◆たぶん週1エッセイ◆
映画「東のエデン 劇場版T」
フジテレビで放映されたテレビアニメの映画版「東のエデン 劇場版T The King of Eden」を見てきました。
封切り3週目土曜日、午前中にもかかわらず満席近い入り。テレビの力、ですね。土曜日午前中という時間帯もありますが、客層は圧倒的に高校生・大学生あたり。中高年の姿はほとんど見えませんでした。
戦後の日本を裏で操ってきた政商が構築したコンピュータシステム「ジュイス」により、一方的に選ばれた12人の「セレソン」が渡された「ノブレス携帯」を通じてジュイスに申請するとそれが実現するが、その実現のための費用が与えられた持ち金から引かれて残額がゼロになったり私的に悪用すると、12人のうちの1人の隠された存在「サポーター」の手によって消滅させられるというルールで、「セレソン」たちが自分の思う正義を実現しようとするというのが、お話の舞台装置。「東のエデン」は、記憶を抹消されてワシントンをさまよっていたセレソンNo.9の滝沢朗と出会った女子大生森美咲の所属するグループが立ち上げたネット上のコミュニティシステムの名前です。
劇場版は、テレビアニメの終盤でセレソンNo.1の物部とセレソンNo.2の辻が東京にミサイル60発を撃ち込んだのを、滝沢が撃墜した後、ジュイスに「この国の王にしてくれ」と申請したまま行方不明となった、その半年後からスタートします。劇場版Tは、ほぼ半分の時間を咲が滝沢を捜し続け、ようやくニューヨークでふたたび記憶を抹消されて首相の隠し子「飯沼朗」となった滝沢を再会したところで、他のセレソンの攻撃を受け、別のセレソンの助けもあって辛くも逃げ切って2人で日本に帰国するところでお終い。劇場版Uは2010年1月9日公開予定でしたが2010年3月に延期されています。
劇場版Tだけ見ても、テレビアニメか映画化された総集編を見ていないと(私は映画館で総集編の方を見ました)前提がわからない(劇場版でも「セレソン」のことは少し説明していますが、咲の仲間や「東のエデン」関係はほとんどわかりません)し、ストーリーもさほど展開せず、いかにも「つづく」っていう終わり方で頭に来ます。
Tの上映時間は90分程度。それならTとUに分ける必要もなく、1本で公開すればいいのに、あえて2本に分けて入場料を倍稼いで話題を長引かせようという意図が感じられます。
テレビアニメのファン層に頼った、テレビアニメの発想と手法で作られた映画だと思います。独立の映画作品として見るのには無理がある感じです。
「セレソン」という言葉は、サッカーのブラジル代表を呼ぶのに用いるのが一般的です(作った人はおそらくはサッカーファンで、それで11人のセレソンと1人のサポーターという構成なんでしょう)が、サッカーの話もブラジルも出てきません。セレソンは日本人で舞台は東京とアメリカだけです。
携帯で注文すれば何でもでき、それを自分の力と錯覚して他人の運命や社会を弄ぶゲームに打ち興じるセレソンたちというのは、コンピュータオタクたちの理想なんでしょうか。
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