評価される資産があるか破産のいきさつに何らかの問題がある人については管財(かんざい)手続がとられます。これらの事情の外に、自営業者や負債の多い人については他に問題がなくても裁判所が管財手続を選択する傾向があります。また、申立代理人の弁護士が十分に調査をしていない(聞き取りを事務員に任せきりにしているなど)と裁判官が感じたときは管財手続を選択しているようです(私が破産管財人を裁判所から依頼されるときに、時々裁判官から申立代理人の調査が十分でないように思えるのでよく調査してくださいと言われます)。
 どちらの手続になるかは、申立人からの提出資料や事情聴取によって弁護士が判断しますが、最終的には弁護士と裁判官が面接した際に裁判官が判断します。

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  同時廃止手続の場合

 同時廃止手続の場合、破産手続開始申立に当たって裁判所に納める費用は2万円弱(原則として申立印紙1500円、予納郵券4100円、官報公告費1万0584円。但し債権者が多いと予納郵券が追加)です。
 申立後すぐに弁護士と裁判官が面接し、原則としてその面接の日の午後5時に破産手続開始決定が出ます。この面接や破産手続開始決定には本人は行く必要はありません。
 面接の日から約2か月後の平日の昼間(東京地裁では火曜日)に「免責審尋期日(めんせきしんじんきじつ)」が指定されます。この期日は面接の日にわかります。免責審尋期日は東京地裁の法廷(原則として6階の626号法廷:2008年1月15日の東京地裁破産再生部移転後も免責審尋は東京地裁の626号法廷を使用しています)で行われます。債権者から免責についての異議(資産を隠しているとか今も借入をしているとか浪費しているとか)が出ない限り、ごく儀式的に一瞬のうちに終わりますが、この期日には本人の出席が必要です。実質的には「裁判官が本人の顔を見た」というレベルで終わりますが、今の東京地裁の同時廃止手続では裁判官が本人の顔を見るのはこのときだけですので、裁判官は、欠席をされると、病気で入院したとかいう事情がなければ、態度を硬化させます。破産者は必ず出席するようにしてください。
 免責審尋期日までに債権者から異議が出なければ約1週間後にほぼ自動的に免責決定が出ます。債権者から異議が出たときは破産者本人に事情を聞いて弁護士が債権者の異議に対する反論書を出して、それを見て裁判官が判断します。
 免責決定が出ると、破産手続はすべて終了し、法律上も債務の支払義務がなくなります。なお、税金と社会保険料(健康保険、年金)、悪意の不法行為(犯罪に当たるようなことなど)による債務、故意または重大な過失による人身被害の損害賠償義務、親族間の扶養(生活費支払い)義務、雇用していた従業員の給料等の支払義務、意図的に債権者一覧表に記載しなかった債務、罰金については免責されませんので注意してください。また、破産手続開始決定後に生じた債務(新たな借入は論外ですが、家賃とか光熱費とか)も免責の対象となりません。

 2014年1月、宇都宮地裁に破産申立をしました。東京地裁以外で破産申立をしたのはずいぶん久しぶりです。宇都宮地裁の同時廃止事件のケースの手続を簡単に紹介します。東京地裁のように破産専門部がある裁判所以外ではこちらのパターンの方が多いかもしれません。
 東京地裁の場合は破産申立時に裁判官面接をするのが原則で、同時廃止事件では通常は面接日の夕方(午後5時)に破産手続開始決定が出ます。宇都宮地裁では破産申立時には裁判官面接はなく、破産申立書と添付書類(提出すべき書類や書式は東京地裁と同じでよいそうです)を提出すると、事件番号の連絡と免責審尋期日の日程調整の電話があり、官報公告費の予納を求められます。その後、申立書と添付書類をチェックして、追加提出すべき書類の指示がなされ、無事に必要事項の記載や必要書類の提出がなされたところで破産手続開始決定が出ます。東京地裁の場合、免責について債権者が意見を述べることができる期間は免責審尋期日までとされますが、宇都宮地裁では免責審尋期日より1か月程度後までの期間が指定されるようです。その結果、東京地裁では免責審尋期日の約1週間後には免責決定が出ますが、宇都宮地裁の場合免責審尋期日後免責決定が出るまでに1か月以上かかることになります。もっとも、免責審尋期日自体は、東京地裁が破産手続開始決定から約2か月後の日に指定されるのに対し、宇都宮地裁では破産手続開始決定から約1か月後の日に指定されるようですので、開始決定から免責決定までの期間はあまり変わらないようです。

