庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「ハリケーンアワー」
ここがポイント
 保育器中の新生児を抱えそのバッテリーがを3分足らずごとに充電を繰り返さなければならないという条件設定のシチュエーションサスペンス
 妻の死を悲しむ余裕もなく新生児と取り残された男の心情があわれ

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 ハリケーンで病院中が避難し保育器の中の新生児の娘と2人残された男のサバイバルを描いた映画「ハリケーンアワー」を見てきました。
 封切り4週目日曜日、全国19館東京2館の上映館の1つ新宿ミラノ3(209席)午後0時45分の上映は2割くらいの入り。

 2005年8月、大型ハリケーンカトリーナに襲われたニューオリンズの病院で、出産予定日の5週間前の妻アビゲイル(ジェネシス・ロドリゲス)が腹痛を訴えたのに付き添って来たノーラン・ヘイズ(ポール・ウォーカー)は、看護師から妻の死と早産の娘が保育器の中で人工呼吸と点滴を受けていることを知らされる。医師は48時間たてば保育器から出せるだろうと言い、ノーランに付いていてやってくれと言うが、退避命令が出て患者らに付き添って避難してしまう。停電が発生し、バックアップのバッテリーも残量が少なくなり、ノーランは予備のバッテリーを探し出すが、充電器は手回しで1回に3分弱しか充電できない。ノーランは残っていた看護師を見つけ窮状を訴えるが、保育器を運ぶのは無理だと言われ、看護師も助けを呼んで戻ると言って避難してしまう。ノーランは3分足らずしかもたないバッテリーがなくなる度に充電に戻りながら解決策を求めて病院内を探し回るが…というお話。

 人工呼吸と点滴なしに生きられない新生児を抱え、病院のスタッフはいなくなり、バッテリーが尽きて3分足らずごとに病室に戻って充電しなければならないという条件で、飲料食糧が尽き、点滴バッグも空になり、さらには略奪者が訪れという危機に対応していくというシチュエーション・サスペンスで、そこが見どころであり、ほぼそれに尽きる作品です。
 妻の死を知らされ信じられないノーランが、沈み込みながら、看護師に妻に会わせろ(遺体はどこだ)と言わず、その後しばらくしてふと思いついてバックヤードに入り多数の遺体が廊下に放置されているのを見てその中に床に放置されている妻の遺体を見つけても、名札で確認するだけでシーツをめくり上げて確認することもなくシーツの上から君が必要だというの、混乱し取り乱しているからということかもしれませんが、少し違和感を持ちました。信じられなければますますすぐに妻のところへ案内しろと言うでしょうし、シーツをめくって死に顔を見てすがりつくのが素直に思えるんですが。他方、遺体を床に放置したり、遺体を前に悲しむ遺族に対してここは立入禁止だ規則だから出て行けという病院の姿勢もあんまりだなぁと思えます。
 妻の突然の死を受けて、気持ちを整理する余裕もなく、新生児と2人取り残され、事態への対処を求められる男の心情にあわれとある種の救いを感じます。
(2014.3.9記)

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