◆たぶん週1エッセイ◆
映画「ちはやふる 下の句」
行き詰まった時には、かるたが一番楽しかった時のことをイメージする、これって…
史上最年少クィーン若宮詩暢が、キレる天才じゃなくて、むしろ外した癒やし系に見えるのは…
競技かるたに打ち込む千早と幼なじみの新、太一ら高校生となった3人をめぐる青春映画「ちはやふる 下の句」を見てきました。
封切り3日目日曜日映画サービスデー、新宿ピカデリースクリーン6(232席)午前9時30分の上映はほぼ満席。観客の多数派は、若い(中高生)女性グループと親娘連れ。
かるたをやめると宣言した新(真剣佑)を訪ね、永世名人だった新の祖父(リリー・フランキー)の死と新の頑なな様子を見た千早(広瀬すず)は、原田先生(國村隼)から今年の全国大会の個人戦に、かつて新に勝てなかったがその後史上最年少でクィーンとなった天才高校生若宮詩暢(松岡茉優)も参戦すると知らされ、自分がクィーンに勝てば新を翻意させられると考えて、クィーン打倒を目指して、左利きのクィーン対策の特訓を始める。真夏の教室で吹奏楽部の練習音に気を散らされ、千早がクィーン対策に心を奪われて多数派の右利きの相手に勝てなくなっているのになおクィーン対策にこだわる様子にキレた太一(野村周平)は、かるた部から千早を追い出す。北央学園への出稽古で、こてんぱんにやられ、須藤(清水尋也)から、北央学園の強さは個人の闘いじゃないと先輩から受け継いだ全国大会の出場校の分析資料を見せられ、自分たちを破った東京代表としての責任を持てと発破をかけられた千早はかるた部に戻り…というお話。
冒頭、福井の新のところへ向かう千早と太一、例によって眠りこける千早をめぐるギャグカットを置いた後、道すがら千早の手を握ろうとする太一、それに気づかず後ろから自転車で通りかかった新を見つけ驚く千早、千早を見て驚きあぜ道から転げ落ちる新、新を助けようとしてあぜ道から滑り落ちる千早という、マンガが原作ですからそういうことなんですが、いかにもマンガのベタなシーンがあり、あぁこういう作品なんだと印象づけられ、基本的にその印象が最後まで持続する感じです。
パート2に当たる「下の句」のテーマというか、キーメッセージは、上の句から続く「1人じゃない」、「チームの絆」に加えて、新が太一の問いかけに対してアドバイスした、行き詰まった時には、かるたが一番楽しかった時のことをイメージするということにあります。これって、もしや…、私のようなハリ・ポタオタクには、ハリー・ポッターが宿敵ともいうべきディメンター(吸魂鬼)を退けるための呪文「エクスペクト・パトローナム!」を唱えるときに、これまでで一番幸せだった思い出を思い浮かべることで呪文の威力が増すというのと同じ…
全くの独習で史上最年少クィーンに上り詰めた若宮詩暢、異次元の強さなんだそうですが、今ひとつ鋭さが感じられません。どちらかというと、原宿限定「ダディ・ベア」のキャラクターとか、雪だるまの絵のTシャツとか、独特のヘタかわキャラ志向に癒される感じです。
下の句の公開記念舞台挨拶の席上、原作者の手紙で続編の話が書かれていて主演の広瀬すずが驚いて感極まったというようなニュースが流れましたが、作品自体の中で、いかにもまだ終わらないぞ、続編やるぞってメッセージが濃厚に示されています。
(2016.5.1記)
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