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  プロミス(現SMBCコンシューマーファイナンス)の場合

ここがポイント
 プロミスの取引の分断の主張には注意
 悪意問題ではATM利用明細は「再現書類」しか出してこない
 クオークローン(及びサンライフ)切替・債権譲渡という特殊問題あり

Tweet  はてなブックマークに追加 プロミスの場合(過払い金請求の話) 庶民の弁護士 伊東良徳

 プロミス(2012年7月1日から商号変更して「SMBCコンシューマーファイナンス」)は以前から債務整理等の交渉は、名称はけっこう次々と変わりましたが、場所としてはずっと、本社で対応しています(東京近辺の場合)。取引履歴の開示でも交渉でもあまりいやな思い出はありませんが、過払い金の交渉は裁判外では大幅に値切られるので、私は、交渉しても無駄と判断してさっさと裁判を起こしています。
 プロミスは、大手の中でも約定金利が低めなので、だいたい同じ時期に借り始めたという場合、他社より過払い金が少なめになる傾向にあります。もちろんケース・バイ・ケースですが。

  プロミスの取引履歴開示

 プロミスに取引履歴開示請求をすると、写真のような書式で開示されます。アイフルと同様、他社(特にアコムやアエル)と違って貸付と入金(返済)が別の列でわかりやすいし、最後に貸付総額と入金総額が記載してあって入力の検算もできてわかりやすい。事務員さんに優しい取引履歴で、その点はありがたいと思います。
プロミスの取引履歴
 このケースでは1985年1月から開示していますが、開示のはじめの日にも貸付残高があることから、取引途中からの開示であることがわかります。プロミスが、コンピュータ処理を導入した時期は支店によって若干のズレはあるものの概ね1985年で、そこからはコンピュータ上に取引履歴が残っているようです。
 それ以前については、明らかに書式が違う次のような形で取引履歴が出てきます。

プロミスの古い取引履歴

 1984年以前については、コンピュータには入っていなくて、手書きの資料を、開示のために入力して上のような書式で書き出して開示しているそうです。その意味では、ホストコンピュータの記録ではなく、ただ文書をワープロ化するのと同じ程度の意味と信用性しかありません。
 「手書きの資料はどこまで残っているの?」と聞くと、それはケース・バイ・ケースだということで、明確な回答はもらえませんでした。でも、ここのところ立て続けに1982年からの取引履歴開示をもらいましたので、1982年あたりからは「手書きの資料」が残っているようです。

  プロミスの裁判対応

 プロミスに過払い金請求で交渉すると、過払い金に法定利息(年5%)を付けない額の8割とか言われるので、私は交渉しても無駄と判断して、さっさと裁判を起こしています。
 プロミスの場合、訴状を出して第1回口頭弁論期日が指定されると、以前はたいてい第1回口頭弁論期日より前、早ければ訴状が送達されてすぐくらいに、電話がかかってきて和解の話になっていました。最近では第1回期日前に和解ができることは稀になり、和解の話になるのは第2回期日前あたりになっています。後で説明する「クオークローン切替・譲渡案件」以外はだいたい過払い金に法定利息(年5%)を乗せた額あたりで和解しています。

 プロミスが裁判では、一旦完済した後の再借入についての個別計算の主張を強硬にやってくるという話を他の弁護士から時折聞いていましたが、これまで、私は、プロミスと全面戦争になったというか、プロミスが弁護士をつけてきた事件を経験していませんでした。
 しかし、ここのところ立て続けにいわゆる「クオークローン切替・譲渡案件」で全面戦争になり、またつい最近金額が大きいために和解できないと言われて弁護士がついた案件がありましたので、久しぶりにプロミスの対応について説明してみたいと思います。

