庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「ベイマックス」
ここがポイント
 人を助けるという意思と姿勢が頑なな心を溶かして行くというパターンに心を打たれるという作品
 いかにも日本市場を狙った設定。日本でどこまで受け入れられるか危惧したが結果は受け入れられたよう

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 天才ロボットオタク少年が亡き兄が残したケアロボットや仲間たちとともに兄の死の真相を探るディズニーアニメ映画「ベイマックス」を見てきました。
 封切り2週目木曜祝日映画サービスデー、新宿ピカデリースクリーン1(580席)午後4時45分の上映はほぼ満席。

 近未来の架空都市サンフランソウキョウで、3才で両親を亡くし兄タダシとともにキャスおばさんに育てられた14才の天才少年ヒロ・ハマダは、学校にも通わずアンダー・グラウンドのロボットファイトにはけ口を見いだしていたが、兄が通う大学のロボット工学研究室で級友たちがロボットの試作に取り組む様子を見て、大学への入学を切望するようになった。タダシから、研究発表の時にキャラハン教授を驚かせるようなロボットを作れば入学の許可が出ると聞かされたヒロは、考えた通りの形に集合合体するマイクロボットを考案、キャラハン教授から入学の許可をもらうが、その夜、大学で火災が発生し、キャラハン教授を救おうと飛び込んだタダシが爆発で死んでしまう。落ち込んで引きこもったヒロは、ある日、部屋でタダシが作ったケアロボットベイマックスが起動し、ヒロの持っていたマイクロボットが反応するのを追ううちにマイクロボットが量産されている現場にたどり着き、大学の火災はマイクロボットを悪用したい人物が起こしたのではないかと疑った。タダシの敵を討つことに執念を燃やすヒロは、ベイマックスを改造し戦闘力をつけるが…というお話。

 人の怪我や病を治す、人を傷つけることができない設定のケアロボットと、兄の敵を討つべく暴力と戦闘を求めるヒロの組み合わせで、人を助けるという意思と姿勢が頑なな心を溶かして行くというパターンに心を打たれるという作品です。
 原題は、"Big Hero 6 " で、エンディングでもヒロとベイマックスと4人の仲間たち(フレッド、ゴーゴー、ワサビ、ハニー・レモン)が何者かに立ち向かうようなイメージですし、エンド・ロール後にはフレッドを中心に何か続編があるようなカットが付けられています。原作を知らないのですが、シリーズものの一部なのでしょうか。

 CGアニメの映像としては、都市全体の描写力とか、海のさざ波とかが、技術の進歩を感じさせました。

 「アナと雪の女王」で世界興収の約17%(1ドル120円計算。2014年前半のレートを考慮して1ドル105円で計算したら約20%)を稼ぎ出した日本市場をターゲットに、日本仕様を強めたのかなと思います。舞台はサンフランシスコと東京を合体させたサンフランソウキョウ、主人公は日本人、ロボット技術志向のアニメですから。でも、アメリカ人が描く日本にありがちなように、風景はどこか日本というよりは少し中華街っぽかったりして、日本人には日本的と思いにくいところがあります。
 全米興収は「アナと雪の女王」の半分程度のようです。日本での公開初週末は、アナ雪比78.7%のスタートで、その数字自体は大ヒットと言ってよい数字なのですが、桁違いの集客を見せる「妖怪ウォッチ」にトリプルスコア近い大差を付けられました。結局は前作「マレフィセント」に少し届かないクラスのような気がするのですが。
 と、書いていたのですが、公開3週目から「妖怪ウォッチ」を抜いて逆転し、最終的に「マレフィセント」を大きく超え、2015年の日本興収の2位に付けました。アニメで言えば、前年の「STAND BY ME ドラえもん」と同クラスで、日本のアニメ好き観客にも相当アピールしたことになります。

 本編の前に、犬の食欲と飼い主との心情交流をテーマとするミニアニメが付いています。
 彼女はベジタリアンじゃなかったのか、宗旨替えしたのか、もともとベジタリアンではなかったということなのか、台詞のないアニメでよくわかりませんでしたが、気になってしまいました。
(2015.1.4記、2015.12.30追記)

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