庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「AIR」
ここがポイント
 ナイキ側からは情熱アピールの成功物語に見えて、ジョーダン側はドライなそのギャップが特徴的に思える
 キング牧師の " I have a dream "演説とプレゼンの極意あたりが印象的に思えた
    
 ナイキのメガヒット商品「エア・ジョーダン」誕生の経緯を描いた映画「AIR」を見てきました。
 公開3日目日曜日、新宿ピカデリーシアター1(580席)午前11時5分の上映は8割くらいの入り。

 1984年、バスケットシューズのシェアでコンバース、アディダスに大きく後れを取っていたナイキに雇われた元バスケットボールコーチのソニー・ヴァッカロ(マット・デイモン)は、CEOのフィル(ベン・アフレック)から立て直しを命じられる。ソニーは、25万ドルの予算全部をNBAでまだ試合に出場する前の新人マイケル・ジョーダンにつぎ込んで契約をして新たなブランド化するという計画を立てるが、社内で強い反対を受け、当の本人はアディダスファンで、代理人は本人はナイキ以外との契約を望んでいると明言する始末だった。黒人家庭では母親が家を仕切っているという話を聞いたソニーは、単身ジョーダン家に乗り込むが…というお話。

 基本的には、ハードルの高い困難な業務でも、その突破の可能性を検討し、対策を考えて、諦めずに努力し、チャレンジを続け、成功を勝ち取るという、ビジネス成功物語です。
 クライアントへのプレゼンについて、十分に準備して臨むが、相手に入っていないようなら準備したものにこだわらずに臨機応変に対応すべきことも示されています。それについては、キング牧師のワシントン大行進の際の歴史的演説 " I have a dream "が、草稿に基づいて演説していたキング牧師が聴衆の反応を見て響いていないと判断し、後半に草稿になかったアドリブで語ったものだったという逸話が採り上げられています。私には、そこがいちばん印象に残ったかも。
 ソニー側、ナイキ側からは、情熱と押しの一手でマイケル・ジョーダン側を説得できたという物語となるはずのところですが、実際にはマイケル・ジョーダン側は3社に高い/前代未聞の要求を突きつけて一番有利なオファーに応じただけというドライさが描かれて、「感動の物語」性を薄れさせているのですが、良かれ悪しかれそれがこの作品の特徴かなと思いました。
 マイケル・ジョーダン役にそっくりな俳優を手配できなかったのか、マイケル・ジョーダンが登場するシーンでは顔が見えないようにし続けているのが、映像としては不自然な感じがして、どうにかならないのかと思いました。
(2023.4.9記)

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