   通常案件での主張

 プロミスは弁護士がついた事案では、様々な論点にトライして来ましたが、現在では、通常案件では実質的には@取引の分断とAプロミスは悪意の受益者でない(過払い金の法定利息の支払い義務がない)について執念深く主張しているようです。
 取引の分断の主張では、いったん完済して借入残高のない空白期間が続き、その後再度借入をした場合に空白期間前に生じた過払い金が再借入後の取引と一連計算できるかが問題となります。現在の実務では、空白期間の前後の取引が同じ(1つの)基本契約に基づく取引である場合は、空白期間の長さに関係なく一連計算できます。これに対して再借入後の取引(第2取引)が空白期間前(いったん完済する前)の取引(第1取引)とは別の新たな基本契約に基づく取引である場合は、第1取引の長さや空白期間の長さ、第1取引の契約書が借主に返還されたか否か、第1取引終了時にカードの失効手続が取られたか、空白期間中の借入勧誘など第2取引が開始される経緯、第1取引と第2取引の契約条件の異同などを考慮して第1取引と第2取引が事実上1個の取引と評価できるかどうかで決定されます(最高裁2008年1月18日第二小法廷判決)。東京では、後者の場合、空白期間が1年以内かを一応の基準と考える裁判官が多いように見受けられます。
 しかし、先に説明したように、空白期間を基準とするのは、空白期間後の再借入が新たな基本契約に基づく場合、つまり再借入時に新たな基本契約をしている場合で、再借入時に新たな基本契約をせず以前の契約に基づいて再借入した場合は空白期間が長くても取引は分断されず、一連計算できます。その点を誤解して、ただ空白期間が1年とか2年とかあるということで再借入時に新たな基本契約があるかどうかを検討しないで諦めてしまうと、本来取れる過払い金を大幅に損してしまいます。特に完済時点が10年以上前なら、取引が分断されるとその過払い金は時効消滅してしまいますので大損です。
 この契約の個数問題で、最近プロミスから悪質な訴訟対応を受けましたので、注意を促しておきます。
 これはつい先日(2011年8月)にプロミスが出してきた準備書面の一節です。
プロミスの準備書面
 ここでプロミスは、この事件の原告(過払い債権者)が、1998年(平成10年)5月6日にいったん完済し、その後1999年(平成11年)7月5日に再借り入れしたことを、完済前の第1取引と再借入後の第2取引に分け、その間に1年2か月の空白期間があることを指摘した上で、第1取引と第2取引で貸付利率が違う、契約番号が違うとあたかも第1取引と第2取引が別の基本契約に基づく取引であるかのように主張しています。
 ところが、この原告についてプロミスが開示した取引履歴の、空白期間前後を貼り合わせると次のようになります。
プロミスの準備書面の事案の取引履歴
 プロミスの場合、最近は、開示履歴に「契約日」「契約金額」という欄があり、新たな契約をするとそれが記載されるのです。これを見ると、この原告の1999年(平成11年)7月5日の再借入時には、新たな契約をしていないことが明らかです。つまり、完済前の取引と1999年7月5日の再借入は同じ基本契約に基づく取引であることが、この取引履歴だけでも明らかです。
 こういう事例を見ても、プロミスは、自ら開示した取引履歴にも矛盾する悪質な主張を平気で行ってくるということがわかります。
 プロミスは、「弊社における営業システム等に関するご説明」と題する研修資料でも次のように述べていて、完済時も原則として契約書を返還せず再借入時に新たな契約書を作らないように誘導する方針で営業してきました。
プロミスの内部研修資料
 そういうことから、プロミスの場合、取引履歴上空白期間が長くても、実は空白期間の前後が同じ基本契約に基づく取引で一連計算できるというケースが意外にあるようです。簡単に諦めず、また悪質な主張に騙されないよう、注意しましょう。

 悪意の受益者問題では、プロミスは執念深い主張をし、大量のATM利用明細書(18条書面)の再現書類を提出してくるようです(私は出されたことがありませんが、他の事件での話を聞くと)。しかし、アコムと違って、プロミスが出してくるのは、しょせんコンピュータ内の取引履歴データをATM利用明細書の書式にしただけのものですから、現実にその記載をした18条書面を交付したことの証拠とはいえず、さしたる意味はないと思います。
 それでもプロミスの主張を認めて、プロミスは悪意の受益者でない(過払い金の法定利息を支払わなくてよい)とした判決も、残念ながらいくつか見られました。しかし、その一つについて、最高裁第一小法廷が2011年12月1日に、リボルビング方式の貸付の場合でも貸付の際に交付する17条書面(現実的には追加貸付時のATM利用明細書)に確定的な返済期間・返済金額等の記載に「準ずる」記載をすることは可能で、そのような記載がないと17条書面を交付したことにならないと判示した2005年12月15日の最高裁判決以前でも、貸金業者はそのような記載をすることが貸金業法17条の趣旨・目的に沿うことを認識できたはずであるから、「準ずる」記載をしていない貸金業者は「悪意の受益者」と推定されるとしました。
 ただし、この判決では、2002年10月以降はプロミスは追加貸付時のATM利用明細書に「準ずる」記載をしていると原判決が認定していることを前提に、この事件では2002年10月より前に過払いとなってその後過払いの状態が継続しているから利息が発生する余地がないので貸金業法43条1項のみなし弁済の適用の余地もないから、これ以降の追加貸付時にに「準ずる」記載をしたATM利用明細書を交付していたとしても悪意の受益者であることに変わりないとしています。そのため、2002年10月時点で過払いでない場合や、2002年10月以降に過払いから引き直し残のある状態に戻った場合には、なお問題が残された形になっています。2002年10月以降は「準ずる」記載をしているという事実認定は最高裁の判断ではなくこの事件での東京高裁の判断で、事案によって時期がずれる可能性は残ります。また、形式的には「準ずる」記載でも利息制限法引き直しの結果の金額とは齟齬があるわけで、内容が正しくない記載をしても17条書面といえるかという問題があります(親亀子亀問題::これについてはみなし任意弁済をめぐる闘いを読んでください)。また、ATM利用明細書の記載事項にはリボルビング取引の返済期限や返済金額以外の問題もあります。しかし、中途半端に問題が残ったのも事実で、最高裁にはもっときれいに解決して欲しかったなと思います。

