庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「ブルージャスミン」
ここがポイント
 落ちぶれても過去の栄光と虚飾が忘れられない元セレブの哀しさがテーマ
 貧しい中でけなげにかつたくましく生きるシングルマザーの妹ジンジャーの方に、私は共感する

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 夫も財産も失いながら過去の栄光が忘れられずに虚勢を張り嘘で塗り固めて返り咲きを図る元セレブを描いた映画「ブルージャスミン」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、シネ・リーブル池袋シアター1(180席)午前10時の上映は3割くらいの入り。観客の多数派は女性客。

 大学を中退してパーティーで出会った青年実業家と結婚しジャネットという名前は平凡だと言って名前を変えたジャスミン(ケイト・ブランシェット)は、詐欺と浮気を繰り返した夫ハル(アレック・ボールドウィン)が逮捕されて自殺し、多額の借金を抱えて、シングルマザーの妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)を訪ね、居候する。ジャスミンは抗うつ剤を飲み時に独り言を言いながら、インテリアコーディネーターになると言ってネットで資格を取るためにパソコン教室に通い始め、パソコン教室で一緒になった受講生の勧めでジンジャーを連れてパーティーに参加して、外交官で妻が死に家を買ったばかりだというドワイト(ピーター・サースガード)と出会い、自分はインテリアコーディネーターで外科医の夫と死に別れたと嘘の自己紹介し、自宅に誘われるが…というお話。

 詐欺師の夫の稼ぎで贅沢三昧の生活をし、夫が逮捕されて自殺し多額の借金を負い落ちぶれていながら、過去の栄光を忘れられず、金がないのにファーストクラスに乗りブランド品を持ち歩き、パソコンもまともに使えないのにネットで学んでインテリアコーディネーターになるなど現実性のない外見・人聞き最優先の幻想を持ち続け、金持ち男を見るや嘘を並べ立ててセレブへの返り咲きを図り安楽な地位への執着を見せるという、落ちぶれた元セレブの滑稽さ、哀しさがテーマの作品です。
 ウディ・アレン監督作品ですが、ウィットはあっても、コミカルな要素はあまりありません。ジャスミンが抗うつ剤と酒を手放せず、ときおり独り言を言うという場面が続き、シリアスな雰囲気です。
 私には、ジャスミンは自業自得に思えてほとんど共感できず、貧しい中でけなげに2人の息子たちを育てて看護師とスーパーのレジ係をこなしてたくましく生きるジンジャーの方が好ましく思えました。気が短い修理工のチリ(ボビー・カナベイル)よりも、いい人と幸せになれるといいなとも思ったのですが。
(2014.5.17記)

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