◆たぶん週1エッセイ◆
映画「アナと雪の女王」(日本語吹き替え版)
女王エルサと次女アナの姉妹愛がテーマ
姉から面会を拒否され孤独に育ちながらいじけずまっすぐなアナの姿はいじらしく感動的
人を傷つけないために自ら孤独を選び重圧に耐えるエルサの姿もまた感動的
ディズニー創立90周年CGアニメミュージカル「アナと雪の女王」を見てきました。
封切り11週目土曜日、新宿ミラノ1(1048席)午前11時50分の上映は2〜3割の入り。
週末興行成績10週連続1位、2014年5月18日時点(封切り10週目)累計興収が185億円超で既に日本歴代6位、歴代3位(「ハリー・ポッターと賢者の石」超え)が射程圏内になってきています。短編の「ミッキーのミニー救出大作戦」が同時上映となっているのは、ディズニーとしては自信のなさというかてこ入れのためだったのでしょうけど、むしろこの短編はなくていいというかかえって目障りかも、と思える大人気。でも、11週目を迎えても週末は新宿ピカデリーは予約だけでほぼ満席なのに、新宿ミラノはそれでも3割くらいしか客が入らないのはなぜ?私はスクリーンが大きくて空いているミラノ1はお得だと思うのですが…
アレンデール王国の王女エルサは生まれつき雪を降らせ周囲を凍らせる魔力を持っていた。幼い頃次女のアナにお願いされて部屋の中で雪遊びをしていて誤ってアナの頭に氷を打ち込んで死なせかけたことがトラウマになったエルサは、国王の指示もあり、その日から部屋に閉じこもりアナの誘いを拒否し続けた。国王夫妻が遭難し姉妹2人となってもエルサはアナとの面会を拒否し続け、3年後エルサが成人して行われた戴冠式の日にようやく城の扉が開かれ、アナはエルサと会うことができた。城の外に出られる日を待ちかねていたアナは、港で知り合った他国の王子ハンスと意気投合し結婚を誓い合って、ハンスをエルサに紹介し、ハンスに城に住めばいいと言った。魔力を隠し続けるために他人を城に入れたくないエルサは、アナの結婚に反対し、パーティーの終了を宣言、部屋に帰ろうとするが、アナに引き止められて興奮しパーティー客の前で部屋を凍らせてしまう。隠し続けていた魔法の力を人前にさらしてしまったエルサは狼狽して逃走し、北の険しい山中で氷の城を築き、全てを捨てることでありのままの自分でいられることに満足して氷の城に籠もる。エルサの魔法でアレンデール王国全体が雪に閉ざされてしまい、アナはエルサに雪を溶かしてもらうために、ハンスに城を任せて、山中で出会った山男クリストフ、トナカイのスヴェン、雪だるまのオラフとともに氷の城を目指すが…というお話。
アナとエルサの姉妹愛がテーマの作品です。
幼いときから、仲のよかった姉エルサから面会を拒絶され続け、絵や甲冑や柱時計と戯れつつ孤独に育ったアナが、それでも姉を慕い続けいじけずまっすぐに明るく育つ様は、少し理想的に過ぎますが、感動的です。娘を持つ父親の視線からは、それだけでもいじらしくけなげで、涙目ものです。そしてアナがエルサを救うために身を投げ出すシーンでは涙が止まりませんでした。
他方で、幼くして魔法を抑制することを求められてできず、困惑しながら、アナを殺しかけてしまったトラウマから部屋に閉じこもり自ら孤独に暮らし続け、できれば避けたいが長女として女王とならざるを得ず責任感から戴冠式に臨むエルサの悲壮な思い、若くして課せられた重圧に苦しみながらそれを背負おうとする姿も感動的。
それくらいの年頃の娘を持つ父親という立場から見たためかも知れませんが、シンプルな強い感動を与える作品だと思います。
ミュージカル作品は興行成績が伸び悩む市場で、この人気は特筆ものです。全編歌ではなく、ここぞというところにある程度絞っているためにミュージカル色が薄く、歌の部分が印象と記憶に残りやすいのかもしれません。
日本語吹き替え版のアナ役の神田沙也加の声と特にその伸び具合は、おじさん世代には母松田聖子の若い頃を彷彿とさせ、ノスタルジーに浸らせてくれます。それに引けを取らない松たか子の歌声も立派です。
邦題は「アナと雪の女王」(原題は Frozen )ですが、イメージとしては雪の女王よりは氷の女王の方がしっくりくるように思えます。
(2014.5.25記)
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