クオークローン切替・譲渡案件

 《最高裁は切替事案は過払い金債務承継、債権譲渡事案は承継せず》
 プロミスは、2000年4月に消費者金融「シンコウ」を完全子会社化し、2000年5月に消費者金融「リッチ」を完全子会社化し、2001年1月に消費者金融「東和商事」を完全子会社化して、2001年7月13日にはこの子会社3社を合併することを決定して発表しました(プロミスのプレスリリースには「プロミス株式会社は、平成14年1月1日を期して、当社100%出資の消費者金融子会社3社(リッチ株式会社、株式会社シンコウ、 東和商事株式会社)を、リッチ株式会社を存続会社として合併することを決定しました」と合併を決定したのがプロミスであることが明記されています)。この新会社は当初「ぷらっと」という商号でしたが、その後「クオークローン」と商号変更しました。
 プロミスは、2007年5月1日、完全子会社の「クオークローン」と「サンライフ」について、新規貸付及び既存顧客への追加貸付を停止し、貸金債権をプロミスに譲渡(立替金債権はパル債権回収に)して、クオークローンとサンライフは当面債権譲渡に適さない一部の債権の管理のために存続させた上で店舗は全廃し、従業員はプロミスグループ内で適正配置(異動)することを決定して発表しました(そのプレスリリースはこちら)。
 プロミスは、クオークローン及びサンライフの顧客については、クオークローンとサンライフの顧客に対して、プロミスと契約してプロミスからの借入金でクオークローンとサンライフへの借金(約定残高)を完済し、その後はプロミスと取引するように勧誘し、クオークローン、サンライフの顧客の大部分がプロミスの勧誘に応じてプロミスからの借入金でクオークローン、サンライフへの借金を完済しました。このときには次のような残高確認書兼振込代行申込書が作成され、プロミスの貸付金は借主には渡されませんでした。
残高確認書兼振込代行申込書
 このプロミスからの借入による旧債務の完済に借主が応じたケースが、切替事案です。切替は概ね2007年8月中に行われ、これに応じなかった借主分は、2007年10月にクオークローンとサンライフからプロミスに債権譲渡が行われました。
 その後、クオークローンは、「タンポート」と商号を変え、2009年4月にはサンライフとともにプロミスからネオラインキャピタル(旧かざかファイナンス、現在はまたしても名前を変えて「クロスシード」)に売却されました。現在では「クラヴィス」と商号を変え、資産はなく、過払い金債権者が判決を取っても支払わずにいます。
 プロミスは、切替・譲渡の過程でクオークローン、サンライフの過払い金返還債務を債務引受しています。プロミスはその後2008年12月15日にこの債務引受を撤回したとしていますが、2009年3月末までにプロミスに対して過払い金返還請求がなされた案件についてはクオークローンの過払い金とプロミスの取引を一連計算した金額を支払っていました(あとになって過払い金返還請求は4月でも取引履歴開示請求が3月末までになされた案件も同様に払ってきました)。しかし、2009年4月1日以降は、クオークローン、サンライフの過払い金の承継を拒否し、全件和解拒否、判決という路線に転じました。
 消費者金融間で貸金の債権譲渡が行われた場合に過払い金債務も承継されるかについては、裁判所は承継をなかなか認めない傾向にあります。しかし、クオークローン、サンライフからプロミスへの承継は、プロミスが債務引受をしたという事情、プロミスがクオークローンの100%親会社でクオークローンの廃業やプロミスへの切替がプロミス側の都合で行われたことから、承継を認める判決も多数出ています。
 クオークローンからプロミスへの過払い金の承継を認める論理としては、切替契約に応じることや残高確認書兼振込代行申込書に署名することが債務引受に対する受益の意思表示と評価できる(プロミスの債務引受は、過払い債権者に対して意思表示されたものではないので、過払い債権者がプロミスの撤回前に受益の意思表示をしていることが必要という理屈のため)という考え、切替契約や債権譲渡で移転したのは貸金債権だけではなく取引をする契約上の地位が移転した(従って過払い金債務も移転した)という考え、切替・債権譲渡はプロミスグループの再編の一環として行われたことや借主を保護するとして債務引受をした経緯などからプロミスが債務引受を撤回し過払い金の承継を否定することは信義則に反するという考えがあります。
 私が知る限り、最高裁判決前の時点で、東京高裁は受益の意思表示肯定説が第1民事部、第4民事部、第14民事部、第19民事部、第21民事部、第22民事部(2010年は過払い金承継否定説でしたが転向)、信義則違反説が第2民事部、第12民事部、過払い金承継否定が第7民事部、第8民事部、第15民事部、第20民事部、第23民事部で8対5。大阪高裁は受益の意思表示肯定説が第1民事部、第8民事部、第12民事部、第13民事部、第14民事部、受益の意思表示不要説(受益の意思表示をしなくても債務引受の効果を生じるという黙示の特約がプロミスとクオークローンの間で成立したと認定)が第3民事部、過払い金承継否定が第5民事部、第7民事部で6対2。名古屋高裁は受益の意思表示肯定説が民事第1部、民事第3部、契約上の地位移転説が民事第2部、過払い金承継否定が民事第4部で3対1。広島高裁は信義則違反説が第4部、過払い金承継否定が第2部で1対1。福岡高裁は受益の意思表示肯定説が第5民事部で1対0。仙台高裁は受益の意思表示肯定説が第1民事部、契約上の地位移転説が第2民事部で2対0。札幌高裁は契約上の地位移転説が民事第2部(2010年は過払い金承継否定でしたが転向)、過払い金承継否定が民事第3部で1対1。高松高裁は信義則違反説が第2部(2010年は信義則違反説で2011年5月に過払い金承継否定に転向し、その後2011年6月にまた信義則違反説に転向)、第4部(2010年は過払い金承継否定説でしたが転向)で2対0。全体としては過払い金承継を認める判決が多数派になっていましたが(厳密に検討すると、切替事案と譲渡事案を分ける必要があり、高裁判決が出ているのは大部分が切替事案ですが)、むちゃくちゃに錯綜していました。まさしく高裁でどの部に当たるかで結論が変わるという運を天に任せる状況でした。

