庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「ハナミズキ」

 一青窈のヒット曲を元にした恋愛映画「ハナミズキ」を見てきました。
 封切り2週目日曜午前中の上映は2〜3割の入り。

 カナダの港町で生まれ母(薬師丸ひろ子)とともに釧路に移住し5歳の時に癌とわかって会いに来た写真家の父(ARATA)が庭に植えたハナミズキの樹とともに育った平沢紗枝(新垣結衣)は、早稲田大学の推薦入学の試験の日に電車が遅れたときに居合わせトラックを運転させて自損事故を起こし停学になった地元の水産高校生康平(生田斗真)と恋に落ち、康平の励ましもあって東京の大学で英語を学んで英語を活かした仕事をしたいという初志を貫くために早稲田大学の一般入試を目指し2人で市街地に通いながら勉強を続けた。紗枝は入試に合格して東京に行き、康平は父の後を継いで漁師として釧路に残り、遠距離恋愛が続く。4年生になり就活を続けるが内定が取れずに落ち込む紗枝に対して、父が借金返済のために漁船を手放すことになった康平は、漁師をやめて東京に行き紗枝と暮らしたいというが紗枝が決心できないでいるうちに康平の父が心臓病で死に康平は母と妹を養うために漁師を続けることを決意して紗枝に別れを告げる。紗枝は、大学入学早々に知り合った写真家の先輩北見純一(向井理)がニューヨークに行くと知らされ、独力でニューヨークに渡り雑誌編集者の仕事を得た。北見からプロポーズを受けた後、親友のみなみ(公式サイトでもキャスト紹介なし)の結婚式に出席した紗枝は、康平と再会し、漁協の事務員のリツ子(蓮佛美沙子)と結婚したことを知らされる。紆余曲折を経て2人は・・・というお話。

 ラブ・ストーリーとしては、遠距離恋愛、すれ違いのいかにも昔のドラマっぽい展開で、初恋が実ることが望ましい/美しいという主張に満ちています。主人公たちだけでなく、近所のおじさんや康平の友人もそういう志向で描かれています。
 非現実的ですが、でもうらやましくもあり、生活に疲れているとこういったノスタルジーに魅力を感じます。そういう点から中高年の観客を意識した作品かなという気がします。
 薬師丸ひろ子が母親役が板に付いた様子で、しかしなお生き生きとして魅力的な表情を見せているのも、やはり私の世代には感慨深いものがあります。

 ラブ・ストーリーとしてはいかにも/作りすぎの感がありますが、人生ドラマとしてはむしろ現実的というか厳しい設定です。
 地方から夢に見た早稲田大学に入学しても(今どき英語ができる、英語を活かした仕事をしたいというだけでは)内定1つ取れず、ようやくニューヨークで雑誌社の編集の仕事に潜り込むがそれもまだアルバイト的な存在という紗枝。父親は借金のために漁船を手放し、他人の船で漁師を続けても借金を返せず破産する康平、漁師をやめていく康平の友人・・・仕事の面では「夢破れて」が続く展開です。
 それでも人間何とか生きていけるさというお話でもありますが。

 10年間を描いた映画で、新垣結衣のメイクが大幅に変わるところとかに時の流れを感じますが、母娘でしみじみとハナミズキの樹が大きくなったねと言われると10年間で樹の高さが全然変わっていないことがかえってはっきりしてちょっと・・・
 エンドロールの後のシーンで登場した男が康平なのかどうかで、ちょっとカミさんと意見が分かれました。私は康平だと思ったんですが。

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