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たぶん週1エッセイ◆
映画「ワイルド・スピード ICE BREAK」
ここがポイント
 派手な新たなアクションは生み出されているが、手に汗握るという感じは薄れている
 レティとドミニクの絆、信頼、献身とその思いを見る作品
 ワイルド・スピードシリーズ第8弾「ワイルド・スピード ICE BREAK」を見てきました。
 封切3日目日曜日、TOHOシネマズ日劇スクリーン1(944席)午前10時45分の上映は、なんと1〜2割の入り。2週前(2017年4月14日〜)の公開初週末に世界興収でオープニング興収歴代1位の新記録を作った超話題作ですが、アメリカでは今一つ振るわず、日本では不人気なこのシリーズ(前作「ワイルド・スピード SKY MISSION」が、世界興収歴代6位なのに、全米では歴代38位、日本ではなんと歴代100位圏にも程遠く、35.4億円の興収は公開年の2015年の年間ランキングでさえ13位どまり)、またしても寂しい結果に終わって日本市場の特殊性を印象付けることになるかも。

 前作でファミリーに完全復帰した恋人のレティ(ミシェル・ロドリゲス)といちゃつき、仲間たちとキューバでのバカンスを楽しむドミニク(ビン・ディーゼル)の前に、怪しげな女サイファー(シャーリーズ・セロン)が現れ、タブレット端末を見せ、凝視するドミニクに、私たちは出会うべくして出会ったとつぶやいた。ホブス(ドウェイン・ジョンソン)にミスター・ノーバディ(カート・ラッセル)から、ベルリンで新兵器のEMSを奪取するように指令があり、ホブスはドミニクらの協力を得て、EMSを奪取するが、追っ手を振り切ったと思いきや、ドミニクにEMSを奪われ、刑務所に入れられてしまう。刑務所でホブスは前作の仇敵デッカード・ショウ(ジェイソン・ステイタム)と遭遇し悪態をつき合うが、ミスター・ノーバディの策略で房の扉が開放され、ホブスもデッカードも脱獄する。ミスター・ノーバディのもとでドミニクからEMSを奪い返すミッションを与えられたホブスとファミリーの前にサイファーとドミニクが現れ、前作でファミリーが手に入れた監視プログラム「ゴッド・アイ」を持ち去った。ドミニクはサイファーの目を盗んで謎のママ(ヘレン・ミレン)に助けを求め、ホブスとファミリーとデッカードはドミニクを追ってニューヨークに向かうが…というお話。

 売り物のカーアクションは、冒頭のキューバでのポンコツ車を改造しての1マイル(1.6km)レース、ベルリンでのEMS奪取後のカーチェイスと鉄球作戦、ニューヨークでのハッキングによる無人車アタックと車の雨作戦、ロシアの軍事基地の氷上での巨大潜水艦との砲撃戦などの見せ場があります。
 自動車の運転制御システムをハッキングしての攻撃は、そこまでやれるなら、派手にあたり一帯の車を総動員しなくても、ターゲットの国防大臣のリムジンとせいぜい周囲の護衛車をハッキングすれば目的を達するんじゃないかと思ってしまいます。
 終盤のサイファーの基地となっている航空機への侵入と攻撃は、ガンアクションではありますが、あまりに都合よすぎてむしろコミカルな印象が強くなり「シューテム・アップ」(2008年)を思い起こしました。
 シリーズの継続により、常に前作を超えるアクションが求められるプレッシャーからでしょうけれども、まぁよくこういうの考え付くなぁとは思いますが、娯楽性が強くなって、手に汗握るスリルという感じは薄くなってきているように思います。

 本来的にはアクションが売りの映画なのですが、ドミニクとファミリー、特にレティとドミニクの絆、信頼、献身とその思いへの共感/感動がテーマとなっています。
 前作の撮影中に死亡したポール・ウォーカーの役柄のブライアンが、今回は登場しませんが、生きているという設定になっています(ドミニクの行方を追うのに、ブライアンならという話題が出て、ブライアンとミアを巻き込みたくないというセリフでその話題が打ち切られます)。一部の映像でCGで顔を作ったという前作の路線を続けるのか、保留になっているのでしょうけど、次回作ではブライアンを復活させるつもりなんでしょうか。
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(2017.4.30記)

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