庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「フォーカス」
ここがポイント
 基本的には、ひねり、反転などの流れを楽しむエンタメ映画と考えた方がいい
 詐欺師同士の恋は、何が本当か、どれが本心かという疑いで生じる心情の綾/奥行きが見どころ

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 天才詐欺師とその下で頭角を現した新進の詐欺師のロマンスを描いた映画「フォーカス」を見てきました。
 封切り4週目日曜日、シネ・リーブル池袋シアター2(130席)午前10時15分の上映は2割くらいの入り。

 詐欺師集団を束ねる天才詐欺師ニッキー(ウィル・スミス)は、レストランで食事中に声をかけて美人局を仕掛けてきたスリのジェス(マーゴット・ロビー)を軽くいなし、スリと詐欺の極意を教えてくれと迫るジェスに相手の注意力( Focus )をそらせと教える。アメリカン・フットボールの決勝戦に沸くニューオーリンズまでニッキーを追ってきたジェスは、ニッキーが指揮する30人規模のスリ/窃盗グループに迎えられ、めきめきと頭角を現す。数日のうちに観光客・観戦客から110万ドルの荒稼ぎをしたチームは解散し、ジェスはニッキーと2人で決勝戦を観戦するが、フットボールには関心がないというジェスにニッキーはショートパンツの女性に何人の男が振り向くかなどの賭けを持ちかけ、そこに近くの席にいた富豪が割り込んでくる。その男は伝説の中国人ギャンブラーで、ニッキーは賭に負け続け、ジェスはニッキーをホテルに戻そうとするが…というお話。

 前半のエピソードは、ほとんどがスリなので、弁護士の/少なくとも日本の刑法学的な頭では「詐欺」じゃなくて「窃盗」だろと思ってしまいますが、ウィル・スミスがマーゴット・ロビーに教えるように、相手の注意をそらすことにポイントがあり、そのアクションがあるから、騙す要素が入って、やっぱり「詐欺」なのかなというところでしょうか。
 スリチームの解散後の展開は、ようやく「詐欺」らしくなってきます。話が展開するにつれ、ひねり、どんでん返しがあり、飽きさせない構成にはなっています。公式サイトの「STORY」の最後には「騙し、騙される2人の行く末に、驚きの結末が待っている!」と書かれています。確かに、驚かせてくれると思いますし、基本的には、単純にその流れを楽しむエンタメ映画だと考えた方がいいでしょう。ただ、中間に3年間のブランクが入って、ストーリー的にぶっつりと切れてしまい、そこで流れというかまとまりが悪い感じがしました。
 詐欺師同士の恋愛というテーマが、何が本当?、どれが本心?という疑いと見方の幅とあいまって、単純にも/そりゃないでしょとも、複雑にも/裏の裏にも、さまざまな解釈ができそうな、一筋縄ではいかない心情の綾/奥行きを出しているように見えます。
 でも、単純にニッキーと戯れるときの、マーゴット・ロビーの笑顔がかわいい(たとえて言えば、「モテキ」の長澤まさみのような (*^O^*)。
 主役2人とは別に、道化役のファーハド(エイドリアン・マルティネス)が光っていると、私には思えました。登場する度に、恋愛ものが「ハング・オーバー!」に変わる印象ではありますが。
(2015.5.25記)

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