◆たぶん週1エッセイ◆
映画「エクリプス」
恋愛映画というよりはアクション映画、なのにクライマックスのはずのニュー・ボーン軍団との戦いがずいぶんあっさりと終わり、中途半端
エンディングは原作を読んでない観客には、これでシリーズ終了って誤解を与えそう
トワイライトシリーズ第3作の「エクリプス」を見てきました。
封切り2週目土曜日、定員1064名の新宿ミラノ1の午前10時50分からの上映はざっと数えて40人台。5%位の入り。原作の読者層からして観客の中心は女子中高生と予想されますが、今回は宣伝に力を入れている(前日夜に第1作と第2作のダイジェスト編集版のテレビ上映もしてましたし)ためか、意外に中高年層もいました。
アメリカでは前作「ニュームーン」が公開初日興行収入の歴代1位、この「エクリプス」が歴代2位の記録を樹立したそうです(興行収入全体では「ニュームーン」が歴代37位、「エクリプス」が歴代36位だそうです)が、日本での公開最初の週末興行収入は「ニュームーン」が歴代はおろか、当日公開中の作品中で10位、「エクリプス」がようやく4位に入ったものの、公開2週目の「SP野望編」「プリキュア」「怪盗グルーの月泥棒」に後れを取る始末。
ベラ(クリステン・スチュワート)の元に戻ったエドワード(ロバート・パティンソン)はベラに結婚を求める(これが「ニュームーン」のラストの「続く」ネタ)が、ベラは現代では若年者の結婚は妊娠を意味するなどと言って応じないでいた。高校の卒業も近づき、ベラは卒業したらヴァンパイアに変身させるように求めるが、変身は魂を失うことと、エドワードは乗り気になれずにいた。その頃、シアトルで連続殺人事件が起こり、その犯人はかつてエドワードに恋人を殺されたヴァンパイアのビクトリア(ブライス・ダラス・ハワード)が生み出したなりたてのヴァンパイア(ニュー・ボーン)軍団だった。アリス(アシュリー・グリーン)はニュー・ボーン軍団がベラの家に忍び込んで持ち去ったブラウスのにおいでベラを探索しておそってくることを予知し、これを聞いたカレン一族は狼族とともにベラを守って闘うことを決意した。狼族のサブリーダーのジェイコブ(テイラー・ロートナー)は、ベラに愛を告白し、自分と一緒なら家族も友人も捨てずに暮らせると迫る。戦いを前に嫉妬したエドワードはジェイコブの前でベラとの結婚を知らせ、ショックを受けて立ち去ろうとするジェイコブにベラはキスしてと求め、抱き合う。ニュー・ボーン軍団はカレン一族の前に現れ、ヴォルトゥーリ一族が隠れて見つめる中で戦いが始まり・・・というお話。
ベラとエドワードとジェイコブの三角関係、私の世代には竹内まりやの「けんかをやめて」の歌詞がそのまま思い浮かぶような展開。エドワードと結婚すると決めてもジェイコブに対して思わせぶりな態度を続け、挙げ句の果てにエドワードもそばにいるのにジェイコブにキスしてと求めて抱き合う始末。私にはジコチュウの性悪女にしか見えないんですが、2人の男に言い寄られて思い悩むヒロインというふうに見るんでしょうね。ファンの人たちは。
映画としてのテンポはよかったと思いますが、恋愛映画というよりはアクション映画の雰囲気。それにもかかわらず、クライマックスのはずのニュー・ボーン軍団との戦いがずいぶんあっさりと終わってしまう。そのあたりのつくりがちょっと中途半端な感じがします。
ビクトリアもわりとあっさりやられちゃうし。ヴァンパイアにとどめを刺すには焼かなきゃということですが、雪の中に倒れた死体に油もかけないでライターで火をつけるだけで燃え上がるって、手抜きし過ぎ。ところでビクトリア、第1作、第2作(ラシェル・ルフェーブル)と役者が変わってたんですね。
第1作、第2作と異なり、ラストに安物連続ドラマふうのいかにも「続く」って感じのシーンはなく、そこはすっきりしていますが、原作を読んでない観客には、これでシリーズ終了って誤解を与えそうです。原作はもう1巻ありますので、映画も「ブレーキング・ドーン」がなんと2部作に分けて2011年11月と2012年11月にアメリカで公開予定だとか。2部に分けるほどの内容、ないと思うんですけど。売れたシリーズだからとことんまで儲けたいってだけなんでしょうね。
ロザリーとジャスパーの過去のエピソードもあって、ベラのママも登場し、シリーズファンには、そういう点でも満足度が高いかも知れません。
ファン以外には、映像がきれいだし、テンポもよかったけど、中途半端だなという印象でしょうね。
恋愛ものとしても、私には、主人公3人組よりもアリスとジャスパーのカップルの方がほほえましく見えますし。
ところで、タイトルのエクリプス( eclipse )、映画の映像でははっきり日食(皆既日食)を想定していますが、そうなんでしょうか。原作のタイトルが第1巻 twilight :黄昏、第2巻 new moon :新月ときて、第4巻は breaking dawn :明け方ですから、3巻が昼間の時間帯というのは不自然で、第3巻の eclipse は月食だと思っていたんですが。
(2010.11.13記)
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