庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「ブラック・スワン」
ここがポイント
 大役を張り、またその役を競い合う激しい緊張とストレスの下での恐怖と狂気を描いた映画
 10か月に及んだというバレエの特訓をこなし、その過程を共にした振付師とできちゃったほど役になりきったナタリー・ポートマンの演技は、さすが (*^_^*)
 監督の激しいセクハラやナタリー・ポートマンの一人エッチシーンなど、アカデミー賞主演女優賞のメジャー作品だけど、親子や純情カップルで見るのはしんどい

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 ナタリー・ポートマンがアカデミー主演女優賞を射止めた映画「ブラック・スワン」を見てきました。
 封切り5日目日曜日、ヒューマントラストシネマ渋谷の午後0時10分の上映はほぼ満席。

 ニューヨークのバレエカンパニーに属するニナ・セイヤーズ(ナタリー・ポートマン)は、新シーズンの「白鳥の湖」で、監督のトマ(ヴァンサン・カッセル)がプリマドンナのベスを引退させることから、プリマに登用されるチャンスを獲得する。しかし、新作の「白鳥の湖」では、白鳥だけでなく、王子を誘惑する黒鳥ブラック・スワンの役もこなさなければならず、元バレリーナの母親の下でバレエ一筋に打ち込んできた優等生タイプのニナには、高いハードルとなった。同時に現れた奔放で小悪魔的な新人バレリーナリリー(ミラ・クニス)がブラック・スワンにふさわしい踊りを披露し、トマに近づく姿を見て、ニナは焦りを感じる。苛立つニナはいつのまにか背中に傷を受け、手が血にまみれ、近づいてくるリリーやトマに不審を感じ・・・というお話。

 大役を張り、またその役を競い合う激しい緊張とストレスの下での恐怖と狂気を描いた映画で、見どころも、基本的にそれに尽きます。10か月に及んだというバレエの特訓をこなし、その過程を共にした振付師とできちゃった婚(まだ婚約らしいですが)してしまうほど役になりきったナタリー・ポートマンの演技は、さすがと言えるでしょう。
 サブテーマとしては、母親の下で優等生として育ってきたニナが、心理的に母親から独立し優等生らしさを踏み越える成長物語としての側面もないではない、というところでしょうか。

 しかし、王子を誘惑する悪魔的なブラック・スワンの表現について、ニナの演技の不足を指摘するのに、王子役の男性ダンサーに「おまえ、やりたくなったか?」と聞いて失笑させたり、監督が俺が王子と思えといってキスをし胸を揉みしだき股間をまさぐり固まっているニナにおまえが誘惑する側だろと言い捨てて立ち去り、とやりたい放題。アメリカでこんなことやってセクハラで訴えられたら懲罰的賠償いくらになるんだろ。だいたい、バレエで観客が「やりたくなる」ような踊りが要求されるのでしょうか?
 ブラック・スワンを演じるために命じられて一人エッチするナタリー・ポートマン、リリーとの愛憎をめぐる妄想に耽るナタリー・ポートマンの、ヌードは見せないものの濡れ場が少なからずあり、そのあたりがR15+指定の理由でしょう。
 基本は心理サスペンスで、アカデミー主演女優賞だし、メジャー作品なんですが、親子とか純情カップルで見るにはちょっとしんどいかなと思います。

(2011.5.15記)

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