 このような状態で、プロミスが勝訴した東京高裁第15民事部の2010年12月8日判決について、最高裁第二小法廷が過払い債権者の上告受理申立を受理し、2011年9月30日午後1時30分から判決の言い渡しがありました。
 この判決では、プロミスがグループ再編のためにクオークローンの貸金業を廃止してこれをプロミスに移行、集約するためにクオークローンとの業務提携契約を締結し、貸金業の移行、集約を実現し、円滑に進めるために、(クオークローンの過払い金債務を)債務引受すること及びクオークローンとの債権債務に関する紛争について単に紛争の申出窓口になるにとどまらず、その処理についてもプロミスが全て引き受けることをクオークローンの顧客に知らせることを定めたものであり、これを前提としてプロミスがクオークローンの顧客に対して切替契約がプロミスグループの再編に伴うものであることや紛争の窓口が今後プロミスになることなどを記載した申込書を示して切替契約の勧誘をしたことは、プロミスの意図は別にして、この勧誘に当たって示されたプロミスの意思としては、これを合理的に解釈すれば、顧客がこれに応じた場合には、クオークローンとの間で生じた債権を全て承継し、債務を全て引き受けることを内容としているものと見るのが相当で、これに応じた顧客は、プロミスがクオークローンとの間で生じた債権を全て承継し、債務を全て引き受けることを前提として勧誘に応じ切替契約を締結したものと解するのが合理的であるとしています。つまり、プロミスによるクオークローンの貸金業廃止とクオークローンの顧客のプロミスへの切替の経緯や目的とクオークローンとの業務提携契約で債務引受やプロミスが紛争窓口となりその処理を引き受けることとそれを顧客に知らせることなどを定めていることからして、プロミスの現実の意図がどうであれ、プロミスのクオークローンの顧客に対する切替勧誘自体がクオークローンに対する借入の移行とともに過払い債務の引受をも含む申込であると解するのが合理的であり、これに応じた顧客は、(プロミスの債務引受の申し出と現実には知らなかったとしても)そのプロミスの債務引受を含む申し出を前提としてこれに応じたものと解すべきであり、切替契約によってプロミスがクオークローンの顧客に対する過払い金返還債務も含めて引き受けたということです。これは、現実にそのようなことを認識したり、そのようなことが明確に示されていなくても、当事者の意思を合理的に解釈するとこのようになる(つまり全ての情報を当事者が認識していたとしたら合理的な当事者間ではこのように合意しただろうということ)という手法です。手法としては、過払い金充当合意の認定と似たものです。
 そして、最高裁のこの判決は、プロミスが顧客のクオークローンへの約定残債務を貸し付けたことにしてクオークローンに振り込むことは貸金債権の承継のための形式的な会計処理であり、クオークローンとの取引とプロミスとの取引は一連のものと明言しています。
 この結果、少なくとも切替事案についてはプロミスがクオークローンの過払い金返還債務を承継し、かつクオークローンの取引とプロミスの取引を一連計算できることが確定し、クオークローンとの取引が全て最初からプロミスとの取引だったのと同じように過払い金を全てプロミスに対して請求できるということで、この問題は決着しました。(ただし、プロミスは、最高裁判決後も、切替事案についても、クオークローンの過払い金返還債務の承継を争うという訴訟態度をとり続けています。私が2012年1月に起こした裁判でも、訴状で最高裁判決を引用し、最高裁判決の基礎となる証拠をつけて起こしているのに、最高裁判決にまったく触れない最高裁判決以前の主張を書いた準備書面を2012年3月に平気で出してきています。まったくもって鉄面皮の恥知らずと言うべきでしょう。まぁ、どういう態度を取っても最終的にはこちらが勝つと決まってるのですからいいですが。)

