◆たぶん週1エッセイ◆
映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
自分と愛する人の運命がわかってしまったときどうするか、その時愛する人の気持ちにどこまで寄り添えるかがテーマ
愛美の思いの切なさと高寿の成長が泣かせる
「たった30日恋するためにぼくたちは出会った」というキャッチのラブ・ストーリー「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」を見てきました。
封切3週目月曜日三が日、新宿ピカデリースクリーン5(157席)午前11時30分の上映は、7割くらいの入り。
京都の美大の漫画学科の学生南山高寿(福士蒼汰)は、通学時の叡電(叡山電車:今は京福電鉄じゃなくて京阪なんですね。知らなかった…)の車中で見かけた福寿愛美(小松菜奈)を運命の人と感じて降車駅で声をかけた。「また会えますか」と聞かれて感極まって涙ぐんだ愛美は、「会えるよ。また明日」と言って叡電で去った。翌日岡崎の動物園でキリンを描く高寿の背後から愛美が現れ、驚く高寿に、愛美は「教室に張り出されるやつですね」とつぶやき、高寿は愛美に連絡先を聞く。ルームメイトの上山(東出昌大)に煽られて電話でデートを申し込んだ高寿に、愛美は即答で承諾、「明日」と答える。愛美とのデートに向かおうと大学を出る高寿に上山がお前の絵教室に張り出されたぞと声をかけ、高寿は一瞬立ち尽くすが、愛美とのデートは最高で、高揚した高寿は愛美に交際を申し込み、やはり涙ぐんだ愛美は、自己紹介したうえ「私涙もろいから」と断って「よろしくお願いします」と答えた。愛美は毎日のように高寿を訪れ、夢のような日々が続くが、ある日、愛美が帰った後高寿の部屋に遺されていた手帳には、驚くべき書き込みがあり…というお話。
設定の着想がすべてといってよい作品で、それを書かないと具体的な議論ができないのですが、それを言ってしまったらネタバレにもほどがあるということで、記事を書くには悩ましい作品です。
その理由はさておいて、自分の運命の行方、そして愛する人とともに過ごす運命の行方がわかってしまったら、人はどのようにそれを受け止めるか、残されたわずかな時間をどう過ごすか、自分の気持ちにどう踏ん切りをつけるか、そしてその時愛する人の気持ちをどこまで思いやり寄り添えるかが、テーマであり、泣かせどころです。終盤に盛り上がる愛美の思いの切なさ、高寿の成長が、泣かせてくれます。
しかし、シンデレラの愛美は、あの手帳をいつ/どうやって回収したのでしょうか…
映像としては、学生時代を過ごした鴨川の眺めをはじめ観光地でない京都の雰囲気が、私には懐かしくいい感じでした。
(2017.1.3記、1.6微修正)
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