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たぶん週1エッセイ◆
映画「バンコック・デンジャラス」

 ニコラス・ケイジ主演の殺し屋のアクション映画「バンコック・デンジャラス」を見てきました。

 世界を股に掛けて完璧な成果を誇る凄腕の殺し屋ジョー(ニコラス・ケイジ)が、引退前の最後の仕事としてバンコクで4件の連続暗殺を請け負ったが、それまでは痕跡を残さず計画に影響を与えないために傭った助手は殺害してきたのに、バンコクで傭った助手のコン(シャクリット・ヤムナーム)に若き日の自分の影を見て気を許し弟子入りさせたり、聴覚障害者の美貌の薬剤師フォン(チャーリー・ヤン)に惚れたことから、4件目の次期大統領候補の暗殺で迷いを生じて暗殺に失敗して警備隊に追われ、コンを人質にとってジョーの抹殺を図った依頼者の犯罪組織と抗争になるというお話です。
 予告編では、完全無欠の暗殺者ジョーの殺しのル−ルは、完璧な計画、痕跡の隠滅、契約の遵守の3つとされていますが、映画の中では、質問をしない、堅気の者と交わらない、痕跡を残さない、引き際を知るの4つとなっています。
 結局は、堅気の薬剤師フォンと恋仲になり、これまで使い捨てにしてきた助手を弟子入りさせたりして人間らしい感情を育ててしまったことが、暗殺に迷いを生じさせ、さらにはコンを助けるために犯罪組織の本拠に単身乗り込んでいくという無謀な行動を取らせ、破滅に導かれることとなります。その意味では、殺し屋としてはやはり引退し時だったということでしょう。もちろん、映画としてはそういう人間らしい感情を持つからこそ面白くもなり、共感しうるのですが。
 予告編の「たった1つのミスがすべてを狂わせてゆく」というナレーションは次期大統領候補暗殺の失敗(映像としては撃ちそこねに見えますが・・・)がミスと感じさせますが、むしろそれ以前のフォンやコンとのつきあいがすでにミスだったというべきでしょうし、3件目でもすでにスキが出て相手に気づかれて逃走され必死の追跡の末に辛くも暗殺するという状態で痕跡なんて山のように残されます。

 いうまでもなく、それほど運動神経のよさそうでないニコラス・ケイジがどうしてあんなに格闘や追跡で強いのかとか凄過ぎ・でき過ぎ感はてんこ盛りですし、バンコクの薬局の聴覚障害者のお姉ちゃんが英語の読唇ができるのって・・・とか、疑問はいろいろあります。
 ラストシーン、ストレートに疑問を書くとあんまりネタバレなんでちょっと控えますが、ジョーの暗殺者としてのポリシーの問題はあるかも知れませんが、でもそれにしても、犯罪組織の親玉を確実に先に殺すのが筋というか、鉄則だと思うのですが・・・

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