 切替に応じず、クオークローンからプロミスに債権譲渡された事案については、最高裁は混乱の末、2012年6月29日に、プロミスは過払い金債務を承継しないという判決を言い渡しました。
 私は、この最高裁の判断はとても納得できません。債権譲渡のケースでも、債権譲渡に至る経緯は切替と同じですし、プロミスの債務引受と紛争窓口や処理を引き受けること、その顧客への通知も切替と同じに行われています。そうするとプロミス側の申込は同じように解することができると思います。問題は、債権譲渡の場合、顧客側がその申込を承諾したことを明確にした契約書等がないことですが、切替事案とほとんど同じ状況ですから、プロミス側の申込を、顧客が債権譲渡に応じてプロミスとの取引(返済)をする場合には貸金債権のみならず過払い金債務も全て承継する意思と解釈し、顧客がプロミスに返済してプロミスとの取引を継続することによって黙示の承諾をしたと解するのが妥当と考えます。

 そして、最高裁は、2012年6月29日の判決以前は異なる姿勢を示していました。
 私が譲渡事案で上告受理申立中の事件について、2012年2月3日、最高裁第二小法廷が上告受理の決定を行い、口頭弁論期日を2012年3月30日午後4時から開くことを決定しました(その通知が2月4日に送られてきました)。
 債権譲渡事案についても、最高裁が、プロミスの承継を認めなかった原判決を変更する決断をしたと解され、ようやく光明が見えたわけです。
プロミスの請求認諾の答弁書 しかし、プロミスは、最高裁が口頭弁論期日を指定して、自らが負ける可能性が高いと知るや、2012年3月15日付で請求認諾(原告の請求通りの義務があることを認めるということ)の書面を提出しました。民事裁判では、被告が原告の請求を認諾すると、裁判所がその内容の調書を作成し、判決をせずに終わることになっています。プロミスは敗訴判決を避けるためになりふり構わず卑劣な策略に出たのです。
 もう少し具体的に経過を説明すると、2012年2月20日、プロミスの管理部から私のところへ電話がかかってきました。最高裁が弁論期日を指定した事件の2人について和解したいというのです。私が、最高裁が口頭弁論期日を指定してるのに和解する弁護士がいると思いますか?もう勝つとわかってるのに、それに最高裁に失礼じゃないですかというと、プロミスの管理部の者は、先生の立場はわかるが弊社としては判決を受けるわけにはいかないので和解してもらえないなら認諾する方針です、というので、私は、認諾なんかしたらあちこちで大声で卑怯者といって回ってやるといいました。そうするとプロミスの管理部の者は、そういうのも望ましくないので、できれば認諾ではなく和解して訴え自体を取り下げてもらい、この裁判自体なかったことにしたい、和解金は請求額の2倍支払う、先生の立場は立場として、和解すれば請求額の2倍もらえるのに和解を蹴って認諾になったら請求額しかもらえない、依頼者はなんていうか意思確認してもらえませんかという趣旨のことをいいました。簡単にいえば、弁護士は転ばなくても依頼者は金を積めば転ぶだろう、依頼者に黙って和解を蹴ったら依頼者の利益に反する行動をしたということで弁護士が問題にされるだろうという、札束で人の面を張り、弁護士を恫喝する態度に出たのです。
