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たぶん週1エッセイ◆
映画「カラヴァッジョ 天才画家の光と影」
ここがポイント
 エピソードが多くてイタリアの歴史やカラヴァッジョの伝記とか読んでないとわかりにくい

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 イタリアの画家カラヴァッジョの生涯を描いた映画「カラヴァッジョ 天才画家の光と影」を見てきました。
 見たのは3月28日ですが、なかなか書けずに今頃になってしまいました(もう東京での上映終わってしまいましたね)。
 封切り7週目日曜日午前中、東京では銀座テアトルシネマ1館だけの上映で5割程度の入り。

 故郷を離れミラノで絵の修行をしたミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(アレッシオ・ボーニ)は、当時の売れっ子画家ダルピーニの工房に入り、絵の一部を任されるが、自分は肖像画が描きたいと不満に思いつつ友人の画家マリオ・ミンニーティ(パオロ・ブリグリア)とともに貧しい生活を送っていた。しかし、その絵の技術のすばらしさを聞きつけたデル・モンテ枢機卿(ジョルディ・モリャ)がパトロンとなり、カラヴァッジョは上流社会に足を踏み入れ、名声を得るが、それでも夜の酒場に出入りし度々暴力沙汰を起こすなど奔放な私生活を送っていた。見たものしか書かないというカラヴァッジョは必ずモデルを使い、聖母や聖人の絵を書く際に娼婦をモデルにしたり、死体や処刑された者を見た記憶で書いたことが教会側の不興を買い、カラヴァッジョはそれに反発した。そんなある日、一緒に暮らしていた愛人が襲われ、かねてから怨みを持っていたラヌッチョ・トマンソーニの仕業と考えたカラヴァッジョは、仲間とともにラヌッチョの一味と対決し、ラヌッチョを殺してしまう。幼少の頃からの知人コンスタンツァ侯爵夫人(エレナ・ソフィア・リッチ)の庇護の下、カラヴァッジョは官憲の追っ手を逃れてマルタ騎士団に入り騎士と認められるが、そこでも暴力沙汰を起こし・・・というお話。

 カラヴァッジョの生涯をできるだけ描こうということなんでしょうけども、ちょっとエピソードが多すぎて、見ていて付いていくのがしんどい。登場人物が多くて、その関係がわかりにくいし、カラヴァッジョ自身の事件でない当時の事件とかもほとんど説明なく出てくるので、イタリアの歴史や、さらにはカラヴァッジョの伝記とか読んでないとよくわからないと思います。
 私自身、カラヴァッジョの生涯のイメージは得られたものの、理解できてないエピソードが多すぎるので、カラヴァッジョの本を読んでからにしようとして、書くのがここまで遅くなってしまいました。
 ジョルダーノ・ブルーノの処刑は、学生時代に岩波新書の「ルネサンスの偉大と退廃」(この本がまた、ルネサンスと題しながらルネサンス美術ではなく哲学者ジョルダーノ・ブルーノの主張と異端審問を中心にした予想外の本でした)を読んだことがあったのでたまたま知っていましたが、チェンチ公爵殺人事件でその子どもたちが殺人犯として処刑された件で当時のローマの貴族はその噂で持ちきりだったとか、ボルゲーゼ枢機卿には教皇パウルス5世となったカミッロ・ボルゲーゼの他にその甥のシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿がいて国務長官となるとともにこちらがカラヴァッジョの絵を収集し現在のボルゲーゼ美術館の源になっているとか、知らないし、映画で見ててもなんだかわかりませんでした。
 私が読んだ「カラヴァッジョ 灼熱の生涯(新装版)」(2010年、白水社)で見る限り、映画はカラヴァッジョの生涯をかなり史実に合わせて描いているようです(史実に合わせようとして込み入りすぎたんでしょうね)。ただ、コンスタンツァ公爵夫人との男女関係を印象づけたり、ラヌッチョ殺害の動機を女性問題においた点は、映画を面白くするための脚色のようですが。

 映像も印象的で、できは悪くないと思いますが、たぶん一度では理解できないところが多いでしょう。先にカラヴァッジョに関する本を読んでから見る方がいいと思います。

(2010.4.10記)

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