たぶん週1エッセイ◆
映画「ユダ」
ここがポイント
 原作の8年にわたる紆余曲折から刈り込んでシンプルに仕上げているが、高校生の時にブスと罵った男や美々との関係はもう少し描いた方がよかったかも

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 歌舞伎町の伝説のキャバクラ嬢の自伝を映画化した映画「ユダ」を見てきました。
 封切り2週目日曜日、新宿ミラノ3(209席)午前11時50分の上映は1〜2割の入り。

 将来を誓った恋人の子を身籠もった高校生絵里香(水崎綾女)は、恋人と親友がHしている現場を目撃し、恋人に詰め寄るが、捨てられる。包帯を当てたまま出たバイト先で客に苦情を言われてクビになり、帰りがけに声をかけてきたキャバクラのスカウト新海(田島優成)を訪ねて、中絶費用ほしさに5日間バイトした絵里香はそのままキャバクラで働き、ナンバー1になる。上を見つめて歌舞伎町でナンバー1になってみせると考えた絵里香は新海の紹介で歌舞伎町の高級キャバクラエデンに前の店で世話になったキャバクラ嬢「胡桃」の源氏名で勤めることになる。2か月でナンバー2となる新記録を打ち立てた胡桃はそれでも満足せず、あくまでもナンバー1を目指すが・・・というお話。

 原作本では上下2巻8年分の玉石混淆、多岐にわたるエピソードが詰め込まれていますが、これを上昇志向の2年間の数本のエピソードに刈り込んでシンプルにしています。
 多数登場する男たちとのエピソードは、スカウトした新海、初めての客のサラリーマンでそのまま貢ぎ続けて1000万円もの借金を抱えて破滅する名輪(水橋研二)、ナンバー1キャバクラ嬢美々のパトロンだった冴木社長(板尾創路)、若きヤミ金融の経営者大野(青柳翔)の4人に絞り込み、名輪と冴木は胡桃の踏み台・胡桃の冷酷さを表現する素材となり、大野は胡桃のキャバクラ嬢としての上昇志向とともに恋心をそそる相手として、新海はある種の理解者として、胡桃の人間性を見せる素材となっています。
 原作では、新海ってこんなきれいな役じゃなかったような気がしますし、高校のときに絵里香をブスと罵って振った男が整形した胡桃に気がつかず通い詰めるのをほくそ笑んでいたぶるエピソードは残して欲しかったように思いますが、2時間くらいで見せるにはこれくらいシンプルにしないといけないんでしょうね。
 そういう構成を考えるなら、美々との関係ももう少し描き込んでもよかったような気がします。一応、対立し蔑まれて屈辱感を持つ胡桃、不良の客に犯されそうになってともに逃げ出して連帯感を持つ美々、その信頼感から休む日にパトロンの冴木の接客を任せた美々、美々の信頼を裏切り冴木のアフターの誘いに乗る胡桃、美々が出勤しても胡桃を指名する冴木に一緒に暮らそうっていったのにと泣きつく美々・・・とエピソードは並べてあるのですが、大野との関係のようにこちらも一つの軸として流れを明確にすると、映画としてもっとよかったのではないかと思いました。

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