 私は頭に来ましたが、私の意見と最高裁の上告受理の制度について説明した上でプロミスの和解案を書いた電子メールと手紙を依頼者に送りました。1名からはすぐに和解しないという返事が来ました。これまでのプロミスの態度にもがまんできないし他の多数の被害者のためにがんばってくれというのです。ちょっと感動ものですね。お金のない人が請求額の2倍払うといわれて和解しないというのはなかなか大変だと思います。こういうとき、弁護士をやってて、うれしいと思う。その後もう1名からは返事がなかなか来ませんでした。そこへプロミスの代理人の南淵聡弁護士から再三再四返事の督促が来るので、私は1名は和解しない、もう1名はまだ返事が来ないと答え、プロミスは1名だけ和解する気はないんでしょと聞きました。プロミスの代理人南淵聡弁護士は、そうですねといって電話を切り、ほどなく認諾の答弁書が送られてきたという経緯です。
 最高裁判決が出た切替事案さえいまだに素直に過払い金を支払わず無意味でも高裁まで粘り資金力のない過払い債権者の息切れを待つという卑怯な態度をとり続けるプロミスです。債権譲渡事案では、最高裁が口頭弁論期日を指定したらその事案だけ高額の和解金を積んで闇に葬り和解を拒否されたら認諾してプロミスにとっては痛くもかゆくもない金額を支払うことでそれ以外の巨額の過払い金の支払を拒否し続けようとすることが明らかです。
 プロミスのこういう金にものをいわせた卑劣な認諾方針が許されてしまえば、多数の被害者が放置され、悪逆非道な貸金業者が巨額の過払い金の支払を免れることになってしまいます。さらにいえば、過払いの問題に限らず、プロミスのまねをする企業が出てくれば、財力のある者は自分の意に沿わない最高裁判決を避けてやりたい放題を続けられるということにもなりかねません。
 認諾は口頭弁論期日か準備手続期日でしかできませんので、プロミスの認諾は、いくら書面を出しても3月30日の口頭弁論期日でしかできません(最高裁が別に準備手続期日を指定すればその時にできますが)。指定された口頭弁論期日は予定通りに行われました。私は、卑劣なプロミスの身勝手な判決回避を許さないため、3月30日の口頭弁論では、最高裁が存在意義をまっとうするためにもプロミスの認諾を許してはならないと、次のように弁論を行いました(読み上げに使った原稿をそのまま掲載します)。
 被上告人プロミスが敢行した、100%子会社であったクオークローンの偽装倒産に類似した工作によって、本来は支払義務などない過払い債権者が、被上告人プロミスとその債権を買い取った被上告人クロスシードから「貸金が残存する」と騙されて取立を受け、過払いと気がついても「クオークローンの過払い金は承継していない」などとして返還を拒否されています。裁判の場では過払いが問題とされることになりますが、裁判外では、かつては被上告人プロミスが、現在は被上告人クロスシードが、貸金と称して取立を続けていることを忘れてはなりません。被上告人クロスシードはそのために、クオークローンからプロミスに移行した本来はほとんどが過払いの債権を、93億5000万円も出して買い取ったのです。
 この被上告人らの工作による過払い債権者への不法な取立と過払い金返還拒否がクオークローン→プロミス切替・債権譲渡問題であり、本件はそのうち債権譲渡にかかる事案です。この被害者は、切替事案と債権譲渡事案を合わせて30万人規模に及んでいます。
 被上告人プロミスは、本件では、口頭弁論期日が指定されるや支払義務を認めると述べていますが、最高裁の場を離れれば、最高裁で既に判決を受けた切替事案さえも未だに「クオークローンからの過払い金は承継しない」と言い張って争い続けています。
 過払い金債権者のほとんどは、他の貸金業者からの借金の返済に追われるなどして生活費にも困っています。その借金にはクオークローンやプロミスに支払うためにした借金もあります。生活に困っている多重債務者は、被上告人らから取立を受けてもそれに抵抗したり、被上告人らに裁判で争われても闘い続けるような余裕はありません。そのため、本来は支払義務がなくても仕方なく払ってしまったり、過払い金請求をあきらめてしまいがちです。被上告人らはそれをねらってこれらの工作を行い、取立を続け、過払い金の支払を拒否し続けているのです。
