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たぶん週1エッセイ◆
シャルダン展
 東京駅付近の三菱一号館美術館で開催中の「シャルダン展 静寂の巨匠」に行ってきました。
 シャルダンが無名と言ってよい存在であること、三菱一号館美術館もあまり著名でないこと(私は初めて行きました)、それにしては油彩38点の展示で1500円とお得感がないこと、そして私が平日に行ったことの条件が重なっているためでしょうけど、すいてました。平日に行っても人だかりの美術展ばかりで辟易していましたので、それだけでうれしくなりました。
 三菱一号館美術館は初めて行きましたが、小部屋に区切られ、全体の展示数が38点と少ないこともあってでしょう、一部屋に2点とか3点とかずつのゆったりした展示。それにもかかわらずというか、主催者側では絵を守るために当然ではありますが、一部屋に一人は監視員がいますが、観客が少ないので手持ちぶさたにしていました。絵の前には多くの場合柵かここから入るなというラインが引かれていますが、他の美術館のように1メートルも離されることはなく50センチくらいの感じで、脚は入らなくても上体を寄せるとかなり間近でまじまじと見ることができます。まぁそうすると監視員が観客が触らないか見えるような位置に移動するのがちょっとプレッシャーになりますが、注意されることは一度もありませんでした。立ち止まることさえ許されないマウリッツハイス美術館展とかとは大きな違いです。
 一部屋ごとに自動ドアで仕切られているのは、空調(湿度?)を維持して絵を保護する目的なんでしょうか。福島原発震災後の感覚としては、ちょっと電気の無駄遣い感がありますが。

 シャルダンの静物画は、かなり写実的ですが、しかし写真のような緻密さを売りにする静物画とはちょっと違う感じがします。私には、銅や銀、鉄などの金属系の食器(鍋やゴブレット)の描写や陶器の描写に味わいのある画家だなと思えました。
 静物画のモチーフが似たようなものが並べられ、ちょっと見飽きる感じもありましたが、今回の展覧会の目玉になっている「木イチゴの籠」と隣の部屋に展示された「水差しときゅうりとさくらんぼ」で、同じ人が同じ時期に描いたさくらんぼの透明感が全然違うのはなぜとか、桃の色やぼかしぶりの微妙な違いとか、同じ素材を描いた絵が並ぶ故の楽しみ方もありました。

 風俗画では、人気作品の「食前の祈り」のまなざしや肌の描写に魅せられます。事前には知らなかった作品ですが、「病後の食事」(別名「思いやりのある看護人」)のすっきりとしたたたずまいもちょっと拾いもの感がありました。

 絵の性質からも、画家の知名度からも、その結果としての空き具合からも、地味な展覧会ですが、絵自体の趣味のよさとゆったりじっくり見れる気持ちよさで割とよかったかなと思います。 

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