 2014年4月、水戸地裁に破産申立をしました。水戸地裁の場合も、破産申立時点では裁判官面接はなく、破産申立書と添付書類(提出すべき書類や書式は東京地裁を同じでよいそうですが、資産目録の「現金」は20万円未満であっても申立日現在の所持金を書くように指導されました)を提出すると、官報公告費の予納を求められ、その後申立書を添付書類をチェックして追加提出すべき書類の指示がなされます。その後、破産審尋期日の日程調整があり破産申立人(本人)と代理人(弁護士)が水戸地裁民事部破産係に来るよう指示があります。水戸地裁では全件破産審尋を行うそうです。破産審尋の際に、免責不許可事項に関することも質問され、これが事実上免責審尋期日を兼ねており、債権者から異議がない限りは、特に免責審尋は行わないという運用だそうです。この破産審尋期日の後、破産手続開始決定が出て、免責について債権者が意見を述べる期間は破産審尋からほぼ2か月間が指定されます。本人と弁護士が裁判所に行く回数は原則として1回で済みますが、破産申立から破産手続開始決定までは時間がかかることになります。
 なお、水戸地裁では、同時廃止ではなく管財手続となる場合、いわゆる「少額管財手続」はないので、予納金は総債務額により、一般消費者破産の数百万円の場合、25万円〜30万円程度の予納金が必要になるようです。

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  管財手続の場合

 管財手続の場合、裁判所に納める費用は23万円弱(原則として申立印紙1500円、予納郵券4100円、官報公告費1万6550円、引継予納金20万円。但し債権者が多いと予納郵券が追加)となります。引継予納金20万円は、実質的には破産管財人の報酬になります。
 やはり申立後すぐに弁護士と裁判官が面接をし、原則として、面接の日の翌週の水曜日の午後5時に破産手続開始決定が出ます。面接や破産手続開始決定には本人は行く必要はありません。
 管財手続の場合、破産管財人が決まり次第、本人と弁護士(申立代理人)と破産管財人の3者の打合せをすることになります。これは通常平日の昼間に破産管財人(弁護士)の事務所か弁護士会などの場所で行うことになります。これは本人が必ず出席する必要があります。多くの破産管財人はこの打合せを1回で終わらせますが、破産管財人の考え方により2回行う人もいますし、問題があれば(資産隠しが発覚するとか)何回でも行うことになります。
 裁判官との面接の日から2か月ないし4か月後に債権者集会の期日が指定されます。これは東京地裁の債権者集会場(東京家裁・簡裁の建物の5階の債権者集会場)で平日の昼間(東京地裁では原則として木曜日か金曜日)に行われ、これも本人が必ず出席する必要があります。この期日も通常、裁判官との面接の日か翌日にはわかります。破産者は必ず出席できるように予定しておくべきです。
 債権者集会は、通常は、貸金業者は来ません(貸金業者は出席しても意味がないことをよく知っていますから)。来るのは営業上の取引先や、知人等の個人債権者がほとんどです。債権者が来ない場合、債権者集会も5分もかかりません。債権者が来た場合も基本的に裁判官、破産管財人、申立代理人が対応しますので基本的には心配ありません。
 特段の問題がなければ債権者集会は1回で終わり、債権者集会の日まで(債権者集会の場も含めて)に債権者から異議が出なければ債権者集会の約1週間後に免責決定が出ること、異議が出た場合の対応、免責により支払義務がなくなることは同時廃止の場合と同じです。
 管財手続の場合、破産手続開始決定の日から債権者集会の日までの期間は、郵便物がすべて破産管財人に転送されて破産管財人が開封する(これにより、例えば株がないはずの人に証券会社から売買報告書が来たり、預金がないはずの人に銀行から報告が来たり、生命保険がないはずの人に保険会社から通知が来るなどして資産隠しが発覚することがあり、それが目的です)、引っ越しや3日間以上の旅行は事前の許可が必要という制約があります。引っ越しや旅行はきちんと事前に弁護士に言えば(弁護士が破産管財人に申し出て許可を取る)ほぼ問題なく許可が出ます。黙ってやってしまうのがいけないのです。

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 結局、同時廃止の場合は免責審尋期日1回だけは必ず裁判所に行く必要があり、管財手続の場合は破産管財人との打合せと債権者集会の最低2回は出席の必要があります。
 同時廃止の場合の免責審尋が行われる東京地裁は営団地下鉄丸の内線・日比谷線の「霞ヶ関」駅A1出口を出てすぐ右斜め前の建物です(A1出口から出れば、普通、迷おうとしても迷えません)。
 2008年1月15日から東京地裁破産再生部(民事第20部)が東京家裁・簡裁の建物(弁護士会館隣)の5階に移転し、裁判所での破産手続のうち同時廃止の場合の免責審尋以外の手続(管財事件の債権者集会等)はすべてそこで行われることになりました。東京地裁破産再生部は営団地下鉄丸の内線・日比谷線の「霞ヶ関」駅B1a出口(B1b出口は弁護士会館直通)を出てすぐ左に折れて弁護士会館を過ぎてすぐ隣の建物です。

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