 被上告人らの認諾は、こういった被上告人らが不法な利益を受け続け、多数の過払い金債権者が苦しみ続ける構造を維持するための手段に過ぎません。本件において争い続けてきたのに最高裁で口頭弁論期日が指定されるや掌を返したという意味でも、本件以外では現在もそしてこれからも争い続けるにもかかわらずという意味でも、極めて卑劣な所業であります。
 このような認諾を許していては、財力のある者は最高裁が口頭弁論期日を指定するに至ったほんの一握りの事件で認諾すれば、自己の意に沿わない内容の最高裁判決を回避することができ、不法な利益を上げて被害者たちを踏みつけ続けられるということになってしまいます。
 過払い金返還請求訴訟であっても、過払い金債権者が金さえ払ってもらえばいいと思っているとは限りません。被上告人らの不法なビジネスを根絶やしにして多数の被害者を救済することを願う過払い債権者もいます。本件で私の依頼者はまさにその意思を明確にしています。
 私の依頼者は、元々収入が不安定でしたが、昨年の震災で仕事が大幅に減って生活資金に困っています。ですから、被上告人プロミスから請求額の2倍の120万円の和解提示を受けたとき、私は、彼は和解することになるだろうと思いました。しかし、彼は、すぐに「生活には困っているけれども、名も知れないたくさんの被害者のために闘って欲しい」といってきました。そういう彼のためにも私は今ここに来ているのですし、卑怯なプロミスのやり方を絶対に許せないのです。
 被上告人らは認諾を撤回して正々堂々と最高裁の判決を受けるべきでありますし、最高裁は被上告人らの認諾を許さず、正義に適う判決を言い渡すべきであると上告人ら代理人は考えています。
 残念ながら、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、「認諾の効力は認められる」として訴訟を終了させました。その結果、債権譲渡事案についての最高裁の判断は先延ばしとなり、別の事件でもしプロミスが口頭弁論期日を指定されても認諾しなければその時になされるということになってしまいました。もっとも、最高裁が債権譲渡事案で口頭弁論期日を指定した事実は残りますので、債権譲渡事案の過払い債権者の方は諦めずにがんばればいつかは勝てるはずです。私はそう思っていました。

 しかし、最高裁第二小法廷は、2012年6月29日、債権譲渡事案について、切替事案と違って合意に当たるものがないということを理由に債権譲渡事案ではプロミスは過払い金債務を承継しないという判決を言い渡しました。
 これまでに説明してきたように、プロミス側の事情も、借り主側の事情も、切替事案と債権譲渡事案でまったく異ならないといってよいはずです。ただ、プロミス側の呼び出しに応じて店頭に赴いたか、呼び出しに応じなかったか(さらにいえばそもそもプロミス側が呼び出さなかったケースもあるはずです)だけの違いで、結論がまったく異なるというのは、社会的な問題の解決としての妥当性を考慮しないものです。法学を学ぶ者の世界ではこのような法解釈を「概念法学」と呼び、主として実務家サイドから象牙の塔にこもった学者の独善性を批判するのに用いてきました。近年、積極的な法解釈で注目を浴びてきた最高裁は、また象牙の塔ならぬお堀端の要塞にこもろうとしているのでしょうか。

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