◆たぶん週1エッセイ◆
映画「かけひきは、恋のはじまり」
ジョージ・クルーニー監督・主演の1920年代レトロラブコメ「かけひきは、恋のはじまり」を見てきました。
久しぶりに、ふだんは避けている土曜午後に行きましたが、封切り3週目土曜日午後でガラガラでした。今年はやはり洋画大コケの年なんですね。
1925年アメリカの設定で、とにかく画面がレトロ。さすがにカラーではありますが、建物や蒸気機関車、車、電話とか当然古いスタイルですし、アメリカンフットボールの話ですがヘッドギアとかユニフォームもいかにも昔風。日本語字幕まで、予告編と違って昔風の線の細い読みにくい字幕で、私には半分も読めませんでした。
創生期のプロフットボールチームが人気がなく解散に追い込まれて失職した39歳のベテラン選手ドッジ・コネリー(ジョージ・クルーニー)が、大人気の学生フットボールのスターで第1次世界大戦の英雄カーター(ジョン・クランシスキー)を高額のギャランティでチーム入りさせてチームを再生し、連戦連勝して人気も急上昇し入場料収入も増えて順風満帆と思いきや、英雄神話の嘘を暴く目的で密着取材する31歳のキャリアウーマン記者レクシー・リトルトン(レニー・ゼルウィガー)にドッジもカーターも夢中になって、暴露記事は、恋の行方は・・・というようなお話。
基本的には、1920年代のプロフットボールリーグの貧しく泥臭く胡散臭い様子がメインテーマで、ラブコメはサイドストーリーっぽい感じ。プロなのにボールが1つしかなくて、それが行方不明になるとスコアが勝っていても負けとなって試合終了とか、いくら何でも。39歳のドッジが、カーターが敵チームに引き抜かれると選手として復帰してフルに出場して疲れた様子も見せないというのも、映画ならではですが、ちょっとね。試合展開も含めていろいろな意味で牧歌的なところが、レトロっぽくていいとはいえますが。
恋の方は、予告編では「素直に好きと切り出せない男と女」と言っていますが、ドッジはレクシーに対してわりと素直に「きみに夢中」なんて言っていますし、カーターとの関係もカーターはレクシーに言い寄ってもレクシーは年下過ぎて物足りないという感じが露わで、ラブコメとしてどうなるというハラハラ感は全然ありません。レクシーがドッジに腹を立てる場面がいくつかあるけど、行く先ははじめから見えている感じです。
ラブシーンでは、その頃の口紅ってキスすると相手の唇も真っ赤になってしまうのねってところが、ジョークでしょうけどなるほどとも思いました。警官に追われている中、警官の制服に着替えて逃げるって街中ではかえって困りそうですし、その後またどこで着替えたのかしらこの2人とも思いましたが。
さらに言えば、この映画、フットボールよりも恋の駆け引きよりも、要するにジョージ・クルーニーのちょい悪オヤジぶりが売りなのではないかと、私は感じました。フットボールのプロリーグ創生期の荒くれぶりから検察官上がりの新オーナーが次々と新たなルールで規制をかけていく移行期を設定して、それに従ったゲームのつまらなさと我慢した末にジョージ・クルーニーが反則作戦に出る快感、あえて禁酒法時代に時代設定して潜りバーでの飲酒とか、カーターに仕掛ける罠など、ジョージ・クルーニーのちょい悪オヤジぶりが強調されています。これに好感を持てる人には楽しめる映画だと思います。
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