たぶん週1エッセイ◆
映画「幸せの始まりは」
ここがポイント
 セレブ男と落ちぶれた青年実業家の間で、サラが後者を選ぶのは好ましいが、どちらも金持ちの中での話
 わずかな会話の積み重ねだけで圧倒的なお金持ちのセレブとすでに肉体関係も持ち将来を考えている女性の気持ちを奪えるって、そこはちょっと無理じゃない?

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 引退を余儀なくされたソフトボール選手がこれからの人生に迷いつつプレイボーイのメジャーリーガーと詐欺の疑いで起訴されそうになっている青年実業家の間で思い悩む恋愛映画「幸せの始まりは」を見てきました。
 封切り3週目日曜日、新宿ピカデリーの午前9時40分の上映は2割程度の入り。

 かつてはソフトボールのナショナルチームを率いて金メダルをもたらしたスター選手だったが31歳になりメンバーから外されて、今更ふつうの人生に魅力を感じられず行く末に悩むサラ(リース・ウィザースプーン)は、手当たり次第に女と寝ているプレイボーイのメジャーリーガーマーティ(オーウェン・ウィルソン)と成り行きで関係を続けていた。サラの友人からサラの携帯番号を知らされて慰めるようにいわれていた青年実業家のジョージ(ポール・ラッド)は、はじめはその気がなかったが、父親の犯した不正で自分が疑われて失職した上に刑事訴追の危機にさらされ、恋人にも捨てられてどん底に落ちて、サラを食事に誘う。サラは、一緒に住みプロポーズしながらも他の女と行きずりのセックスを続け、自分本位にことを進めるマーティと諍いを繰り返し、ジョージの優しさに惹かれていき・・・というお話。

 金持ちのセレブのイケメン男と失職して刑事訴追の危機にある落ちぶれた青年実業家の間で、サラが後者を選ぶ展開は、さえない中年おじさんとしては溜飲が下がりますが、でも考えてみればどちらも金持ちの中での話なんですね。桁が違うけれども。
 サラの選択は、マーティのあまりの不節操ぶりとわがままさに対して、ジョージのサラの話を聞く姿勢やサラを尊重して待つ姿勢というところ。それ自体はわかりますが、サラとジョージが話した時間って、携帯でのわずかな時間の間抜けな会話、イタメシ屋での「沈黙のデート」、マーティのマンション(ジョージの会社も入っている)での荷物持ち、ジョージの部屋でのたぶん数時間くらいの会話(これもマーティからの電話で中断してサラはマーティのマンションに帰宅)、ジョージの部屋を訪ねたがすぐジョージの秘書が出産して産院に駆けつけた後でのバス停での数分くらい、マーティの開いたパーティでの数分くらい。たぶん、これで全部。これで圧倒的なお金持ちのセレブとすでに肉体関係も持ち将来を考えている女性の気持ちを奪えるって、そこはちょっと無理じゃない?って思います。

 ジョージの秘書が、冷酷な会社のやり口に悲憤慷慨してジョージの家を訪ねつつ、守秘義務で縛られ、ジョージの方も守秘義務のあることは一切いうなと厳命するあたりや、会社側のジョージに対する姿勢、弁護士の態度(ホワイトカラー犯罪とはいえ、弁護士費用30万ドルって・・・)とか、アメリカだなぁって思います。もっとも、日本の企業の労使関係も、だんだんアメリカナイズされてきていて、使用者側の冷酷さが目に付くようになっている気がしますけど。

(2011.2.27記)

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