◆たぶん週1エッセイ◆
映画「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」
展開は巧みで飽きさせないので、エンタメとしては楽しめると思う
人間ドラマとしての深みは、展開の意外性を追求してドタバタした結果、今ひとつ
大金がかかったゲームに招待されたプレイヤーたちが騙し合いを繰り広げる漫画・TVドラマシリーズの映画化「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」を見てきました。
封切り6週目日曜日昼は4〜5割の入り。
ライアーゲームをセミファイナルで抜けて平穏な生活を送っていた馬鹿正直な学生神崎直(戸田恵梨香)にファイナルステージの招待状が届く。無人島の会場に集められた11人は、かつて助け合ってゲームを勝ち進んだ元天才詐欺師秋山深一(松田翔太)らセミファイナルを勝ち進んだ者たち。ファイナルステージのゲームは「エデンの園ゲーム」。プレイヤーは1人ずつ投票室に入りゴールド、シルバー、真実の赤の3つのリンゴのうち1つに自分の焼き印を押して投票する。全員が真実の赤に投票した場合は全員が1億円を獲得。しかし1人でもゴールドかシルバーに投票した場合は赤に投票した者はマイナス1億円、ゴールドかシルバーに投票した者は全員1億円を獲得し、それが1人だけなら2億円を獲得。赤に投票した者が1人だけの場合は特別ペナルティとしてマイナス10億円で名前も公表される。赤に投票した者がいないときはゴールドとシルバーの多数決となり多数派が1億円を獲得し少数派はマイナス1億円、ただし全員がゴールドかシルバーの一方だけなら全員がマイナス1億円。マイナス5億円となったら誰かが肩代わりしてくれない限り退場。セミファイナルまでの獲得賞金からスタートしてこの投票を13回繰り返し最後にもっとも賞金が多い者が優勝し賞金50億円を獲得するというルール。投票室には1人しか入れず、投票した者は次の投票まで投票室に入れない、1時間以内に投票室に入らない者はペナルティでマイナス1億円、2つ以上のリンゴを投票した場合は最初の投票のみが有効となる。獲得賞金はA〜Kの匿名表示で電光掲示されている。このルールを聞いた直は、全員が赤に投票すれば全員が勝ち続けられると提案するが、それではセミファイナルまでで1位の者以外は優勝のチャンスがなく、プレイヤーたちの騙し合いが繰り広げられるというお話。
比較的シンプルなゲームルールの下でのプレイヤーの行動を描く場合、現実的な行動を描き続けて人間を描くという方向性と、ハプニングと意外性を描き続けて展開で見せる方向性が考えられますが、この映画は当然後者を追求しています。
直は馬鹿正直で嘘をつかない、人を裏切らないという設定を維持しつつ、意外な投票結果を演出するための苦肉の策なんでしょうけど、他人の焼き印を使ってプレイヤーの意に反する投票結果を実現するというのは、ゲームルールで明確には禁止されていませんけど、いくら何でも反則なんじゃないでしょうか。
その(少なくとも観客への)反則を許容できるのであれば、展開は巧みで飽きさせませんから、エンタメとしては楽しめると思います。しかし、人間ドラマとしての深みは、制作側は追求しているつもりかもしれませんが、展開の意外性を追求してドタバタした結果、今ひとつ。
(2010.4.11記)
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