◆たぶん週1エッセイ◆
映画「篤姫ナンバー1」
篤姫が現代にやってきて銀座のクラブでナンバー1を目指すというタイムスリップコメディ「篤姫ナンバー1」を見てきました。
封切り4週目日曜日、全国16館、東京では唯一の上映館の新宿ミラノ3(209席)午前11時10分の上映は1〜2割の入り。
徳川第13代将軍の正室候補として島津斉彬の養子となり江戸へ向かう道中、箱根山中で、篤姫(石川梨華)は徳川の正室になどなりたくないと言いだし、流れ星を見つめながら、このままどこか遠くへ行ってしまいたいと願う。すると篤姫と世話係のタエ(中澤裕子)、身辺警護役のくノ一ミツ(とっきー)の3人は彗星の光に包まれて160年後の現代にタイムスリップした。3人は彗星観測に来ていた漫画家志望の主夫雄介(山崎裕太)とホステス里美(佐藤寛子)の家に転がり込み、里美について銀座のクラブに行ったところ、ママに見初められた篤姫はクラブでホステスとして働くことになる。そこへ箱根の山中で篤姫らが現れたところに車で通りかかって轢きそうになりミツに刀を突きつけられて逃げた俊太郎(菊田大輔)が客として訪れ、酔って暴れ、篤姫は俊太郎に平手打ちを食わせる。客に手を挙げるとは何事かと、ナンバー1ホステスアミ(吉澤ひとみ)に叱責された篤姫は、自分がアミに代わってナンバー1になると宣言、指名を競い合うが・・・というお話。
何となくまともそうな時代劇で始まりますが、開始早々の篤姫の「いやじゃいやじゃ」で一気にコメディモードに入ります。
流れ星に願い事をすればかなう、でタイムスリップしてしまうという設定ですから、あれこれ考えることなく見た方がいいと思います。
のほほんとした篤姫と、大仰なミツの対比(ミツ、仕掛け人にもなっちゃいますし:制作サイドの年齢層を考えてしまいます)、3人組とチャライ現代人の対比で笑いを取る場面が多くなっています。
政略結婚を嫌って江戸時代から逃げてきた篤姫と、養父の会社のために政略結婚させられようとしている俊太郎の心の交流を描いているのは、自由や進歩を謳う現代社会へのアイロニーでしょうか。
俊太郎が、幼くして失った両親の思い出として母のオムライスの味にこだわり続ける姿は・・・今、私が死んだら、娘はパパのオムライスの味を忘れずにいてくれるだろうかと、前日の「ももへの手紙」に続きしんみり。って、そういう方向へ考える場面じゃないんですが。
篤姫が里美の話を聞いて、現代では女性も働いて強く生きていると感銘を受けるという設定ですが、江戸時代にない職場ならともかく、江戸時代で言えば遊郭なのに、篤姫がそういう反応をするのは、荒唐無稽なコメディとしても、ちょっとひどい。制作者サイドの女性の仕事に対する意識が透けて見えますよ。ねぇ、づんくさん。ヒュー(吹き矢の音)。
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