◆たぶん週1エッセイ◆
映画「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」
ルパン三世と名探偵コナンのコラボアニメ「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」を見てきました。
封切り3週目月曜日祝日、キネカ大森シアター1(134席)午前10時20分の上映は3割くらいの入り。観客層はお子様連れが多数派。
米花町の銀行の地下金庫に保管されているチェリーサファイアをいただくというルパン三世からの予告状が届き、来日したルパン専任捜査官銭形警部と警視庁は大規模包囲網を敷き、佐藤と高木は銭形警部の指揮下でルパン三世逮捕の任に当たるが、例によって銭形警部の目の前でルパン三世がチェリーサファイアを奪い逃走する。来日した人気アイドル歌手エミリオ・バレッティを追いかける園子に引っ張られた蘭とエミリオの美人マネージャークラウディア・ベルッチに惹かれた毛利小五郎は、エミリオの宿泊するホテルに潜り込むが、エミリオのライブを中止しろという脅迫状が来ていたため毛利小五郎は護衛のために残り、蘭と園子は気晴らしに抜け出すエミリオに同行する。テレビを見ていてエミリオのスタッフの中に次元大介が紛れ込んでいるのを見つけたコナンはルパン三世の企みを疑いエミリオの宿泊するホテルに向かう。逃走したエミリオを捕まえて話を聞いたコナンらは大きな陰謀の存在を察知し…というお話。
作品のスタイルとしては名探偵コナンの世界にルパン三世が飛び込んできた体裁ですが、ルパン三世のメンバーがルパンの財宝盗取と逃走の知恵とテクニック、次元大介の射撃とダンディズム、石川五ェ門の斬鉄剣など特徴と得意技がきちんと登場している(峰不二子は裏切りとお色気が中途半端というか収まりどころが悪い感じがしましたけど)のに対し、名探偵コナンのメンバーはコナンは知恵を働かせるよりアクション中心の動きになり、毛利小五郎は肝心な場面で登場もできず「眠りの小五郎」が見られず、毛利蘭と園子は格闘場面がないなどお約束の見せ場が省かれて、コナンファンには少し欲求不満が残りそうな気がします。私の好みとしては、灰原哀と峰不二子の絡みで、灰原哀が登場シーンは少ないもののちょっとかっこよく見せてくれるのがよかったかなと思います。
この映画は、名探偵コナンシリーズにはカウントされないようで、エンドロール後の予告でルパン三世が名探偵コナンの次回作(「異次元の狙撃手(スナイパー)」、2014年4月19日公開予定)を「第18作」と紹介しています(前作「絶海の探偵(プライベート・アイ)」が第17作ですから、この映画が第18作と思っていたのですが)。
この作品では、過去のルパン三世と名探偵コナンのコラボ作品「ルパン三世vs名探偵コナン」(日本テレビ開局55周年・読売テレビ開局50周年スペシャル番組、2009年3月27日「金曜特別ロードショー」で放送)を前提にしていて、そのエピソードが随所に登場し、エンドロールの前半はその番組のカットで埋めています。その番組のエピソードが登場する際に断片的な説明もあったりしますが、その番組を見ていない私には、疎外感がありました。いきなり何の説明もなくヴェスパニアの王女がどうとか、ヴェスパニア鉱石(希少な鉱石で電磁波を吸収しあらゆる電磁波によるコントロールを無効化できるのだとか)の盗難だとかその鉱石の発見・確認方法がどうだとか言われてもねぇ。映画の前作のエピソードが前提にされることはありがちですけど、テレビのスペシャル番組を(それも4年半前の作品。ただし何度か再放送され、この映画公開直前にも再放送されていますが)見ていることを前提とするのは、ずいぶんと不親切に思えます。
冒頭の「怪盗キッド」の宝石盗取と警察の捕り物劇が展開されますが、野次馬が熱狂的ファンとして声援を送る状況で、大がかりな態勢を組んでの捕り物劇が正当化されるかな、執念深く追うコナンのモチベーションはどこにあるのだろうと思ってしまいました。大衆に支持されようが泥棒は泥棒ということで割り切れるのか、映画制作サイドの発想はそれでいいのか、少し疑問に思えました。
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