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たぶん週1エッセイ◆
映画「K−20 怪人二十面相・伝」
ここがポイント
 松たか子のぶっ飛びお嬢様ぶりが見ていて痛快で楽しい。そして、源ジイが渋すぎ!
 格差社会を描きつつその解決は財閥の自主的な利益還元に頼り(それを夢見て)民衆は立ち上がらず富豪の敵を民衆の敵と捉えるというのは、日テレの限界か、現在の日本社会の実情か

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 罠に嵌められて怪人二十面相として逮捕されたサーカス芸人が、自分の無実を証明するために怪人二十面相と闘うという仕立てのサスペンス・アクション映画「K−20 怪人二十面相・伝」を見てきました。
 封切り2週目日曜日ですが、郊外午前中では3〜4割の入りでした。

 第2次世界大戦を回避し華族制度が残ったパラレルワールドの日本の首都・帝都を舞台に、怪人二十面相が富豪から宝物を奪い続け、男爵の明智小五郎(仲村トオル)が二十面相を追うという設定です。
 サーカス団のエース遠藤平吉(金城武)が、雑誌記者を名乗る男に依頼されて羽柴財閥の令嬢羽柴葉子(松たか子)と明智小五郎の結納の写真を隠し撮りしたところ、渡されたカメラが爆弾の起爆装置となっており、怪人二十面相が式場からの絵画の強奪を予告していたことから怪人二十面相として逮捕され、サーカスのからくり師源ジイ(國村隼)に助けられて脱走したものの、街中に貼られた指名手配写真に仰天し、源ジイらと泥棒長屋に潜伏しながら、泥棒長屋に伝わる秘伝の書で修行し、源ジイが作ったからくりを使って逃走術・変身術を身につけ、無実を証明するために怪人二十面相を捕らえようとして、その過程で怪人二十面相から助けた羽柴葉子と意気投合し、羽柴葉子を通じて明智小五郎とも条件付きで協力することになり、怪人二十面相が狙う羽柴財閥が開発した核兵器級の巨大なエネルギー装置「テスラ」の所在場所を解き明かして駆けつけるが、そこで怪人二十面相と鉢合わせして・・・というストーリーです。怪人二十面相の正体が謎解きの対象ですから、ここから先はお楽しみとして。

 映画としては、平吉と二十面相のワイヤー吊りのアクションと羽柴葉子の操るヘリコプターのアクションが楽しくスリリングです。
 松たか子のぶっ飛びお嬢様ぶりが見ていて痛快で楽しい。実際の行動としては、二十面相と平吉に鉢合わせしたときに平吉と逃げるというのも、平吉に「テスラ」の謎が隠されている絵を盗ませるために婚約者の明智小五郎を騙すのも、ちょっとあり得ないと思いますが。
 そして、源ジイが渋すぎ!一介のからくり師に何でこんなことができるのと思いますが、明智小五郎もビックリの大活躍です。

 ただ、貧富の差の激しい格差社会での貧しい子どもたちを描きながら、その解決は、現実には100年待ってもあり得ない、財閥の自主的な利益還元に頼るというのは、まぁ日テレの限界でしょうね。富豪からしか盗まない怪人二十面相の逮捕をテレビに群がる民衆が喜ぶ姿は、富豪の敵を民衆の敵にすり替えるメディアの世論操作として描いたのならあっぱれですが、映像ではそういう感じではなく当然のことと描かれています。ラストでの怪人二十面相は、貧民が権力を握るには圧倒的なパワー「テスラ」を手にしてのクーデターしかないと一席ぶちますが、無条件で悪と切り捨てられます。といって、もちろん、民衆が立ち上がる革命の動きはまったく描かれません。虐げられた民衆は、1人のヒーローとしての「新たな怪人二十面相」の活躍に溜飲を下げ、財閥の上からの自主的な恩恵が与えられるのを静かに待っていましょうという構図です。日テレとしては、経営者側のやりたい放題の労働現場で失業者とワーキングプアがあふれ格差拡大が現政権の失政と強力に意識されてきた今、格差社会が悪いというイメージの映画を公開しただけでも、冒険なのかも知れませんが。
 そういうことを考えると、ちょっとなぁと思いますが、そういうことは一切考えずに、アクションを楽しむべき映画だと思います。

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