庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

  ◆家族の借金の話

 相続するかしないかの判断

ここがポイント
 相続財産の調査では、証書類の他に、預金通帳と手紙のチェックが重要
 借金も高利の貸金業者からの借金は取引期間が長ければ過払いとなっている可能性がある
 相続放棄ができるように、調査は原則として亡くなってから3か月間に行う必要がある。
 熟慮期間の延長も、亡くなってから3か月を過ぎてしまってから申請しても認められないので注意

  まず財産の調査

 亡くなった人に借金があると思われるときに、相続をした方がいいか、しない方がいいかは、基本的には(プラスの)財産があるのか、借金はどれだけあるのかによります。
 (プラスの)財産がなければ、そして借金があると思われるときは、相続放棄をしておくべきです(相続放棄の要件や手続については、「相続放棄」を見てください)。
 (プラスの)財産があって、借金もあるという場合には、どちらが多いかの判断になります。
 財産の調査は、残された家族の人が把握していればいいですが、家族もわからないとなると、とにかく家捜しすることになります。探す目的物は、現金や貴金属類などのそれ自体が財産の場合もありますが、権利証とか株券、生命保険の保険証券等の重要な書類、そして預貯金の通帳をきちんと確認します。もちろん、遺言書があるかどうかも確認します。意外に重要なのは手紙類(郵便物)です。
 土地・建物は登記簿謄本で所有権と担保(抵当権、根抵当権等)を確認します。
 生命保険があれば、保険会社からの通知類があるでしょうし、通帳を見れば保険料が自動引き落としになっていることが多いです。
 株を買っていれば、証券会社からの通知類が来るでしょう。
 そういうことを考えながら、手紙類や通帳を確認していきます。

  借金の調査

 現在の借金については、亡くなった後は返済していないわけですから、貸金業者から返済の督促の通知類が送られてきたり、電話がかかってきたりします。普通は、それで契約上の現在の残額は把握できることになります。
 督促以外では、信用情報機関が回答してくれれば、把握することができます。信販会社系の信用情報機関のCICは、本人が死亡した場合の配偶者(妻、夫)、2親等以内の血族(子、孫、親、祖父母、兄弟姉妹)、死亡者の連帯保証人からの開示請求に回答するといっています(CICの郵送による開示の手続事務所へ行っての開示手続はこちら)。消費者金融系の信用情報機関のJICCは「配偶者または2親等以内の血族の方(法定相続人となる方)が開示手続きを行うことができます」としています(JICCの本人死亡の場合の開示手続はこちら)。銀行系の信用情報機関の全国銀行個人信用情報センターは、「本人が亡くなられている場合、法定相続人に限り被相続人の開示ができます。お手続きの詳細は下記『お問い合わせ先』にお問い合わせください。」とされています(全銀協の本人開示の手続はこちら。注4にこの記載があります)。
 借金の調査での問題は、利息制限法に引き直した場合、過払いではないかということです。銀行や最近できた銀行系の消費者金融、ジャックスなどの場合は通常利息制限法の制限金利以下ですので、利息制限法に引き直しても借金は減りません。しかし、消費者金融や信販会社(クレジットカードでの借金)の場合、利息制限法に引き直すと借金が減り、過払いの場合もあります。
 これは、正確には、業者と交渉してみないと(開示に消極的な業者の場合、交渉してみても)わかりませんが、取引開始時期によって大方の見当はつきます。
 ですから、まずは家捜しして契約書や利用明細書の類を捜します。現在借金がある業者でもその業者について10年以上前の日付の契約書や利用明細が出てくれば、過払いの可能性が高いです。契約書や利用明細書が見つからなくても、信販会社や一部の消費者金融では、返済が預金から自動引き落としになっていたり、借入も口座振り込みの場合があります。その場合、古い(繰り越し済みの)通帳をチェックします。古い通帳が見つからなければ、その銀行の支店に行って過去の利用明細書を請求します。相続人が請求すれば出してくれます。それでかなり古い時期から引き落としや借入の記載があれば、やはり過払いの可能性があります。
 そういう資料を探した上で、相続した方がいいか相続放棄した方がいいかを弁護士に相談してみましょう。

  調査の期間と注意

 借金があると思われるときの調査は、できるだけ早くする必要があります。
 借金の方が多いときには相続放棄をすることが目的ですから、相続放棄ができなくなっては困ります。
 相続放棄は、自分のために相続があったことを知った日(通常の場合、亡くなったことを知った日です)から3か月以内にすることになっています。
 3か月では調査ができない場合は、家庭裁判所に期間の延長の申立をすることができます。期間の延長の申立は、期間内にしなければなりませんし、必ず認められる保証があるわけではありませんから、できる限り3か月以内に調査するべきです。
 そして、相続放棄ができる期間中でも、亡くなった人の財産を勝手に処分してしまった場合は、相続放棄ができなくなってしまいます。ですから、借金があると思われ、相続放棄もあり得るという場合には、亡くなった人の財産には手をつけないようにしておきましょう。
 また、相続放棄をするかも知れない場合、貸金業者からの請求に対しては、相続放棄を検討中なので支払わないと回答し、支払を拒否しておくべきです。支払義務を認めるような書類には絶対に署名してはいけません。

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