◆たぶん週1エッセイ◆
映画「セブン・デイズ・イン・ハバナ」
7人の監督によるハバナのイメージの短編競作「セブン・デイズ・イン・ハバナ」を見てきました。
封切り4週目土曜日、全国2館東京では唯一の上映館ヒューマントラストシネマ渋谷シアター3(60席)午前9時55分の上映は3割くらいの入り。
月曜日(「ユマ」)はアメリカから来た俳優のテディがキューバ人の家庭やパブで戸惑いながら過ごす様子を、火曜日(「ジャムセッション」)は映画祭に招かれたセルビア人映画監督(エミール・クストリッツァ:実在・本人出演)が飲んだくれ酔いつぶれ妻とけんかしていたが運転手が趣味でやっている演奏を聴くうちに気を取り直す様子を、水曜日(「セシリアの誘惑」)はハバナのクラブ歌手セシリアがスペインから来たクラブオーナーに一緒にスペインに行って新しい生活をしようと誘われ同棲中の国外脱出をセシリアに勧められながら決断できない野球選手と別れてスペイン行きを選択するかを悩む様子を、木曜日(「初心者の日記」)はパレスチナから来たエリア・スレイマン(監督本人)がキューバの指導者への面会を申し込みそれを待つ間キューバ人の女性たちを眺め続ける様子を、金曜日(「儀式」)は見知らぬ女性と一夜を過ごした娘を発見した両親が娘にお祓いを受けさせる様子を、土曜日(「甘くて苦い」)はテレビ出演もするセラピストがアル中の夫に手伝わせながらお菓子作りの副業をする様子を、日曜日(「泉」)は夢のお告げで神を祭るパーティーをするように言われたという老婆が家族らを叱咤激励して家を改造しパーティーの準備をする様子を描いています。
月曜日と火曜日、木曜日が観光・旅行者の視点から見たハバナの話。水曜日、金曜日から日曜日はキューバ人の生活を描いていますが、水曜日と土曜日は普通のキューバ人の生活、金曜日と日曜日は狂信的なキューバ人の行動を描いているような感じです。
旅行者の視点の月曜日と木曜日は、積極的に打ち解けようとしなければ親しくなれないというお話なんでしょうね。目の前の一人で佇む女性たちが、見つめているうちに横から現れた男性に連れられて行ってしまうシーンが繰り返されます。木曜日の方は老人ですし政治的な目的が主ですからそうではないかもしれませんが(でも繰り返し一人でいる女性を見つめる様子からは同じかも)、月曜日の方はハント目的の観光客がいい目を見れるほど甘くないよというお話に思えます。同じく旅行者の視点でも火曜日の方は、キューバ人の生活に入ってみると、ちょっといい感じというお話でしょうね。
水曜日は、ある意味普通のラブストーリーで、ハバナの意味は、国外脱出の誘惑というところ。
土曜日がキューバ人の生活を描いた中で一番現代的な印象があります。
土曜日の監督だけがキューバ人で、あとは外国人監督。そういう目で見ると、金曜日と日曜日の狂信的なキューバ人の姿はどの程度実情を反映しているのか、引いた目で見た方がいいかもしれません。
7つのお話のうち、水曜日のセシリアが土曜日にも登場するのと、土曜日のお菓子が日曜日に登場するというところでわずかにつながりがありますが、それ以外には私はつながりを発見できませんでした。全部何らかの形でつなげてくれるのならば、それはそれで感心して見終わったあとの印象もよくなるでしょうけど、そのあたりは中途半端感が残りました。
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