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たぶん週1エッセイ◆
映画「ラ・ラ・ランド」
ここがポイント
 基本的に、抒情というかノスタルジーの「気分」を味わう映画
 ラストのセバスチャンの表情にすべてが集約され、後々までその印象が胸に残る
 売れないジャズピアニストと芽が出ない女優志望者の恋を描いたミュージカル映画/「幻のアカデミー賞作品賞受賞」が長らく語り伝えられるであろう「ラ・ラ・ランド」を見てきました。
 封切3日目日曜日、アカデミー賞発表前日、TOHOシネマズ新宿スクリーン7(407席)午前9時10分の上映はほぼ満席。日本でも公開初週末興行成績1位を飾りましたが、満を持してのアカデミー賞授賞式に合わせた日本公開で、期待のアカデミー賞作品賞を取り逃した今後、どこまで興行成績を伸ばせるか…

 高速道路の渋滞中にオーディションのセリフを練習し始め前の車が動いても気づかない女優志望のミア(エマ・ストーン)に対しセバスチャン(ライアン・ゴズリング)は後ろからクラクションを鳴らし続けそれでも動かないミアを追い越し、それを見たミアはセバスチャンに中指を立てる。オーディションに落ちたミアは、同じく女優志望のルームメイトたちに誘われてパーティーに出かけるが、愛車プリウスをレッカー移動され、とぼとぼと帰宅中見つけたバーに入ると、セバスチャンがピアノを演奏していた。セバスチャンの演奏が気に入ったミアが話しかけようとしたが、クリスマスソングを演奏するように言われていたのに逆らってオリジナルジャズナンバーを弾いたためにその場で支配人(J.K.シモンズ)からクビを言い渡されたセバスチャンはミアを突き飛ばして去っていった。春になりプールサイドパーティーで、セバスチャンがバンド演奏しているのを見たミアは、チャラい曲をリクエストしてセバスチャンの不興を買うが、脚本家に迫られているところを通りかかったセバスチャンに車のキーを取ってくれと頼み、2人はそのままパーティー会場を後にして丘の上の駐車場にのぼり、言い争った末ダンスを始め、意気投合する。紆余曲折の末、2人は交際を始め、ミアはオーディションに落ち続け、セバスチャンはかつてのジャズバンド仲間キース(ジョン・レジェンド)に誘われて不本意な曲の演奏を続け人気を得るが…というお話。

 基本的に、抒情というかノスタルジーの「気分」を味わう映画だと思います。
 冒頭シーンをはじめとして、カラフルなイメージを強調する作風と、エンディングは、私には、「シェルブールの雨傘」を思い起こさせましたが、この作品では、ミアはオーディションに落ち続けカフェのバイトを続けるという点では下積みの重さを感じさせますが、そのミアも後にはあっけなく成功し、セバスチャンは才能豊かで曲目・演奏のスタイルさえ妥協すればすぐに人気を博し成功する、2人の別離も生活苦や戦争のためではなく、成功のためということで、宿命とか生活や人生の重苦しさ、ましてや反戦のメッセージなど感じさせず、共通点は、抒情と悲恋のイメージのカラフルさにこだわったミュージカルだという点に尽きるように思えます。
 夕闇を背景にした駐車場でのダンス(ポスターに使われているシーン)に次ぐ見せ場のプラネタリウムでの空中ダンスは、私にはシャガールの絵をイメージさせます。そして、ラストのセバスチャンの表情にすべてが集約され、後々までその印象が胸に残ります。いろいろな点で視覚的な/絵的な印象の強い作品です。
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(2017.2.26記、27更新)

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