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たぶん週1エッセイ◆
映画「カフェ・ソサエティ」
ここがポイント
 ハリウッドでは芽が出ない男女の「たら・れば」恋愛ノスタルジーは切ないが、「ラ・ラ・ランド」を思い起こす
 中身のないチャラい兄ちゃんとクリステン・スチュアートでは、「ラ・ラ・ランド」より格下に思えてしまう
 ウディ・アレン監督の新作「カフェ・ソサエティ」を見てきました。
 封切り3日目日曜日、TOHOシネマズ新宿スクリーン6(117席)午前10時10分の上映は7〜8割の入り。

 ニューヨークのユダヤ人家庭に生まれた平凡でうだつの上がらない青年ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)は、母がハリウッドのやり手のエージェントの叔父フィル(スティーブ・カレル)に頼み込んだ結果、フィルの元で雑用係として働くようになりハリウッドの名士たちに紹介してもらいながら、フィルの秘書ボニー(クリステン・スチュアート)を見初めた。ボニーが交際を続けていた男に別れを言い渡されて落ち込んでいたのを機に2人は関係を深め、ボビーは、ニューヨークに戻り兄のベン(コリー・ストール)の経営するナイトクラブで働くことにしてボニーに結婚して一緒にニューヨークに来てほしいとプロポーズした。2人の関係はうまくいきそうだったが、憂い顔で座り込んでいるフィルから妻と離婚することを打ち明けられたボビーは、それをボニーに右から左に話してしまい、雲行きが怪しくなって・・・というお話。

 女優志望でハリウッドに職を求めたが芽が出ない女性と、ロスでは成功できない一青年が恋をして、後日女性は映画界の実力者と結婚、青年は自分の店を持ち一定の成功をしたところで、2人が再会し、あったかもしれない2人の関係を想起して切ない思いを持つという、まるでラ・ラ・ランドを思わせる設定とラストです。かつての恋愛でのあのときこうしていればというノスタルジーは、特に中高年観客には、鉄板のテーマともいえ、それでも(ラ・ラ・ランドを見た後であっても)甘く切ない思いは持つのですが。
(作品の公開は、この作品の方が、2016年5月のカンヌ国際映画祭で上映されていて、2016年8月のヴェネツィア国際映画祭が初上映のラ・ラ・ランドより早いのですが、ラ・ラ・ランドの脚本は2010年には書かれていたとされているようですし、両者の関係については、私は判断を避けておきます)
 確固たる価値観や信念も感じられず、自らの力と努力ではなく叔父の力と人脈、兄の経営するナイトクラブの承継という他人任せで成功した(もっとも店を繁盛させたのは人脈を築く力があったからということでしょうけど)中身のなさそうな軽い(口も軽い)青年と、私が以前からあまり好感を持てないクリステン・スチュアートの組み合わせなので、内容の類似性とオリジナリティの帰趨とは別に、ラ・ラ・ランドより素直に切なさを感じにくく思えました。

 「あの女優は誰と寝てもいい役を得られない」という台詞が出てきます。まぁハリウッドでは、日常会話なんでしょうね。でも、クリステン・スチュアートが、主役を得た「スノーホワイト」(2012年)の監督ルパート・サンダースとの間で不倫をしたという報道があり(監督側は不倫の事実を認めているそうな)、続編「スノーホワイト/氷の王国」(2016年)では監督は交代、クリステン・スチュアートも出演しなかったことを考えると、意味深です。その台詞に続いて、「水着姿を見たけど、脚が太すぎる」とあるのが、「クリステン、君のことじゃないからね」というウディ・アレン監督の言い訳のように聞こえます。(クリステン・スチュアートが水着姿で脚が太かったら、さらに笑えますけど。ちなみに日本では来週(2017年5月12日)公開の「パーソナル・ショッパー」では、クリステン・スチュアートが水着に近い黒い下着で登場するシーンが、予告編にあります (^^;)
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(2017.5.7記)

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