庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「ぐるりのこと。」
ここがポイント
 夫婦を長くやってれば、いいことも悪いことも含め、そういうこともあるよねと思わされるシーンが続く
 夫婦で見ても最後はほんわりで帰ってこれると思う

Tweet 

 夫婦の10年を追ったじんわりラブストーリー「ぐるりのこと。」を今さらながら見てきました。
 2008年6月7日の公開からもう20週目。上映館を替えながら細々とですが、まだやってたんですね。
 タイトルの「。」、何だろうと思いますが、「モーニング娘。」(あっすごい。「もーにんぐむすめ」で変換キー押したら勝手に「。」が付きました)のおかげで何に「。」が付いてても追及するだけ無駄と思いますので気にしないことにします。

 不器用ながら靴修理工から法廷画家に転職して折り合いをつけていくカナオ(リリー・フランキー)と、子どもを失ってから自信を失い次第に心を病んでいく翔子(木村多江)の夫婦が、翔子が病み生活が荒む中でも離れず、リハビリで紹介された寺院の天井画を依頼されて生き甲斐を見出して復活していき、夫婦の間でもまわりの親族の間でもいろいろあったけど、一緒にいてよかったね。というような映画です。
 夫婦を10年もやってれば、あるいはもっと長くやってれば、いいことも悪いことも含め、そういうこともあるよねと思わされるシーンが続きます。予告編からするともっと修羅場が多いのかと思いましたが、詰り合いながらもしょうもないことを言っている場面とか、照れながらいちゃいちゃしてるシーンとか、基本的には、夫婦っていいねという印象の方が残ります。その意味では夫婦で見ても最後はほんわりで帰ってこれると思います。

 最初の方に出てくる判決公判の日の司法記者クラブと司法記者の様子は、とてもリアル。法廷の様子は、実際の著名刑事事件をモデルにしていて、私はその事件のその法廷を見ていないので断言できませんが、ちょっとそんな尋問するかなぁとか、私には違和感のあるシーンが多かったのですが。そのあたりは、司法記者クラブは、時々お客さんとして行くだけだからそれなりに描けていれば細部が違ってもリアルに見え、法廷は本職だからちょっと違うと違和感があるというだけかもしれませんが。
 法廷の尋問シーンで、証人が「あれ」と言ったらすかさず裁判長が「あれというのは被告人のことですか」と質し、被告人が「Mさん」と言ったらやはりすかさず裁判長が「被告人、Mさんと言ったのは誰のことですか」と聞く下りは、一般の人には間が抜けて見えるでしょうけど、そこはとてもリアルですけどね。

 翔子の描いた天井画、最後に出てきますが、天井画なのに、どう見ても板に書いてない、紙を貼ってる?これはなんとかして欲しかったと思います。それからこういうタイプの天井画も確かにありますけど、天井全体としてのテーマというか統一感が感じられません。「若仲」がいいとか言って画集も見てたのに、全然若仲風じゃないし。

(2008.10.19記)

**_****_**

 たぶん週1エッセイに戻る

トップページに戻る  サイトマップ